2018.2.15

「CEA」の数値が高い人が知っておきたい、胃がんのリスクと治療費への備えとは?

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

日本人の死亡数ランキング上位を占める胃がんをはじめとする消化器系がんを発見する「CEA」とは?

「CEA(carcinoembryonic antigen)」とは「がん胎児性抗原」を表す略称で、おもに消化器系のがんを発見するために活用されている物質だ。文字通りCEAは胎児期に見られるたんぱく質で、出生後の平常時においてCEAはほとんど検出されない。ところが消化器系のがんなどが発症するとCEAの値が上昇しやすくなるという特徴がある。CEAはほかの臓器の病変でも変化する場合があるため、必ずしもCEAの上昇が消化器系のがんと結論づけられるわけではない。しかしながら基準値よりも2~3倍の値が検出された場合は消化器系のがんが発症している可能性が高くなる。

国立がん研究センターの最新がん統計によると、2016年の部位別がんの死亡数ランキングで胃がんは3位、大腸がんは2位、罹患数では2013年のデータで、胃がんが1位、大腸がんは2位となっている(※1)。日本人にとって、消化器系のがんのリスクの高さが読み取れる。

胃がんで必要となる入院費用の平均は?

厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、胃がんによる入院診療の件数は年間35万件以上で、1件あたりの入院診療費用の平均額は公的医療保険、高額療養費制度適用前でおよそ61万円もの費用が掛かっている計算になり(※2)、公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で約18.3万円を支払うことになる。さらに、高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の胃がんの治療費で考えると、「80,100円+(約61万円-267,000円)×1%」となり、83,530円が医療費自己負担額の上限額となる。つまり、実際に支払った約18.3万円との差額約99,470円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療*や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。先進医療を受けるかどうかは、医師と相談して決めていくが、先進医療を希望する場合は、先進医療の技術料は全額自己負担となる。万が一のとき、費用の心配なく希望の治療を受けられるようにするために、お金の備えはしておきたい。

*「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がん治療では「重粒子線治療」や「陽子線治療」などが挙げられるが、重粒子線治療は1件あたり平均約300万円、陽子線治療は約280万円と厚生労働省から報告されている(※3)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

3つの備えで、胃がん対策を!

がんへの備えは、「生活習慣の見直し」と「定期的な検査の受診」。あわせて「保険への加入」を検討しよう。まずは、生活習慣の見直しによってがん発症のリスクを下げること。さらに日頃の検査受診でいちはやく異変を察知すること。万が一、がんに罹患した際もステージⅠなどで早期発見できれば完治に結びつきやすくなる。しかし、がんを発症するかどうかを正確に予想することはかなり難しい。ひとたび、がん診療がはじまると、多額の治療費を工面しなくてはならないため、治療費のためにがん保険で備えておくことも考えておきたい。勤労者の場合は、入院中やその前後に働くことができず、収入減に直面することを考慮しなければならない。収入減に晒されながら治療費がかさんでいく不安は大きいので、先進医療特約や三大疾病特約などの特約なども活用し、無理なく無駄なく備えておきたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」「1.日本の最新がん統計まとめ」

※2 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」を参照し、医療費の合計は「制度・計」欄から「点数*10円」で計算、1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※3 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修FP
吉住 淳
AFP、2級FP技能士。金融系、債務系などの記事を多数執筆。ほかにもレストランやホテルのコンサルティングも手がけている。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5006 2月20日


Colorda編集部