2015.6.18
前立腺がん

PSA検査と前立腺がんの関係

PSAは本来、受精に必要な酵素

PSA検査
PSA(前立腺特異抗原)は、もともと前立腺で作られるタンパク質。射精したあとの精液の液状化に関わり、受精に欠かせないと言われている。日頃から、わずかながら血液中にも存在するが、前立腺に異常が起こると、たちまち大量に放出される。こうした血液中のPSA濃度の値から、前立腺がんの可能性をはかるのがPSA検査である。

ちなみに、がん以外にPSA値を上げる要因には、次のようなものがある。

  • 加齢
    年齢別の基準値があり、50~64歳3.0以下、65~69歳3.5以下、70歳以上4.0以下とされている。
  • 前立腺肥大症
    前立腺の過形成。前立腺組織が大きくなるにつれてPSA値も上がる。
  • 前立腺の炎症
    細菌感染などで炎症を起こしている場合。
  • 外部からの刺激
    検査や手術等で前立腺が傷つけられたときや、導尿などの医療的なケアで刺激を受けた場合。
  • 射精

異常値=「要手術のがん」とは限らない

PSA値が4以上を示し、その原因を調べる必要が出てくると、直腸診や直腸からのエコー検査が行われる。肛門から指を入れて触れられる部分が、ちょうど前立腺がんが発生しやすい場所に当たる。この段階で異常があれば、今度は問題の組織の一部をとり出し、組織の細胞が、がんか否かを判断する「針生検(はりせいけん)」が行われる。針生検でがんとわかったら、周囲の臓器を侵していないか、転移がないかなどをCTやMRIでチェックする。

なかなか結論が出ず、まどろっこしいようにも感じるが、適切な治療法の選択には、こうしたプロセスが欠かせない。前立腺がんは、がんのなかでも進行が遅く、すぐに治療をしなくても、命や日常生活に支障がない“おとなしいがん”と言われる。仮に、PSA値の異常の原因が前立腺がんだったとしても、とくに治療せず、定期的なPSA検査でがんを監視するだけという判断(待機療法)もある。

また治療が必要だとしても、服薬や注射で腫瘍を小さくする方法や、小さな放射線源を体内に埋め込む方法(小線源療法)など、前立腺がんの治療には選択の幅が大きい。その人の年齢やニーズと見つかったがんの状態を考えて、もっとも負担の少ない、もっとも適した治療を選ぶための出発点が、PSA検査と考えることもできる。

いずれにしても、遅かれ早かれ加齢によって上がる数値であり、その原因は確かめておく必要があることを頭に入れておこう。

坂口 海雲(さかぐち みくも)
この記事の監修ドクター
福島吉野スマイル内科・循環器内科 院長
日本内科学会認定内科医/日本医師会認定産業医/日本循環器内科学会所属医

男性特有の病気「前立腺がん」をチェック!

メンズドックについて知りたい方はこちら

Colorda編集部