健康診断

健康診断や人間ドックは妊娠中・授乳中も必要? 受診義務、受けられない検査など解説

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上昌広
こちらの記事の監修医師

東京大学医学部卒医学博士。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)

妊娠中・授乳中の健康診断や人間ドックは胎児への影響を考慮して、必要時以外は行えない検査がいくつかあります。また、産前や産後は妊婦健診や産婦健診がありますが、それとは別に会社の定期健康診断も受ける必要はあるのでしょうか。本記事では妊娠中・授乳中の健康診断の受診に関するさまざまな疑問について解説していきます。

★こんな人に読んでほしい!
・妊娠中だが、健康診断・人間ドックの受診を考えている女性
・授乳中に健康診断の予定があり、受けてはいけない検査はないか心配な女性
・妊活中の方もしくは妊娠の可能性がある方で、近日健康診断の予定があり、受診してよいか不安な女性

★この記事のポイント
・健康診断・人間ドックの検査には、妊娠中の受診は不可となる項目がある
・特定健診では、妊娠中および出産後1年以内の方は受診対象者から除外される
・会社の定期健康診断は妊娠中でも受診義務がある。受診前に主治医に相談しておく
・育児休業中は会社の定期健康診断を受診しなくてもよいが、復職後はすみやかに受診する必要がある
・妊娠中は健康な状態であっても検査結果が健康診断の基準値から大きく外れることがある

妊娠中・授乳中は健康診断・人間ドックは受けられるか

健康診断・人間ドックの検査には、妊娠中・授乳中の受診者に対し、胎児や乳幼児への影響を考慮して必要時以外は実施されない項目があります。なお、特定健診では妊娠中から出産後1年以内の方は受診対象者から除外されます。詳細は後述の「妊娠中に健康診断を受ける義務があるのか?」で解説します。

健康診断や人間ドックで妊娠中に行えない検査はX線(レントゲン)検査、CT検査、MRI検査、内視鏡検査などで、ほかにも体質や体調により避けたほうがよいとされる検査があります。妊娠の週数により、正常な結果が得られない検査もあります。詳しくは「健康診断や人間ドックで、妊娠中・授乳中に受けられない検査とその理由」をご覧ください。

妊娠中でも健康診断や人間ドックを受けたい方は、まずはかかりつけの産婦人科医に相談しましょう。

妊娠中・授乳中は妊婦健診・産婦健診を受ければOK? 健康診断の受診義務はあるか

妊婦健康診査(妊婦健診)とは

妊娠中は、産婦人科など専門の医療施設で「妊婦健診」を受診することが勧められています。妊婦健診の目的は、妊婦や胎児の健康状態を定期的に確認することです*1。妊婦健診は保険適用外ですが、居住する自治体に妊娠届を提出することで母子手帳が発行され、同時に妊婦健診補助券が配布されます。補助額は自治体によって異なります。以下は標準的な妊婦健診の例です。

【標準的な妊婦健診の例】
厚生労働省では14回分の妊婦健診として、以下のように標準的な例を提示しています*2。「必要に応じて行う医学的検査」の内容は、医療施設等の方針、妊婦や胎児の健康状態に基づく主治医の判断などにより、実際はさまざまです。以下、表内の太字は会社の定期健康診断にも含まれている検査項目です。

期間 妊娠初期~23週 妊娠24週~35週 妊娠36週~出産まで
健診回数 1・2・3・4 5・6・7・8・9・10 11・12・13・14
受診間隔 4週間に1回 2週間に1回 1週間に1回
毎回共通する 基本的な項目 ・健康状態の把握:問診・診察
・検査計測:妊婦の健康状態と胎児の発育状態を確認するための基本検査
例)子宮底長、腹囲血圧、浮腫、尿検査(糖・蛋白)体重(初回は身長も)
・保健指導:生活や食事のアドバイスなど
必要に応じて行う 医学的検査 <初期に1回>
・血液検査:血液型(ABO血液型、Rh血液型、不規則抗体)、血算※、血糖、B型肝炎抗原、C型肝炎抗体、HIV抗体、梅毒血清反応、風疹ウイルス抗体
・子宮頸がん検診(細胞診)

