2018.5.11

がんが疑われたら…?がんの検査と診断の予備知識

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

「がんの診断」にはいくつかのステップがある


健康診断や人間ドックなどで、もしも、がんの疑いがあるとされたら。おそらく、ほとんどの人は不安でいっぱいになったり、あるいは頭が真っ白になったりと、平常心ではいられなくなるだろう。中には、疑わしいなら一刻も早く治療を開始したいと考える方もいるかもしれない。

しかし、はっきりとしたがんの診断をするためには、細やかな診察やさまざまな検査が必要となってくる。

がんの診断にはどのようなステップがあり、どのような検査があるのかを知っておけると、より医師との連携がとりやすくなりそうだ。

診察から診断までの流れ

がんが疑われてから診断に至るまでの大まかな流れを紹介する(※1)。

医師による問診・診察

現在の身体の状態や症状、これまでの病歴、喫煙や飲酒といった生活習慣、家族の病歴などの問診が行われる。

血液や画像、生検などでの精密検査

血液検査や画像検査、必要に応じて生検(メスや針などで、疑わしい部分の組織を一部切り取り調べる検査)などを行い、より詳しい検査を行ったうえで診断が確定する(※2)。また、治療方針を検討するために、病変の広がりも様々な検査を組み合わせて調べる。

疑われるがんの種類や身体の状態などによって、診断が確定するまでの期間は人それぞれ。検査のスケジュールで気になる部分があれば、担当医に相談しよう。

検査の種類と基本情報を知っておこう

一口に検査と言っても、がんの種類や部位によって、検査の内容は異なってくる。また、はっきりとした診断をするには複数の検査を行うことがほとんどだ。ここでは、がんの診断に用いられる主な検査の種類と基本的な情報を見ていこう。

エコー(超音波)検査

超音波を当てて身体の中を調べる検査。装置を身体に当てるだけなので痛みなどはなく、負担が少なく体内の状態を調べることができる(※1)。

レントゲン(X線)検査

X線による画像で身体の中を調べる検査。調べる部位によってバリウムや造影剤などを使用してより詳しく調べる場合は、検査前の食事制限などを指示されることもある(※1)。

CT検査

CTとはコンピューター断層撮影(Computed Tomography)の略(※3)。あおむけに寝た状態で筒状の機器を通過すると、X線によって身体の中の断面像が写し出され、より詳しく体内の状態を調べることができる。

より病変をはっきり写すために造影剤を使用するケースがあるが、造影剤によって気分が悪くなったり、蕁麻疹や痒みがでるなどのアレルギー反応が起こることも。アレルギー体質の方は、検査前に医師と相談を。(※1)

MRI検査

磁気共鳴撮影(Magnetic Resonance Imaging)の略称が、MRI検査(※4)。筒状の機器に入り身体の断面像を撮影する意味ではCTと似ているが、MRIでは大きな磁石と電波で体の断面像を撮影する。

強い磁力を用いるため、心臓ペースメーカーや人工内耳を装着している方はMRI検査を受けられず、また体内に人工関節などの金属が埋め込まれているなどで検査が受けられないことがある(※1)(※4)。

PET検査

PETとは陽電子放出断層撮影(Positron Emission Tomography )の略で、がん細胞が取り込みやすい薬剤に弱い放射性物質を付着させたもの投与し、その分布などからがんの活動を調べる検査方法(※5)。全身を一度に調べられることが、部位ごとに調べる検査と異なる点だ。

検査時には、まず腕にブドウ糖に似たFDGという薬剤を注射したのち、しばらくしてからあおむけの状態で筒状の機器に入り、身体の中を撮影する。薬に付着させた放射性物質は時間とともに弱まり、ほとんどが体外に排出される。

正確な検査のため、検査前は食事制限が必要。また、FDGががん細胞ではない細胞に取り込まれることなどもあるため、PET検査のみではなく、他の検査と組み合わせることが多い(※1)(※5)。

腫瘍マーカー検査

「腫瘍マーカー」とは、がんがあるときにつくられる特定の物質のうち、主に血液中に分泌される物質のこと。

血液検査で調べることができるため身体への負担は少ないが、腫瘍が良性の場合でもふえたり、反対にがんがあってもふえないことがある。そのため、腫瘍マーカーのみでがんの診断をすることはなく、進行したがんの動態を知るために使われることが多い(※1)(※6)。

内視鏡検査

先端にレンズがついた細い管を口や鼻、肛門などから挿入し、臓器などの状態をチェックしたり、粘膜に変化があった場合は詳しい検査ができるよう、その場で一部をつまみとったりする検査。(※1)

検査する部位によって、管の太さや検査の準備が異なってくる(※7)。また、臓器の様子がより正確にわかるよう、検査前には食事制限などをするケースがある。

病理検査

がんが疑われる細胞や組織を採取し、細胞の性質を調べる検査。
細胞や組織の採取方法は、内視鏡や針、メスなどで一部を採取する方法のほか、口や子宮などの粘膜をこすりとる方法、痰(たん)や尿などにある細胞を採取する方法などがある。

いずれも病理医と呼ばれる専門の医療スタッフによって詳しく調べられ、がんかどうか、がんであった場合はその種類が診断される(※1)。

診察や検査が続く間は、身体のこと、生活のこと、家族のこと、経済的なこと…など、あらゆることに対し不安になってあたりまえだ。なぜこの検査をするのか、この検査で何がわかるのか、検査をすることで身体に負担がかからないか、検査にどれくらい費用がかかるかといった疑問点や懸念点などは、ひとりで抱え込まず、担当医やがん相談支援センターなどに相談しよう。

■ 出典
※1 国立がん研究センターがん情報サービス「がんの検査と診断のことを知る」「まず、病気とあなた自身のことを調べることから始まります」
※2 国立がん研究センターがん情報サービス「用語集」「生検」
※3 国立がん研究センター 中央病院「CT検査」
※4 国立国際医療研究センター病院「MRI検査」
※5 国立国際医療研究センター病院「PET検査」
※6 国立がん研究センター がん情報サービス「がんの診断」「腫瘍マーカー」
※7 国立がん研究センター 中央病院「内視鏡検査」

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。


Colorda編集部
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