2018.5.11

「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」に異常がある人は要チェック! 「肝臓がん」のリスクと治療費を調査

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

肝臓がんを早期発見するには人間ドックを受診


「AST(GOT)」と「ALT(GPT)」は、人間ドックで肝臓を検査する際に使われている血液中の物質である。肝臓は「沈黙の臓器」といわれ、痛みなど自覚症状が出にくい臓器だ。そのため、自覚症状に乏しく、定期的な検査を受けないと、悪化した状態で疾患が見つかるケースが多い。

AST(GOT)とALT(GPT)は、共にたんぱく質を分解してアミノ酸を作る酵素だ。ALT(GOT)はほとんどが肝臓に存在し、一方、AST(GOT))は肝臓だけでなく、筋肉や赤血球など他の器官などにもある。AST(GOT)とALT(GPT)の両方が血液中で上昇している場合やALT(GOT)が単独で上昇している時は、肝臓の細胞が障害されている可能性が高くなる。さらに、肝臓がんの疑いがある場合には、検査の精度を上げるために、複数の腫瘍マーカーを利用して肝臓がんかどうかの判断を行うことになる。

40代以上は肝臓疾患、肝臓がんに注意

国立がん研究センターの調査によると、2016年の肝臓がんの部位別がん死亡数は、男性で4位、女性で7位と上位を占めている(※1)。30代後半から罹患数が徐々に増えだし、50代前半で1000人以上、50代後半で2000人以上、60代前半で4000人以上と急増していく病気だ(※2)。働き盛りの世代は、AST(GOT)とALT(GPT)の数値に注意したい。

肝臓がんにかかった場合の医療費は?

厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、肝臓がんの医療件数は約18万件、「肝及び肝内胆管の悪性新生物」で入院した場合の1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で583,923円になる(※3)。公的医療保険適用後の自己負担額は、たとえば、義務教育就学以降から70歳未満の人は3割負担の175,177円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適用前の金額を指す。先述の肝及び肝内胆管の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(583,923円-267,000円)×1%」となり、83,269円が医療費の支払い上限額となる。つまり、実際に支払った175,177円との差額91,908円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。差額ベッド代や食費、寝具料などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。また、先進医療*や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

先進医療を受けるかどうかは、医師と相談して決めていくが、先進医療を希望する場合、技術料は全額自己負担になるため、万が一のとき、費用の心配なく希望の治療を受けられるようにするために、お金の備えはしておきたい。

* 先進医療とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定される。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がんの治療で行われる「重粒子線治療」は1件あたり平均3,093,057円、「陽子線治療」は2,760,022円と厚生労働省から報告されている(※4)。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均約55万円、「前眼部三次元画像解析」で平均約3,600円などがある。

肝臓がんに備えるためには検診と経済対策が必要

肝臓がんにの多くはB型肝炎やC型肝炎の慢性感染の結果生じる。備えるために、まずは肝炎ウイルスの感染の有無のチェックだ。早期に診断すれば、肝炎ウイルス感染は薬で治療できる。
ついで、生活改善を図ること、早期発見を図る人間ドックを定期的に受けることが大切だ。
しかし、万が一、がんを患った場合のことを考えて、経済的な備えも考えておきたい。がん治療は、退院後も定期的な通院や再発チェックが必要で、長期間にわたるケースがある。がんサバイバーとして、治療をしながら働く人も増えている。長期の治療費だけでなく、収入が減ることの家計へのインパクトなども考えておこう。

経済的な備えの例として、がん保険であれば、がんと診断されたときに一時金が支給されたり、治療のための入院はもちろん、通院についても日数無制限で給付金が出たりするものがある。また、高額な先進医療を希望する場合は、特約として先進医療についても補償をするものもある。さまざまな視点で、肝臓がんのリスクに備えておきたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 1.死亡データ「人口動態統計によるがん死亡データ(1958年〜2016年)」
※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」 統計 がんに関する統計データのダウンロード 2. 罹患データ(全国推計値)「地域がん登録全国推計によるがん罹患データ(1975年〜2013年)」
※3 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算
※4 厚生労働省 第49回先進医療会議「平成28年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成28年度実績報告(平成27年7月1日~平成28年6月30日)

■ 監修
土居 亮規
株式会社バタフライファイナンシャルパートナーズ 代表取締役。
「金融商品を売らない投資専門アドバイザー」として100%顧客目線でのアドバイスや運用所業務・金融商品企画を本業とする傍ら、講演・執筆・投資商品の企画業務を行う。

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5062 3月27日(190327)


Colorda編集部