<期間内に2回>
・超音波(エコー)検査
<期間内に1回>
・血液検査:血算※、血糖
・B型溶血性レンサ球菌
・超音波(エコー)検査
<期間内に1回>
・血液検査:血算
・超音波(エコー)検査
<妊娠30週までに1回> ・血液検査:HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)抗体検査 ・性器クラミジア

厚生労働省「“妊婦健診”を受けましょう」*2より編集部で作成
太字は会社の定期健康診断にも含まれている検査項目
※血算:「全血球計算」の略で、血液に含まれる赤血球・白血球・血小板などを測定

産婦健康診査(産婦健診)とは

産後は自治体の協力医療機関等で「産婦健康診査」を受診することが勧められています。産婦健診のおもな目的は、母体の身体的機能の回復状況、授乳状況および精神状態の把握、産後うつ病の予防、出産後の切れ目ない支援等です*3。検査実施の条件や方法は自治体により異なります。以下は横浜市の産婦健診です。複数の自治体でも同様の検査内容が見られますが、サポートが手厚い自治体における一般的な例と言えます。太字は会社の定期健康診断にも含まれている検査項目です。

【産婦健康診査の例(横浜市の場合)】*4
●対象者:横浜市民かつ委託医療施設でそれぞれ産後指定期間内に健診を受診する産婦
・産後2週間健診:産後5~21日の間に受診、また医師が必要と認めた健診であること
・産後1ヶ月健診:産後22~60日の間に受診可能なすべての産婦すべて
●回数:産後2週間と1ヶ月の2回まで
●検査内容:
・問診(生活環境、授乳状況、育児不安など)
・診察(子宮復古状況、悪露、乳房の状態など)
体重・血圧測定
尿検査(糖・蛋白)
・エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)
※その他、適宜必要な質問紙を用いて健診を実施
太字は会社の定期健康診断にも含まれている検査項目

なお、健康診断や人間ドックは、母体の回復などを考慮して、産後6ヶ月以降の受診が望ましいとしている医療施設が一般的です。妊婦健診・産婦健診の項目以外を受けたい方は、まずは主治医に相談しましょう。

妊娠中・授乳中に健康診断を受ける義務はあるのか?

妊娠中・授乳中は妊婦健診や産婦健診があるので、特定健診・健康診断・人間ドックなどを受ける必要はないと思う方がいるかもしれません。妊娠中・授乳中の健康診断については、各法令等でどのように定められているのでしょうか。

特定健康診査(特定健診)

【目的】生活習慣病の予防
【特徴】メタボリックシンドロームに着目した検査が中心。受診対象者は40~74歳
【妊娠中・授乳中の受診】対象外

妊娠中・授乳中の受診については、特定健康診査の除外対象者に「妊産婦」が含まれています*6。妊産婦とは「母子保健法における『妊娠中又は出産後1年以内の女子』と同様*7」であるため、その間は特定健診の対象からは除外されます。

定期健康診断

【目的】事業者による労働者の健康状態の把握*8
【特徴】事業者は労働安全衛生法第66条に基づき実施の義務があり、労働者は受診の義務がある*9
【妊娠中・授乳中の受診】受診の義務があるが、一部受診不要の検査項目がある
【育児休業中の受診】事業者は実施義務がなく、育児休業者は受診の義務はない。希望者は会社の就業規則を確認するか担当者に確認

前項で紹介した通り、妊婦健診・産婦健診の目的と検査項目は定期健康診断のものとは異なります。妊婦健診や産婦健診を受けていたとしても、休業中でない限り、受診の義務があります

定期健康診断 (労働安全衛生規則 第44条)の検査項目は以下の通りです*9。腹囲については妊娠中など内臓脂肪の蓄積を反映していない場合は省略可能で、その他一部の項目は医師が必要でないと認めるときは省略可能です。また、妊娠中の方で、受診不可と主治医が判断した場合は、定期健康診断そのものが受診不要となることがあります。

1.既往歴および業務歴の調査
2.自覚症状および他覚症状の有無の検査
3.身長※、体重、腹囲※、視力および聴力の検査
4.胸部X線検査※ および喀痰検査※
5.血圧測定
6.貧血検査(血色素量および赤血球数)※
7.肝機能検査:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)※
8.血中脂質検査:HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセライド)※
9.血糖検査※
10.尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無の検査)
11.心電図検査※
※は医師が必要でないと認めた場合に省略可

