2018.3.16

40代後半が罹患のピーク! 乳がんのリスクと治療費を知ろう

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

20代後半から罹患数が増える乳がんは、定期検診が大切


乳がんは早ければ20代後半から罹患率が増え始め、40代後半でピークを迎える(※1)。国立がん研究センターがん対策情報センターの調べによると、2013年に女性が乳がんに罹患した数は76,839例あり、これは女性全体のがん罹患数の約21.1%に相当する(※1)。死亡数も2016年で14,015人と、女性のがん全体の死亡数の約9%を占める(※2)。

乳がんは早期に発見できて治療を行えば、快復が見込める病気である。自覚症状がなくても定期的に乳がん検診を受けるのが望ましい。主流は「マンモグラフィー検査」で、乳房内部を鮮明に映し出す。早期の乳がんを発見しやすいのがメリットだ。ただし、乳腺が発達している20代や30代は、病変が見えづらいケースがある。そこで、ほかにも乳房の病変やしこりの有無がわかりやすい「エコー(超音波)検査」、医師の視触診、血液検査を併用し、詳しく検査をしていきたい。

早期発見の大切さがわかる、ステージごとに下がる乳がんの生存率

がんの進行は0からIVまでの「ステージ」で表される。乳がんの場合は腫瘍の大きさやがんの範囲、転移の有無によってステージが決まる。しこりのない早期の乳がんであれば0期だが、しこりができるとI期、リンパ節の転移が認められるとII期といった具合にステージが上がる。III期になると病変が皮膚に現れ、IV期はほかの臓器まで転移した状態だ。

このようにステージが上がるほど乳がんは進行しており生存率も低下する。全国がん(成人病)センター協議会が2017年2月に集計した5年相対生存率によると女性の乳がんの生存率は、I期で100%、II期は96.1%、III期で84.9%だが、IV期になると52.9%まで下がる(※3)。ところがIV期まで進行すると33.3%と急激に下がる。この結果から乳がんは早期の発見と治療こそ重要だとわかる。

万が一、乳がんを患ったとき、生活はどう変わるのか?

ステージやがんの性質などにより、治療方針が異なるので、一概にはいえないが、乳がんの治療には手術や放射線治療、薬物療法などがある。手術、入院、退院後は長期にわたる通院で治療と再発チェックが行われるケースが多い。

乳がんの治療費は、厚生労働省「平成27年度 医療給付実態調査」によると、1件あたりの入院費用の平均額は、公的医療保険、高額療養費制度適用前でおよそ55万円となる(※4)。公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で約16.5万円の負担となり、さらに、高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万~50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。乳がんの治療費で考えると、「80,100円+(約55万円-267,000円)×1%」となり、約82,930円が医療費自己負担額の上限額となる。つまり、実際に支払った約16.5万円との差額約82,070円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで支払時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、「先進医療」を受ける場合は、公的医療保険を適用できないため技術料は自己負担になる。

※「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がん治療では「重粒子線治療」や「陽子線治療」などが挙げられるが、重粒子線治療は1件あたり平均約300万円、陽子線治療は約280万円と厚生労働省から報告されている(※5)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

たとえば、がん保険なら公的保険で適用外になる治療費を保障してくれたり、診断給付金が再発や転移時でも支給されたりするなど手厚い。長期の入院や通院のサポートも充実している。乳がんの治療における金銭的な負担を減らすことができる可能性が高い。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年〜2013年)」

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 1.死亡データ「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2016年)」

※3 全国がんセンター協議会 全がん協生存率調査 全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2006-2008年 手術症例)

※4 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」を参照し、医療費の合計は「制度・計」欄から「点数*10円」で計算、1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※5 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修FP
土居 亮規
AFP、2級FP技能士。金融系、債務系などの記事を多数執筆。ほかにもレストランやホテルのコンサルティングも手がけている。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5009  3月1日(190301)


Colorda編集部