「いつまでも若々しく、健康でありたい」という願いを叶えるメソッドが、最先端の研究により明らかになってきている。
今回は、コンビニで買える健康食材に注目し、世界中の研究者の研究結果を幅広く紹介。多様な理論のなかから自分に合う方法を見つけ、ぜひ実践してほしい。

2016.12.1

砂糖は麻薬並みの依存性あり! ジュースの飲みすぎは危険!?

肥満を引き起こし、歯を溶かす砂糖

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コーラなどの炭酸飲料やスポーツドリンクには、砂糖や果糖などの糖質が比率にして約10%、500mlのペットボトルでは50gも含まれているものがある。ハーバード大学での研究では、毎日ソフトドリンクを1本飲むごとに肥満の危険率が1.6倍になると報告されている。また清涼飲料水には酸性度の強い飲料が多く、歯が溶けることも知られている。

砂糖の多いソフトドリンクは、WHO(世界保健機関)/FAO(国連食糧農業機関)の2003年のレポートでも肥満と虫歯が増加すると指摘されている。しかも飲料水中の砂糖の濃度が一定濃度を超えると中毒症状を示し、麻薬並みの依存性が発生することが動物実験で示された。

砂糖はマイルドドラッグ

米国プリンストン大学のバート・ヘーベル教授らはラットを使い砂糖依存症の研究を長年行っている。ラットに10%の砂糖水を3週間与え続けると、最初ラットは砂糖水を1日に37mlしか飲まなかったが、次第に摂取量が増え3週間後には砂糖水を112mlも飲むようになった。

ヘーベル教授が脳内の「側坐核」という麻薬で活性化する神経核を調べたところ、砂糖水を飲み続けたラットではドーパミンという「快楽ホルモン」の分泌量が130%に増加していることを明らかとした。この脳内の反応は報酬系と呼ばれ、これまでヘロイン、コカイン、ニコチンやモルフィネといった麻薬性の物質を摂取した時に脳で活性化する反応に酷似していた。

ヘーベル教授はさらに、砂糖の多量摂取を習慣づけたラットに一定期間砂糖の供給を断つと「渇望」の症状が現れることや、供給を再開すると砂糖の摂取量は増加し「再燃」が起きることを確認した。砂糖漬けにされたラットには、「摂取量の増加」、「離脱症状」、「渇望」、「再燃」の症状が認められ、「砂糖中毒」と呼ぶにふさわしい診断基準を満たしているとヘーベル教授は考察する。

興味深いことに砂糖の供給を断たれたラットはアルコールの摂取量が増加し、アンフェタミンに過剰反応するなど、脳機能に変化が起きていることが裏づけされた。まさしく麻薬中毒のような症状がラットで観察されたのだ。しかし砂糖の摂取量を一定量以下に留めれば、このような「砂糖中毒」の症状は出ないこともラット実験で確認されている。食事で使う砂糖の量を控えめにしてソフトドリンンクも糖質含有量が低いものを選択すれば「砂糖中毒」を発症する心配はない。

砂糖の摂りすぎで攻撃的な性格に

砂糖中毒により、人間の行動や社会性が変容する可能性もある。実際、米国では炭酸飲料水の飲み過ぎで若者が「攻撃的」になっている可能性が指摘されているのだ。

米国バーモント大学経済学部のサラ・ソルニック准教授とハーバード大学公衆衛生学のデービット・ヘメンウエイ教授はボストンの公立学校に通う10歳代の若者1878人を対象に炭酸飲料水の摂取量と過去1年間の暴力歴や銃の所持歴などを調査した。その結果、炭酸飲料水が週に1本以下の低摂取群の若者の23.2%が銃を所持していたのに対して、週に5本以上摂取する若者では37.8%、14本以上摂取する若者では42.7%が銃を所持していた。また、低摂取群の若者の交際相手への暴力歴が15.3%だったのに対して、週5〜7本摂取する若者では54.7%、週14本以上摂取する若者では58.3%に交際相手への暴力歴があることが明らかとなった。

ソルニック准教授は「因果関係については不明だが、炭酸飲料に含まれている砂糖やカフェインが直接の原因になっている」可能性を指摘する。砂糖は摂取する本人の健康のみならず社会にも大きな影響を及ぼしているようだ。


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Colorda編集部