2018.2.26

腫瘍マーカー「AFP」値が高い人は、肝臓がんにご用心。そのリスクと治療費への対策とは?

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

値が200mg/mL以上は要注意! 肝臓がんを調べる腫瘍マーカー「AFP」とは

「AFP」とは、肝臓がんの発見に役立つ腫瘍マーカーだ。「アルファフェトプロテイン(α-fetprotein)」の略で、もともとは、正常な胎児の肝臓などで作られている蛋白質である。通常、乳児期には消失していくが、肝臓の病気になるとAFPが再び生成され、それが血液中に出るようになる。そのためAFPは、肝臓がんの発見、その他肝臓の病気との識別や、肝臓がんの治療効果の判定、予後の指標として重視されているのだ。

一般財団法人・日本健康増進財団によると、AFPの基準値は10.0ng/mLとされている。つまりAFPの値が10.0ng/mLであれば正常で、AFP値が上昇するに伴い、肝臓がんなど肝臓の病気の可能性が考えられる。なお、同財団によると、AFP値が200~400mg/mLなら肝がんの可能性が高く、400~1,000mg/mL以上では非常に疑わしくなる。ただし、高値だからといって、必ずしも肝臓がんというわけではない。基準値を超えている場合は定期的に測定し、検査を受け、原因を探っていく。

肝臓がんと診断された場合、医療費はいくらかかるのか?

厚生労働省が公表している「医療給付実態調査(平成27年度)」によると、「肝及び肝内胆管の悪性新生物」の1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で583,923円(※1)。公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で175,177円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。

たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の肝及び肝内胆管の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(583,923円-267,000円)×1%」となり、83,269円が医療費の自己負担額の上限額となる。つまり、実際に支払った175,177円との差額91,908円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

ただし、差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療(*)や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がんの治療で行なわれている先進医療には、「重粒子線治療」や「陽子線治療」などがあり、重粒子線治療は1件あたり平均3,093,057円、陽子線治療は2,760,022円かかると厚生労働省から報告されている(※2)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

肝臓がんになったときのために…考えておきたい生活やお金のこと

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、初期には自覚症状がほとんどないといわれる。そのため人間ドックなどでの検査でAFP値の異常や、ほかの病気の精密検査時などにたまたま肝臓がんが発見されることも少なくない。いずれの肝疾患においてもアルコールや肥満などが肝機能障害のリスクになる。AFP値に不安を感じたら、食事療法や運動療法など、日頃から生活習慣の改善に取り組んでおこう。

万が一、肝臓がんにかかったときの経済的な不安への対策も考えておきたい。がん治療は、退院後も定期的な検診が必要になったり、仕事をセーブすることで収入が減ったりと、家計へのインパクトがある可能性がある。貯蓄のほか、がん保険などで対策したい。多くのがん保険では、がんと診断された場合に診断給付金を一時金として受け取れるなど、医療費のほか、必要な費用に役立てることができる。健康なうちの早めの対策が得策だ。

■ 出典
※1 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※2 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修FP
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5013 2月23日(190223)


Colorda編集部