2018.5.11

リンパ節への転移がターニングポイントに? がんの「ステージ」とは

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

がんの「ステージ」はどう決まる?


がんについてのトピックスの中で、たびたび目にする「ステージ(病期)」という言葉。これは、平たくいえばがんの進行度合いの目安をあらわしたものだ。

多くの場合、がんのステージは進行度合いなどによって大きく5つに分類される(がんの種類によっては、より細かく分類されることもある)。

  • ステージ0:がんが上皮組織(粘膜)にとどまっている
  • ステージⅠ:上皮組織を超えているが筋肉層でとどまっている
  • ステージⅡ:筋肉層を超えて広がっているが(浸潤)、リンパ節までは広がっていない
  • ステージⅢ:筋肉層を超えて広がっており、リンパ節への転移がみられる
  • ステージⅣ:がんがはじめに発生したところの周囲の主要な血管や、他の臓器への転移がみられる

このステージの判定に大きく関わるのが、以下の3つの要素だ。

  • がんの大きさ
  • 周辺のリンパ節への転移の有無
  • 他の臓器への転移の有無

このほかにも、体調や年齢といったさまざまな要素を総合的に鑑みたうえでステージが判定され、今後の治療方針を検討するための重要な材料としてあつかわれる(※1)。

がんのステージ判定のカギとなる「リンパ節」とは?

がんのステージを判定する要素となっている「リンパ節」には、どんな役割があるのかをおさらいしてみよう。

リンパ節とは、血管のように全身にはりめぐらされている「リンパ管」が集まっている部分のこと。血管には血液が流れているように、リンパ管には「リンパ液」が流れており、主に老廃物や余分な水分、外から入ってきた細菌やウイルス、異物、変質した自分の細胞などを回収している。このリンパ液が運んできた老廃物などを濾過(ろか)したり、細菌などがいないかチェックしたり、いた場合には攻撃したりして身体を守る=免疫機能を果たしているのが、リンパ節だ。

日頃マッサージを受けている方なら、リンパ節は首やわきの下、足の付け根などに多くあることをご存知かもしれないが、腹部をはじめ身体のさまざまなところにリンパ節は存在している(※2)(※3)。

変質した自分の細胞であるがん細胞も、リンパ液によってリンパ節に運ばれ免疫機能からアタックされるが、なんらかの理由でスルーされ、リンパ管にのってもともとがんが発生した場所とは違うところに運ばれることがある。それが「リンパ行性転移」だ。
ちなみに、がん細胞が血液に入り込み、血流にのって運ばれることは「血行性転移」という(※4)。

身体のあちこちにがん細胞が散らばった状態ともなれば、当然治療の難易度も上がる。そのため、がんの進行度合いをみるうえで「リンパ節への転移の有無」が重要になってくるのだ。

早期のステージであれば、がんは克服できる

リンパ系などへの転移がみられないステージであれば、適切な治療を受けることでがんに命をおびやかされるリスクは低くなる。

一例として、胃がんの5年相対生存率(全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率 2007-2009年診断症例)をみると、ステージⅠでは97.4%、ステージⅡで65.0%%、ステージⅢまで進むと47.1%、ステージⅣでは7.2%との数値が出ている(※5)。

このことからも、がんは早期であればあるほど治療によって克服できる可能性が高いことは自明の理だ。しかし、がんの種類によっては早期では症状がほとんどあらわれないものもあり、自分で異変に気づきにくいケースも多い。

がんから身を守るには、健康的な生活を心がけることはもちろん、もしがんがあったとしてもステージが低いうちに発見できるよう、健康診断や人間ドックの定期的な受診も検討しておきたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センターがん情報サービス「がんの病期のことを知る」
※2 国立がん研究センターがん情報サービス用語集「リンパ節」
※3 中外製薬「からだのしくみ」「免疫」
※4 GMSがんメディカルサービス「最新がんブログ」「転移がんの種類に合わせた治療法」
※5 全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率 2007-2009年診断症例

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。


Colorda編集部
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