厚生労働省の通達では*10、育児休業中の労働者に対して定期健康診断を実施しなくてよいとしているため、育休中の受診義務はありません。通達では続けて、「休業修了後、速やかに当該労働者に対し、定期健康診断を実施しなければならないものであること」としています。

なお、育児休業中の定期健康診断受診を希望する際は、会社の就業規則を確認するか、担当者に確認してみましょう。

人間ドック

【目的】健康診断のみでは見つかりにくい病気の早期発見・予防、将来の発症リスクの把握、健康の維持・増進
【特徴】法的義務はなく任意のため保険適用外(全額自己負担)
【妊娠中・授乳中の受診】一部受診できない検査あり

人間ドックでは、妊娠中・授乳中の方が受診する場合、必要時以外は行えない検査がいくつかあります。詳しくは次項で解説します。

健康診断や人間ドックで、妊娠中・授乳中に受けられない検査とその理由

妊娠中・授乳中に受けられるor受けられない検査一覧

妊娠中・授乳中に健康診断や人間ドックを受診する場合、検査項目によっては妊婦の体調変化や胎児・乳幼児への影響を考慮し、受けることができない検査がいくつかあります。下記は、妊娠中・授乳中の検査の受診可否と、受けられない場合の理由です。

検査項目 妊娠中および 妊娠の可能性がある場合 授乳中の場合
胃がんの検査 胃X線(レントゲン)検査 × X線の影響を考慮 △ バリウム検査後の下剤の影響を考慮
胃内視鏡(胃カメラ)検査 × 麻酔や鎮静剤による影響を考慮 △ 麻酔や鎮静剤による影響を考慮
肺がんの検査 胸部X線(レントゲン)検査 × X線の影響を考慮
子宮頸がんの検査 子宮頸部細胞診 × 妊娠初期の妊婦健診で実施
乳がんの検査 乳腺超音波(エコー)検査 △ 乳腺の発達を考慮 △ 乳腺の発達を考慮
マンモグラフィ検査 × 乳房刺激による子宮収縮、X線の影響を考慮 × 乳腺の発達により診断が困難
大腸がんの検査 便潜血検査
CT検査・MRI検査など × 造影剤を使用する場合は影響を考慮、CT(X線)の影響を考慮 △ 造影剤を使用する場合は影響を考慮
心電図検査
血液検査 △ 体質の変化により異常値となる項目あり

健康診断や人間ドックで受けられない検査とその理由については、以降で詳しく解説します。

妊娠中および妊娠の可能性がある場合、健康診断や人間ドックで受けられない検査

X線(レントゲン)検査

妊娠中のX線(レントゲン)検査でよく心配されるのが、放射線被曝による胎児への影響です。しかし、「産婦人科診療ガイドライン」では、胎児被爆が50mGy(ミリグレイ)未満であれば問題ないとしています*11

胃X線(レントゲン)検査、胸部X線(レントゲン)検査、マンモグラフィ検査など、通常の健康診断で行われる検査の放射線量は、50mGy未満です*12。平均胎児被曝線量の調査結果を見ると、X線(レントゲン)検査では胸部0.01mGy以下、腹部1.4mGy、CT検査では腹部CT8.0mGy、骨盤部CT25mGyです*11

このように、通常のX線(レントゲン)検査であれば胎児への影響はないとされていますが*11誤って被曝してしまうなどの特殊な場合や検査の必要性などを考慮して、健康診断や人間ドックでは一般的に妊娠中のX線(レントゲン)検査は受診不可としている医療施設が多く見られます。

内視鏡検査(胃カメラなど)、CT検査、MRI検査など

薬剤を使用する検査では、母体の摂取した薬剤が胎児に作用する有害性を考慮する必要があります。CT検査やMRI検査で用いられることがあるガドリニウム造影剤については、胎児に対する安全性は確立されていません*13。胃カメラや大腸カメラなど内視鏡検査の際に使用する鎮静薬についても、胎児への影響(低酸素血症、血圧低下、形成異常誘発など)を考慮し、健康診断や人間ドックでの受診は妊娠終了後がよいと考えられています*14

また、造影剤を使用しないMRI検査についても、MRI検査の特徴である所要時間の長さとその間身動きができない点から、体調面を考慮した際に実施されない可能性があります。

子宮がんの検査(子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診)

