2018.3.16

30歳前後から罹患数が増える「子宮がん」のリスクと治療費を知ろう

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

30代でも6,617人が子宮がんにかかっている事実


厚生労働省の「医療給付実態調査(平成27年度)」によると、2013年の子宮がんの入院件数は20代で858件、30代で6,617件、40代で14,057件、50代で19,805件、60代で23,950件と年齢とともに増えている(※1)。子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあるが、子宮頸がんはとくに、20代後半から罹患率が上がる傾向にあるため注意してほしい(※2)。20歳になったら定期的に子宮の状態をチェックし、がんの早期発見・早期治療を心がけよう。

子宮がんを調べる方法「細胞診」と「骨盤MRI検査」

子宮がんの検査方法は、おもに子宮の内膜から細胞を採取して調べる「細胞診」と、MRI装置に入って身体を画像診断する「骨盤MRI」の2種類ある。細胞診では検体にがん細胞が含まれているか、病変の有無を確認することはできるが、特定部位の確定は難しい。一方、骨盤MRIはがんを画像で形態的に確認することができ、さらに子宮周辺の臓器へがんが広がっていないかなど、部位の特定以外にも転移の確認もできる。

子宮がんの治療費はどれくらいかかるのか?

厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、30代の女性が「子宮の悪性新生物」で入院した場合の1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で586,010円になる(※3)。公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で175,803円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の子宮の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(586,010円-267,000円)×1%」となり、83,290円が医療費の支払い上限額となる。つまり、実際に支払った175,803円との差額92,513円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

ただし、差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療*や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がん治療で行われる先進医療は、「重粒子線治療」や「陽子線治療」だ。厚生労働省によると、重粒子線治療は1件あたり平均3,093,057円、陽子線治療は2,760,022円と報告されている(※4)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。これらは全額自己負担だ。

治療費だけでなく、がんに負けない対策を

治療後は体力が低下しているために、無理をせず、しっかり休むことも必要で、医療費以外にも家事・育児などに対する経済的な負担にも波及する可能性がある。仕事をしている人なら、通院のために欠勤や、短縮時間労働などが余儀なくされる場合もある。給与へのマイナスの影響も可能性として考えておくことが必要だ。

がんになるということは、経済的にも精神的にも負担があるだけでなく、その後の経過観察や生活の変化を含めた長期的なマネープランが必要になる。万が一のことを考え、健康なうちから経済的な面で安心の備えをしておくことを検討したい。たとえば、女性特有のがん保障を強化したがん保険の加入なども一手だ。セカンドオピニオンサービスなどを取り扱っているものもあるため、精神的なサポートの備えも得ることができるのは心強い。

■ 出典
※1 厚生労働省 医療給付実態調査 平成27年度「データベース2  性別、年齢階級別、疾病分類別、制度別、件数、日数(回数)、医療費 入院 (第4表の詳細版)」シート「制度計、女」参照

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年〜2013年)」

※3 厚生労働省 医療給付実態調査 平成27年度「データベース2  性別、年齢階級別、疾病分類別、制度別、件数、日数(回数)、医療費 入院 (第4表の詳細版)」シート「制度計、女」参照 1件あたりの平均治療費は「0207:子宮の悪性新生物」より、医療費/件数=1件当たり医療費として算出
30代:(1,366,323,550+2,511,304,790)/(2,374+4,243)=586,010

※4 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修FP
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。
「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5064 3月1日(190301)


Colorda編集部
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