2018.3.30

早めに対策! 女性特有の乳がんや卵巣がんへの備え方とは?

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 内科医・研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

20代でも要注意! 女性特有のがんはリスクが大きい


女性特有のがんには子宮頸がんと子宮体がん、卵巣がん、乳がんがある。国立がん研究センターがん対策情報センターが調査した2013年のデータによると、乳がんの罹患数は76,389人とすべての部位でもっとも多く、子宮体がんは13,004人、子宮頸がんが10,520人、卵巣がんは9,804人となっている(※1)。いずれも20代後半から30代前半にかけて罹患数が増え、50代前半まではこの4つのがんだけで女性の全がんの罹患数の半数を占める。

しかし、これらのがんは、早期発見・早期治療により生存確率が高いがんでもある。全国がんセンター協議会が公表しているデータによると、ステージⅠなら乳がんの5年後の相対生存率は100%、子宮頸がんは92.8%、子宮体がんは95.7%、卵巣がんは87.4%だ(※2)。

先進医療の費用は? 女性特有のがんで必要な治療費

がんの治療でとくに気がかりなのは治療費だ。厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によれば、公的医療保険と高額療養費制度適用前の1件あたりの入院治療費は、乳がんが約55万円、子宮がん(頸がん、体がんを含む)が約59万円である。※3公的医療保険適用後の自己負担額は、3割負担の方で、乳がんの場合約16.5万円、子宮がんの場合約17.7万円だ。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の乳がんの治療費で考えると、「80,100円+(55万円-267,000円)×1%」となり、82,930円が医療費の支払い上限額となる。つまり、実際に支払った16.5万円との差額82,070円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。同様に、子宮がんの場合、自己負担の上限額は83,330円、高額療養費制度を申請することで93,670円が後日戻ってくる。

ただし、差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療の技術料*や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

* 「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

陽子線治療や重粒子線治療はがん細胞だけをピンポイントで狙い撃ちできる治療だが、先進医療のため技術料は全額自己負担だ。厚生労働省の先進医療会議で公表された平成28年度の実績報告によると、陽子線治療は1件あた2,760,022円、重粒子線治療は3,093,057円かかる(※4)。そのほか、がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

備えが大事! 安心して治療に専念するには?

がんの治療方法には手術や放射線治療、薬物療法があり、子宮体がんではホルモン治療も加わる。どのように治療するかは、がんの性質やステージにもとづいて医師が決定する。もちろん患者の意向も可能な限り反映されるので納得できる治療方法を選びたい。

公的保険の適用はもちろん、高額療養費制度を利用すれば自己負担額は抑えられる。ただし、治療が長期化したり、公的保険適用外の治療を選択したりする可能性も考えておかなければならない。女性特有のがんは20代後半から30代前半にかけて罹患数が増える。だからこそ健康なうちに貯金や保険で備えておきたい。

「がん保険」も選択肢のひとつである。医療保険に比べると、がんに対する保障が手厚い。がんと診断されたときに一時金が支給されたり、入院や通院にともなう給付金の日数制限も緩和されたりする。経済的な負担が軽減されれば、安心して治療に専念できるだろう。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 がんに関する統計データのダウンロード  2. 罹患データ(全国推計値) 「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年~2013年) 」上皮内がんを含まない

※2 全がん協 部位別臨床病期別 5年相対生存率(2006-2008年 診断症例)

※3 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」1件あたりの平均治療費は「206 乳房の悪性新生物」「207 子宮の悪性新生物」を参照「点数*10円/件数」で計算

※4 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。
「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5065 3月23日(190323)


Colorda編集部