日本人の消化器がんによる死亡数
腫瘍マーカーは、体内にがんの腫瘍ができると、特殊な物質が大量につくられ、血液中に出現するという特性を利用した血液検査だ。今回は、消化器系のがんを発見するための腫瘍マーカーであるCEAを紹介する
日本人は胃がんや大腸がんで死亡するケースが多い。国立研究開発法人国立がん研究センターが発表した「2015年のがん罹患数、死亡数予測」でも、死因の2位が大腸がん、3位が胃がんで、その数はそれぞれ約5万人にのぼる。
胃や小腸や大腸といった消化器系は、摂取した食物の消化、栄養や水分が吸収を司る臓器で、まさに生命活動の要だ。食事を楽しみ、健康的に長く生きるためにも、胃がんや大腸がんの早期発見が重要といえる。そんな消化器がんの発見には、CEAと呼ばれる腫瘍マーカーで判断する。
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CEAの基準値、胃がんと大腸がんの値の目安は?
CEA(carcinoembryonic antigen)とは、がん胎児性抗原の略称で、文字通り胎児期に見られるタンパク質である。出生後のCEAは、胎児期と比較すると濃度が非常に希薄となるため、正常であればほとんど検出されない。これが消化器がんをはじめとした病変が現れるとCEAの値が上昇する。
CEAは、5.0ng/ml以下が基準値となっている。この数値を大きく超えるようなことがあれば、消化器がんの疑いが高いといえる。ただ、注意しなければならないのは、CEAの高値が、胃がんや大腸がんだけを表すのではない点である。CEAは臓器特異性が決して高いわけではなく、そのほかの臓器に病変があった場合でも高値を示すことがあるのだ。
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CEAの高値は、肺や腎臓、甲状腺の疾患も疑え
基準値の2倍や3倍のCEAが検出された場合は、消化器がんの可能性が高いが、CEAの値が基準値をわずかに超えている場合は、胃腸だけでなく、肺、腎臓、甲状腺といった臓器に炎症などの病変が生じている可能性もある。
胃がんや大腸がんが疑われる場合は、一般的にX線やCT、超音波などを使って消化器系を中心に検査していく。また、ほかの臓器にがんがある可能性が高い場合は、別の腫瘍マーカーを調べて、総合的に判断する場合がある。
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スクリーニング検査としてのCEA
以上のように、CEAはあくまでスクリーニング検査であるため、病変を調べるという点では非常に優れているといえる。また、値に応じて疑うべき疾患を絞ることもできる。
それから、がんが発生している場合は、CEAの値が経時的に変動することがあるので、治療の経過を確認することもできる。治療後にCEAが再上昇したら要注意だ。それはがんが他の臓器に転移したことを意味しているかもしれない。ともあれ、消化器がんの疑いがある場合は、まずCEAを調べることをお勧めする。
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