2018.3.30

50代男性が気をつけるべき病気第1位はなに? そのリスクと治療費に迫る

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 内科医・研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

「がん」は、50代男性の病気による死因第1位


厚生労働省の発表によると、50代の男性の病気による死因第1位は悪性新生物(がん)、2位は心疾患、3位は脳血管疾患となっている(※1)。同調査によると1位の悪性新生物が占める死亡率は、40代前半で全体の17.6%、50代前半では32.7と約2倍に増え、50代後半には40.3%、60代前半では45.8%になる。この数値から、50代はがんに対して本格的な対策が必要な年齢と言える。

50代男性が気をつけたい「がん」BEST5

国立がん研究センターの2013年の統計によると、50歳から54歳がかかりやすいがんは部位別で、1位が大腸(直腸、結腸を含む)、2位が胃、3位が肺、4位が腎・尿路、5位が肝臓だ(※2)。同報告で、55歳から59歳では、1位から3位は変わらないものの、4位が前立腺、5位が肝臓となっている。

実際に人間ドックでもがんが発見されており、日本人間ドック学会の発表によると、50代の男性で発見されたがん第1位は胃がんで374症例、2位が大腸がんで320症例、3位が前立腺がんで168症例に及ぶ(※3)。

がんの治療費はいくら?

がんの治療では、CT、レントゲン、エコーや生検、血液検査などの検査費用に加え、診察費用、手術費用、調剤薬局で支払う薬代、抗がん剤治療などの薬代、入院費用などがかかる。これらの費用は、基本的に国民健康保険や社会保険などの公的医療保険や高額療養費制度を利用できる。

たとえば胃がんの入院治療費を考えてみよう。厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、「胃の悪性新生物」による入院診療の件数は年間35万件以上にのぼり、1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で約61万円になる(※4)。公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で約18.3万円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の胃の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(61万円-267,000円)×1%」となり、83,530円が医療費の支払い上限額となる。つまり、実際に支払った18.3万円との差額99,470円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

ただし、差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療*の技術料や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がんの治療で行なわれている先進医療には、「重粒子線治療」や「陽子線治療」などがあり、重粒子線治療は1件あたり平均3,093,057円、陽子線治療は2,760,022円かかると厚生労働省から報告されている(※5)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

がんの治療方針や治療費は、部位、ステージ、治療方針で大きく差が出る傾向があり予測しづらい場合がある。そのうえに、入院期間は仕事ができず収入が減るケースもあり、がん治療による家計への影響は少なくないと言える。

まずは、早期発見・早期治療への対策を

がんは今や早期発見、早期治療で治る病気になってきている。放置して取り返しのつかない状態になる前に、人間ドックなどで定期的なチェックを心がけよう。

また、万が一、がんにかかった場合、治療費や生活費、収入減などを気にせずに治療に専念できるように、健康なうちから費用に備えておくことも考えておきたい。貯金や保険などの方法があるが、たとえば、がん保険であれば、がんと診断されたときに一時金で100万円受け取れるものや、通院保障、先進医療保障がある保険もあるので、一度、検討しておきたい。

■ 出典
※1 厚生労働省:死因順位(第5位まで)別にみた年齢階級・性別死亡数・死亡率(人口10万対)・構成割合

※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年〜2013年)」

※3 公益財団法人 日本人間ドック学会 2015年「人間ドッグの現状」 表6. 人間ドックで発見した臓器別がん症例数(2015年)P13 表7

※4 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算

※5 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。
「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5079 3月20日(190320)


Colorda編集部