2018.8.24

前立腺がん、乳がんに関わりが? 見過ごせない、がんと「ホルモン」の話

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

そもそも、ホルモンとはどんなもの?


「ホルモンバランスを整えよう」など、健康を維持するためのキーとして語られる「ホルモン」。ホルモンとは、脳下垂体や甲状腺、生殖腺など身体のさまざまなところで作られ、内臓や身体の機能を調整する働きをもつ物質のことだ。

ホルモンは発見されているだけでも100種類以上で、それぞれ異なる働きをしている。例を挙げると女性ホルモンと呼ばれる「エストロゲン」や、血糖値の話で出てくる「インスリン」もホルモンのひとつだ。

身体のコンディションを整える物質なのであれば、ホルモンは多ければ多いほど良い、と考える方がいるかもれない。しかし、ホルモンは必要なときに、必要な分作られることが肝要。多すぎたり、少なすぎたりすると、不調や病気を招く原因ともなりうるのだ。

前立腺がん、乳がんにはホルモンが関与?

数あるホルモンのうち、生殖腺で作られる「性ステロイドホルモン(エストロゲン、プロゲストーゲン、アンドロゲンなど)」は、乳房や子宮体部、卵巣、前立腺といった部位のがんの発生に大きく関わっていると考えられている(※1)。そのため、乳がんや前立腺がんの治療ではホルモン療法が行われている。乳がんに対するホルモン療法はエストロゲンを働かないようにしてホルモン依存性の乳がんの増殖を抑える治療であり、前立腺がんに対するホルモン療法は男性ホルモンの分泌や働きを抑えがんの進行を抑える治療である。

では、これらのがんの罹患数はどのくらいなのだろう。国立がん研究センターの「最新がん統計まとめ(2013年の罹患数)」によると、男性の部位別がん罹患数の4位に前立腺がん、女性は1位に乳房、5位に子宮が入っている(※2)。ホルモンが関与するがんが、がん罹患数の上位にランクインしていることがわかる。

女性ホルモンに似た働きをする「イソフラボン」の影響は?

さて、性ステロイドホルモンのひとつ、エストロゲンに似た構造をもつ成分がある。それが、大豆などのマメ類に含まれている「イソフラボン」だ。食品などからのイソフラボンの摂取が、場合によっては体内のエストロゲンの働きに影響するとされている。つまり食習慣によって、がんのリスクを下げることにも、高めることにもつながる可能性があるということだ(※3)。

先に述べているように、ホルモンは多すぎても、少なすぎても不調を招く。イソフラボンなど健康に良いとされる成分やそれが含まれる食品も、過剰に摂取したり、あるいは極端に避けたりするのではなく、自分の身体に適切な量を心がけたい。

インスリンとがんの関係

膵臓から分泌されるホルモン、インスリンは、血糖値(血液中の糖の濃度)を一定に保つ働きをしている。インスリンがなんらかの理由でうまく作用しないと、血糖値が上昇し、糖尿病を招くケースがある。

それだけでなく、インスリンの作用の低下と、がんとの関連性が推察されている。インスリンが十分に働かないと、それを補うためにインスリンがたくさん放出される「高インスリン血症」という状態になる。すると、インスリンやインスリンに似た物質IGF-I(インスリン様成長因子1)の血中濃度が高くなり、これらが内臓の腫瘍を刺激するなどの作用によって、がんが発生する可能性が考えられるという(※4)。

このように、一部のがんはホルモンの影響を受けて発生する可能性があることがわかっている。ホルモンバランスは加齢により乱れるほか、生活習慣の乱れや睡眠不足、ストレスなどが原因でも変化するので、日頃から規則正しい生活を心がけたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「人のがんに関わる要因」「6.生殖要因とホルモン」「1 体内の性ホルモン」
※2 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」「1.日本の最新がん統計まとめ」
※3 国立がん研究センター がん情報サービス「人のがんに関わる要因」「6.生殖要因とホルモン」「3 リグナン、イソフラボンなど」「4 インスリン」
※4 国立がん研究センター 予防研究グループ「多目的コホート研究」「糖尿病とその後のがん罹患との関連について」

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。


Colorda編集部
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