2018.8.31

万が一、子宮がんにかかったら、何日入院するの? 治療費はいくらくらいかかるの?

上 昌広(かみ まさひろ)
この記事の監修ドクター
特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長
医学博士、星槎大学 客員教授、相馬市健康対策専門部会委員、相馬市放射能対策アドバイザー
山本 佳奈(やまもと かな)
この記事の監修ドクター
医療ガバナンス研究所 研究員
内科医として勤務する傍、「女性の総合医」を目指し日々研鑽する。
自身の貧血体験から大学時代より上昌広氏を師事。

20代でも罹患する子宮がん


子宮がんとは、子宮の入り口である子宮頸部や、子宮の内側である子宮体部にできるがんのことである。国立がん研究センターがん情報サービスの「最新がん統計」によると、2013年の子宮がんの罹患数は全がんのうち女性で5位(※1)。

子宮がんのなかでも、若い世代では子宮頸がんの発症リスクが高く、これにはヒトパピローマウイルス (HPV)が深く関係している。これは性交渉によって感染するウイルスで、長期感染によりがんが発症するとされている。つまり、性交開始が早いほどウイルスの持続感染のリスクが高い。子宮頸がん検査で定期的にチェックすることが望ましい。

子宮がんになったら、どれくらい入院するの?

子宮がんになった場合、どれくらい入院して、治療費はいくらくらいかかるのだろうか?厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、「子宮の悪性新生物」の年間の入院件数は約89,000件で、平均入院期間は約10.9日だ(※2)。この間は、仕事や家事を休まなければいけなくなる。仕事をしている人であれば、入院中や入院前後の通院中は、収入が減る可能性がある。また、小さな子どもがいる場合は、延長保育やベビーシッター代などの出費がかさむ可能性があることを覚えておこう。

子宮がんの入院費はいくらくらいかかるの?

厚生労働省の「医療給付実態調査 報告書 平成27年度」によると、「子宮の悪性新生物」の1件あたりの入院診療費用の平均額は、公的医療保険と高額療養費制度適用前で約59.9万円(※3)。公的医療保険適用後の自己負担額は3割負担の方で約17.9万円を支払うことになる。さらに高額療養費制度を申請することで上記費用の負担が軽減される。高額療養費制度とは、その月の医療費が一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる制度だ。

たとえば、70歳未満の標準報酬月額が28万〜50万円の方の場合、「80,100円+(総医療費-26.7万円)×1%」が自己負担額の上限額となる。この総医療費とは公的医療保険適応前の金額を指す。先述の子宮の悪性新生物の治療費で考えると、「80,100円+(約59.9万円-26.7万円)×1%」となり、およそ8.3万円が医療費の自己負担額の上限額となる。つまり、実際に支払った約17.9万円との差額約9.6万円が、高額療養費制度を申請することで後日戻ってくる。また、事前に手続きを申請することで、支払い時に自己負担分のみの支払いにすることも可能となる。

ただし、今回例で示した金額は、あくまで入院診療費用の平均額であるため、通院治療で行った放射線治療や抗がん剤治療等の費用や検査費などは含まれていない点に注意してほしい。また、差額ベッド代や食費などの費用は公的医療保険対象外のため自己負担となる。さらに、先進医療の技術料や自由診療などの費用は公的医療保険の対象にならないことも覚えておこう。

先進医療の技術料は全額自己負担

「先進医療」とは、厚生労働大臣が認める医療技術で、医療技術ごとに適応症(対象となる疾患・症状等)および実施する医療機関が限定されている。また、厚生労働大臣が認める医療技術・適応症・実施する医療機関は随時見直される。

がん治療では「重粒子線治療」や「陽子線治療」などが挙げられるが、重粒子線治療は1件あたり平均3,149,172円、陽子線治療は平均2,765,086円と厚生労働省から報告されている(※4)。また、子宮がんの治療で行われる先進医療は、重粒子線治療や陽子線治療のほか、「腹腔鏡下傍大動脈リンパ節郭清術」「内視鏡下手術用ロボットを用いた腹腔鏡下広汎子宮全摘術」などが指定を受けている。がん以外の先進医療で実施数が多いものとしては、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」で平均581,224円、「前眼部三次元画像解析」で平均3,483円などがある。これらの費用は、公的医療保険の対象外のため全額自己負担だ。

子宮がんの治療費にどう備える? 貯蓄? 保険?

がんはいつ、いくら必要になるかわからない。治療の際は、先進医療を選択するかもしれないし、入院や通院が長期間に及ぶ可能性もある。もしかすると、再発する可能性もあるし、例えば10年後に起こるのか、半年後に起こるのかも予想がつかない。

がんの治療費を貯金で貯めることもできるが、ある程度の期間が必要になるし、予想外の出費は貯金ではまかないきれない可能性がある。たとえまかなえたとしても、老後や子供の養育費など、その後に必要なお金の一部を切りくずさなければならない可能性がある。さらに、入院や通院治療中は収入減も予想される。預貯金ですべて備えるには、不明確な点が多いのではないだろうか。

このような不明確な家計のリスクに対しては、保険が役にたつ。例えば、がん保険であれば、保険会社によって内容は異なるが、がんの手術や入院、通院の費用が保障されるほか、がんと診断されたときに一時金が給付される場合が多い。また、特約の付加によっては再発や転移時も給付金を受け取れたり、先進医療も保障の対象になったりするため、公的医療保険だけでは賄いきれない可能性のある費用を、カバーすることができる。現在の貯蓄金額や家計収支を検討し、最適な手段、保険を選ぶようにしたい。

■ 出典
※1 国立がん研究センター がん情報サービス「がん登録・統計」「1.日本の最新がん統計まとめ」
※2 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」を参照し、1件あたりの平均入院期間は「日数/件数」で計算
※3 厚生労働省 医療給付実態調査 報告書 平成27年度「第3表 疾病分類別、診療種類別、制度別 件数・日数(回数)・点数(金額)」のシート「第3表入院」を参照し、医療費の合計は「制度・計」欄から「点数*10円」で計算、1件あたりの平均治療費は「点数*10円/件数」で計算
※4 厚生労働省 第61回先進医療会議「平成29年6月30日時点における先進医療Aに係る費用」平成29年度実績報告(平成28年7月1日~平成29年6月30日)

※本記事は、特定の保険会社や保険商品について推奨するものではありません。
AFH290-2018-5168 6月25日(190625)


Colorda編集部
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