2015.6.15
歯科検診

年に一度は総点検! 歯科検診で虫歯や口腔がんを予防

口腔内は日々劇的に変化している

歯科検診
口腔内ほど、多種多様な病変が現れる部位はない。歯石が堆積すれば、うしょく(いわゆる虫歯のこと)や歯周病を招く。不適合な入れ歯やブリッジなどをはめていると、歯肉に炎症を起こしたり、歯を支えている顎の骨が溶けたりすることもある。

また、過去に装着したかぶせ物は、細菌によって歯の組織が破壊され穴があく、二次うしょくの温床になり、喫煙や飲酒の習慣が口腔がんを引き起こすこともあるのだ。

このように口腔内というのは、絶えずさまざまな刺激に晒されていると言える。それだけに、1年も経過すれば、大きな病変が生じていても何らおかしくはないのである。そこで必要となるのが歯科検診だ。

口腔がんを見つけることもできる

歯科検診ではまず、口内診査が行われる。口内診査では、歯や歯茎、それから噛み合わせなどを肉眼でもって調べていく。視診だけではなく触診を加えることによって、顎関節や咀嚼筋の状態を診ることもできる。この時点で、虫歯や歯周病、噛み合わせ異常や顎関節症を発見することが可能だ。

さらに詳しい情報を得るために、X線検査も実施される。X線撮影により、歯や歯槽骨の健康状態を把握することができる。うしょくが発生していれば、黒い透過像としてX線に現れるため、早期発見することもできる。また、X線の画像を読み取ることで、口腔がんの発見および治療にも役立てることができるのだ。

さらに精密な検査を行う検診では、歯科用CTも実施する。歯科用CTで得られるのは3次元画像であるため、病変の部位だけではなく、幅や深さ、それから奥行きまで把握することができる。これは、頭頸部に生じた腫瘍や炎症を診るうえで、非常に高い効果を発揮する。

生活習慣を見直すきっかけにもなる!

歯科検診では、唾液中の細菌数を測定したり、口臭を数値化する検査を行うこともある。口腔内の細菌数が多いほど、うしょくや歯周病のリスクは高まる。

また、口臭検査の値が高いと、オーラルケアが不十分であることがわかるだけではない。口臭検査が、見えないうしょくや歯周病の発見につながったり、場合によっては全身疾患を見つける手掛かりになることもある。

ともあれ、自分がどれくらい虫歯になりやすいか、あるいは口臭を発しているかということを知ることで、乱れた生活習慣を見直すきっかけになるとも言える。このように、口腔内を年に1~2回総点検することは、虫歯や歯周病の予防、早期発見早期治療に大きく貢献すると言える。

坂口 海雲(さかぐち みくも)
この記事の監修ドクター
福島吉野スマイル内科・循環器内科 院長
日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医/日本循環器内科学会所属医

Colorda編集部