2018.3.30

腫瘍マーカー「CYFRA」の数値が高い人が知っておきたい「肺がん」の罹患リスク、治療費のリスクを徹底調査

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

肺がんを調べる「CYFRA」の基準値は2.0ng/mL以下


がん細胞があると体内に作り出される物質を検知し、がんの早期発見や治療効果を上げるためなどに用いられる腫瘍マーカー。そのうちのひとつ「CYFRA(シフラ)」は肺がんの検査で用いられる腫瘍マーカーであり、とくに扁平上皮がん(へんぺいじょうひがん)の早期発見のために使われている。国立がん研究センターが定めるCYFRAの基準値は、「2.0ng/mL(IRMA法)以下」で、それ以上の場合は、肺がんが疑われる。

死亡数の多い肺がん、 40代後半ぐらいから罹患数が増加

厚生労働省の調査によると、2016年の部位別がんの死亡数がもっとも多いがんが、肺がんだ(※1)。男性は52,430人、女性は21,408人が亡くなっており、男女別の死因でみても、男性は1位となっている。

一方、肺がんの罹患数は、20代後半から30代前半は、男性より女性の方が多い(※2)。男女とも、40代後半からリスクが高まる傾向がある。その後、50代、60代以上は、高い罹患率をキープしている。

肺がんは、喫煙と深い関係にあることがわかっている。欧米では喫煙者は非喫煙者に比べて10倍以上、日本でも男性で4.4倍、女性で2.8倍、肺がんに罹るリスクが高くなるという研究結果もある。(※3)。

喫煙指数が600を超える人は、肺がんの危険性が高い

肺がんに罹る指標のひとつに「喫煙指数(ブリンクマン指数)」というものがある。この指標は、「1日あたりの喫煙本数 × 喫煙年数」で計算することができ、400を超えると肺がんが発生しやすい状態、600以上は危険性が極めて高い状態、1000以上は咽頭がんの発症者の平均値、1200以上は肺がんと咽頭がんの危険性がもっとも高い状態とされている(※4)。

たとえば、1日で1箱分(20本)のタバコを吸う生活を20年続けていると、20×20で400となる。この計算でいくと、日本では20歳からタバコを吸えるようになるため、わずか40歳にして肺がんの危険域に達するということになる。これはひとつの指標にすぎないが、一度、計算してみよう。

肺がんの入院医療費の平均は?

厚生労働省「平成27年度 医療給付実態調査」によると、平成27年度の「気管,気管支及び肺の悪性新生物」における1件あたりの医療費の平均額は、公的医療保険、高額療養費制度適用前でおよそ64.2万円。(※5)公的医療保険適用後の自己負担額は、たとえば、義務教育就学以降から70歳未満の人は3割の負担となり、さらに、高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万~50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。「気管,気管支及び肺の悪性新生物」の治療費で考えると、「80,100円+(約64.2万円-267,000円)×1%」となり、約83,850円が医療費自己負担額の上限額となる。つまり、実際に支払った約19.3万円との差額約109,150円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで支払時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。

また、「先進医療*」を受ける場合は、公的医療保険を適用できないため技術料は自己負担になる。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がん治療では「重粒子線治療」や「陽子線治療」などが挙げられるが、重粒子線治療は1件あたり平均約300万円、陽子線治療は約280万円と厚生労働省から報告されている(※6)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

万が一のとき、経済的な制約なく、心配せずに治療に専念できるように、医療費や、闘病中の生活費などに対して、健康なうちから備えておくとよいだろう。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 1.死亡データ「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2016年)」

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年〜2013年)」

※3 国立研究開発法人 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ 科学的根拠に基づく発がん性・がん予防効果の評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究 現在までの成果 喫煙と肺がんリスク

※4医療法人 行堂会 長野病院 ニコチン依存症のスクリーニングテストについて 資料

※5 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」を参照し、医療費の合計は「制度・計」欄から「点数*10円」で計算、1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※6 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修
土居 亮規
AFP、2級FP技能士。金融系、債務系などの記事を多数執筆。ほかにもレストランやホテルのコンサルティングも手がけている。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5016 3月1日(190301)


Colorda編集部
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