妊娠すると、子宮の入り口は固く閉じられ、胎児が子宮の外に出てこないようになっています。妊娠初期の妊婦健診では子宮頸部細胞診が行われますが、以降、妊婦健診以外の健康診断や人間ドックでは子宮頸部細胞診は行えません。また、胎児が留まっているのは子宮体部のため、子宮体部細胞診も実施できません

乳がんの検査

マンモグラフィ検査はX線(レントゲン)を使用する検査で、また検査の際に強く乳房を圧迫刺激することで子宮収縮を生じさせる可能性があるため、胎児への影響を考慮し、健康診断や人間ドックでは一般的に受診不可とされています。乳腺超音波(エコー)検査は胎児への影響はないとされていますが、妊娠中は乳腺の発達により病変が見えづらくなるため、正確な診断ができない場合があります*15

妊娠中に異常値となりやすい健康診断や人間ドックの検査

尿検査・血液検査は妊娠中も受診できますが、健康な状態であっても妊娠中は血液組成などが大きく変化し、健康診断や人間ドックの基準値(基準範囲)から大きく外れることがあります。一方で、病気が隠れている場合もあるため結果の見方には注意が必要です。気がかりがあれば主治医に相談しましょう。

尿検査(蛋白尿・尿糖)

妊娠中は蛋白尿や尿糖が出やすい傾向があります。 なお、妊婦健診では妊娠高血圧症の予防の観点から毎回尿検査が行われ、蛋白尿・尿糖の数値を確認します。

血液検査

【中性脂肪、コレステロール値(LDLコレステロール、HDLコレステロール)】
妊娠中は、身体に異常がなくても、血液中の中性脂肪やコレステロールの値が上昇しやすくなります。

【貧血検査(赤血球数・血色素量など)、白血球数】
妊娠中は体内の血液産生量が大幅に増加します。血漿成分の増加に比べ、赤血球数の増加はわずかのため貧血傾向になります。また、妊娠中は白血球数が若干増加します。

【腫瘍マーカー検査】
腫瘍マーカーはがん診断の補助的な検査で、人間ドックのオプション検査などで受診できることがあります。女性のオプション検査で一般的な腫瘍マーカーはCA125(卵巣がん)とAFP(肝臓がん)で、CA125は月経中や妊娠初期に高値になり*16AFPは胎児が産生するタンパクであることからとくに妊娠後期に高値となります*17

こうしたことから、健康診断や人間ドックでは妊娠中の方の健康状態を正当に評価することができません。会社等の健康診断実施時期に妊娠期間が重なった場合は、加入している健康保険組合の担当者やかかりつけの産婦人科、受診時の医師に相談しましょう。

健康診断や人間ドックで授乳中にできない検査・できるが注意が必要な検査

健康診断や人間ドックでは、産後の女性は母体の回復などを考慮して、産後6ヶ月以降の受診を勧めている医療施設が一般的です。産後は妊娠中には受けられなかったX線(レントゲン)検査などが受けられるようになります。ただし、以下の検査には注意が必要です。

マンモグラフィ検査

授乳中は乳腺が発達しており正確な診断が困難になるため、健康診断や人間ドックでは実施しない医療施設が多いです。乳腺の発達により痛みをともなうことを考慮すると、授乳中の乳がん検診は超音波(エコー)検査のほうがよいとされています。

胃X線(レントゲン)検査、内視鏡検査(胃カメラなど)、CT検査、MRI検査など

検査項目によっては、薬剤を使用することがあります。授乳中は、母体の摂取した薬剤が母乳を通じて乳幼児に作用する有害性を考慮する必要があります。胃X線(レントゲン)検査で使用するバリウムを排出するための下剤、胃カメラなどの際の麻酔や鎮静剤、CT検査や一部のMRI検査で使用される造影剤などが挙げられ、検査後数時間から数日間にわたって授乳できないことがあります。もしもこれらの検査を受診する場合は医療施設に申し出て、医師の指示にしたがってください。

授乳中に健康診断・人間ドックを受ける際の注意点

検査前後に薬剤を服用する胃X線(レントゲン)検査、内視鏡検査(胃カメラなど)、CT検査、MRI検査などを受診する場合は、事前に粉ミルクの練習をしたり、搾乳し準備しておいたりするなどして、断乳中でも母子ができるだけ快適に過ごせるように用意しておくことが大切です。

また授乳中の健康診断や人間ドックでは、検査中の母乳の漏れが懸念されます。X線(レントゲン)検査ではブラジャーも母乳パットも外すとしている医療施設や、CT検査やMRI検査では柄のないスポーツブラ+母乳パットという組み合わせならOKとしている医療施設もあり、授乳中の方への対応はまちまちです。受診予定の医療施設の注意事項は必ず事前に確認しておきましょう。

妊娠しているかわからない場合、健康診断や人間ドックではどうすればよい?

