2018.3.16

30代、40代の女性に必要な「子宮がん」「乳がん」への備え。考えたい治療と費用の問題

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

貧血、乳がん、子宮がん。女性は体調の変化にご用心。

女性は、貧血や生理通、生理不順など、若いうちから体調や病気に悩まされることがある。とくに、貧血は女性に多く、日本における鉄欠乏性貧血の割合は、男性で1%。対して女性では10%で、若い女性においては25%にも達している。貧血は体内の鉄欠乏により引き起こされる。血中に体内の鉄分の60~70パーセントが集中しているため、月経のある女性はとくに貧血になりやすいのだ。

貧血同様、女性が若いうちから気をつけておきたい病気に、「子宮がん」「乳がん」がある。子宮がんや乳がんは、20代から罹患数が増えはじめる傾向があり、さらに若いうちは進行が早いケースもあるため注意が必要だ。

女性の部位別がん罹患率 第5位「子宮がん」のリスク

国立がん研究センターの調査によると、2016年は約6,000人もの女性が子宮がんで亡くなっている(※1)。罹患数は合計24,099人で、全がんのなかでも第5位(※2)。うち子宮頸がんの罹患数が10,520件、子宮体がんが13,004件という内訳だ。

子宮頸がんも子宮体がんも20代から徐々に増えだし、30代後半から40代前半で急増する(※2)。以降の年代も罹患数は常に多い状態だ。女性は20代から、がんのリスクを身近なものとして意識したい。更年期障害や閉経にともない発症するケースもあるため、40代も注意が必要だ。

女性の部位別がん罹患率 第1位「乳がん」のリスク

国立がん研究センターの調査によると、2016年の乳がんによる死亡数は女性で約14,000件(※1)。女性のがん死亡件数の9%を占める数字だ。30歳から増えだし35歳から急増、40歳から44歳で罹患数は約7, 500人、45歳から49歳で1万人を超える。最近では自治体での乳がん検診も行われているので、積極的に受診してみよう。

子宮がんの入院治療費はいくら?

厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」をもとに、子宮がんの治療費を考えてみよう。「子宮の悪性新生物」で入院した場合の1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で599,164円になる(※3)。公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で179,749円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の子宮の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(599,164円-267,000円)×1%」となり、83,422円が医療費の支払い上限額となる。つまり、実際に支払った179,749円との差額96,328円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

ただし、差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療*や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がんの治療で行われる先進医療である「重粒子線治療」は1件あたり平均3,093,057円、「陽子線治療」は2,760,022円と厚生労働省から報告されている(※4)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。これらの費用は全額自己負担だ。

先進医療を希望する場合は、全額自己負担であることから医療費が高額になりがちだ。万が一のときのためにお金の備えはしておきたい。

治療費が生活に与える影響を考えて

がん治療にはまとまった治療費が必要になる。加えて、人間が生きるためには治療費以外にもお金が必要になることを考えておきたい。さらには、治療中は収入が減る可能性もあることも念頭においておこう。

たとえば、子どもの教育費。教育費は文部科学省の「平成26年度子どもの学習費調査」によると、小学校6年間の教育費は公立で合計1,930,248円、私立だと9,214,734円(※5)。同様に、中学、高校と費用がかかり、大学は公立、私立のほか、文系か理系かなど、学部によって学費に大きく差が出る。がん治療にお金を払いながら、教育費を捻出することはできるだろうか。また、そのほかにも、老後の生活費なども準備していく必要がある。

万が一のとき、経済的な心配をしないためにも、今のうちから治療費、その他の費用に備え貯蓄をしておきたい。ただし、がんの治療費は、ステージや治療方針で異なるため、実際にいくら必要かが見えづらい。医療保険やがん保険に加入し、給付金で備えるのもひとつの手だろう。

たとえば、がん保険には「上皮内新生物でも適用される」「診断給付金(がんだと診断されたときに受け取れる一時金など)がある」「治療方法による給付がある」などのいろいろなタイプがある。なかでも診断時に保障を受け取ることができるタイプ等は、がんそのものの治療だけでなく乳がんにおける乳房再建治療の費用に使うこともできる。保険は健康なうちでなければ加入できない、契約内容に条件が付くことがあるので、今のうちに考えてみるのもよいだろう。

乳がんは、早期発見・早期治療により、完治する病気になってきている。まずは、日頃の生活習慣に気をつけ、定期的な検査を心がけたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 1.死亡データ「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2016年)」上皮内がん以外、大腸に直腸、結腸を含む

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2013年)」

※3 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※4 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

※5 文部科学省「子供の学習費調査(平成26年度)」

■ 監修FP
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。
「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5055 2月28日(190228)


Colorda編集部
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