検査前、妊娠しているかもしれないと思ったら…

妊娠の可能性のある方が健康診断や人間ドックを受診する場合、検査における考え方は「妊娠中および妊娠の可能性がある場合、健康診断や人間ドックで受けられない検査」で解説した通り、妊娠中とおおむね同じです。必ず事前に受診先の医療施設に相談しましょう。

予診票や当日の問診時にも確認があります。少しでも可能性があれば必ず申告してください。被曝や薬剤による胎児への影響を考え、胃X線(レントゲン)検査、胸部X線(レントゲン)検査、マンモグラフィ検査、内視鏡検査(胃カメラなど)、CT検査、一部のMRI検査などは実施できません。また、妊娠が疑われる場合、健康診断や人間ドックでの子宮がんの検査は、医療施設によっては実施されません。日程調整が可能であれば、健康診断や人間ドックはいったん控え、妊娠の有無を確認できてから改めて受診を検討することが望ましいです。

検査後、妊娠の可能性に気づいたら…

健康診断や人間ドックでは、胎児への影響を考慮し、妊娠している可能性のある方にはX線(レントゲン)検査は原則実施しない医療施設が一般的です。しかし、妊娠を自覚していないことでX線(レントゲン)検査を受けてしまうこともあります。

X線(レントゲン)検査についての医療施設側の考え方はさまざまです。妊娠の週数によっても異なりますが、もっとも放射線感受性の高い妊娠初期でも胎児の確定的影響のしきい値(=しきい線量:集団の1%に影響が現れる線量)は約100mGy(ミリグレイ)です*11。通常の検査で母体が受ける放射線量は、胸部X線(レントゲン)検査0.4mGy、マンモグラフィ2.4mGyとされており*12胎児がしきい値を超える被曝を受けることはないと言えます。

健康診断や人間ドックは、妊娠を考える前から受けておこう

健康リスクのある方、がんの家族歴のある方などは、定期的な健康診断が大切です。これから結婚や妊娠を考えている女性は、パートナーと一緒にブライダルチェックを受診しておくのもよいでしょう。ブライダルチェックとは、妊娠に関わる部位の検査や性感染症などに特化した健康診断で、女性の場合は子宮や卵巣を調べる検査が含まれます。また、スタンダードな人間ドックに子宮がん検診や感染症検査、子宮・卵巣MRI検査などがプラスされたレディースドックのコースもあります。

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参考資料
*1.厚生労働省 すこやかな妊娠と出産のために
*2.厚生労働省  “妊婦健診”を受けましょう
*3.厚生労働省「産前・産後サポート事業ガイドライン、産後ケア事業ガイドライン」(2020年)
*4.神奈川県横浜市 産婦健康診査
*5.厚生労働省 特定健診・特定保健指導について
*6.厚生労働省 「特定健診及び特定保健指導の実施に関する基準」に関する大臣告示
*7.厚生労働省「特定健康診査・特定保健指導に関するQ&A集」
*8.厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断等のあり方に関する検討会 報告書」
*9.厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
*10.中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター 育児休業等により休業中の労働者に係る健康診断の取扱いについて
*11.日本産婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編 2020」
*12.環境省「放射線による健康影響等に関する統一的な基礎資料(令和3年度版)」HTML版 第2章 放射線による被ばく 2.5 身の回りの放射線
*13.日本小児放射線学会 ガイドライン・提言・情報提供「妊娠中のMRI検査の胎児期、幼年期への影響」論文の紹介
*14.日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」(2020年)
*15.日本人間ドック学会 診断に関するQ&A「Q. 妊婦・授乳期の乳腺検診はどうすればよいでしょうか?」
*16.日本予防医学協会 検査結果の見方 血液検査
*17.日本衛生検査所協会 検査項目と疾患(5)AFP

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上昌広
こちらの記事の監修医師

特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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