「自然の恩恵である温泉は美容と健康に良い」。その理由が今、明らかになろうとしている。温泉の効能の秘密は、温泉に潜む藻、RG92。これが世界有数の別府温泉(大分県別府市)で見つかったのだ。無限大の可能性を秘め、スキンケア、ヘアケア、ヘルスケアと、様々な分野での活躍が期待されている温泉の歴史が生んだ奇跡の藻の秘密に迫る。(全6回)

2016.6.30

Vol.4 温泉で美肌に! 温泉酵母と温泉藻類®RG92が持つスキンケア効果に迫る

第3回では、薄毛の原因と温泉藻類による改善効果を紹介させて頂きました。ですが、やはり温泉の効果効能といえば、皮膚病や美容という印象が強いのではないでしょうか。今回は、温泉が持つ様々な効果のなかから、季節柄気になる「スキンケア」についてお話しします。

日焼け&虫刺され&ニキビ対策に温泉の藻?!

夏本番となるこれからの季節の悩みに、紫外線アレルギー、日焼けや虫刺され、ニキビの悪化などのお肌のトラブルがあると思います。きちんと対策したはずなのに、気づかないうちに日焼けをしてしまい肌がヒリヒリする、ニキビが悪化してしまった、虫刺されで肌がチクチクする、かぶれるという方も多いのではないでしょうか?

わたしたちが別府温泉から発見した『温泉藻類®RG92 ※1』はこれらの症状の緩和や予防対策として効果があることが分かっています。

温泉藻類®RG92による肌荒れ改善例

温泉藻類®RG92による肌荒れ改善例

<図1 温泉藻類®RG92による肌荒れ改善例>

図1は紫外線アレルギーの方、および化学物質の継続使用が原因で皮膚がただれてしまった方からご提供頂いた写真です。どちらも炎症が酷く、赤みや腫れが目立っていました。このように症状が深刻な場合は、使用する薬やスキンケア商品の治癒効果はもちろん、安全性も極めて重要になりますが、天然成分である『温泉藻類®RG92』を塗布し続けたところ、肌の赤みや荒れが消え、患部がキレイになりました。これは『温泉藻類®RG92』が安全性と効果を兼ね備えていることを示す結果となりました。

さらに、研究を進めるうちに、『温泉藻類®RG92』は高い抗炎症作用を持っており、日焼け、虫刺され、ニキビ、湿疹などの炎症に起因する肌トラブルに広く役立つことが明らかになりました。

さて、これからの季節にとくに気になる日焼けの原因となる紫外線とニキビの原因菌であるアクネ菌について、もう少しお話しさせて頂きたいと思います。真夏の炎天下で強い紫外線を浴び続けると、細胞内で活性酸素が発生し、炎症反応を引き起こします。日焼けによるヒリヒリは、このような炎症が進み、一種のやけど状態となるものです。ひどい場合には赤くただれたり、水ぶくれになったりしてしまいますので、十分に気をつける必要があります。

このような紫外線の肌への影響は有名ですが、「なぜニキビ?」と不思議に思われた方もおられると思います。実は、ニキビの悪化にも紫外線が深く関与していることが分かっています。ニキビの原因菌であるアクネ菌が作り出すポルフィリンに紫外線が当たると、活性酸素(一重項酸素)が発生します。この活性酸素が肌を老化させ、加えて皮脂の酸化を促進することで、ニキビの炎症を悪化させてしまうのです。

このようにニキビと紫外線は深い関係にあるので、これからの季節はニキビを悪化させないためにも紫外線対策が必要です。紫外線による日焼けやニキビが悪化する過程には、すべて炎症反応が関与しています。ですので、皮膚のなかで進んでいる炎症を抑えることが皮膚トラブルの解消につながることをご理解頂けると思います。

泉藻類®RG92の作用機序

<図2 温泉藻類®RG92の作用機序>

これまでの研究で『温泉藻類®RG92』は肌トラブルの原因となる炎症誘導因子やコラーゲン分解酵素を減らし、かゆみ因子であるNGFを抑えることも明らかになりました(図2)。つまり、『温泉藻類®RG92』は、皮膚の炎症を抑えることで、紫外線やアクネ菌などによる炎症から肌を守ったり、虫刺されによるかゆみを抑えたりして肌トラブルを改善しながら、シワやタルミを予防してくれる優れものなのです。

ツヤツヤ美肌へ導く『温泉発酵コラーゲン ※2

『温泉藻類®RG92』で肌を守ることは重要です。しかし、肌の再生には守りだけでは不十分。同時に細胞を元気にして再生を促す必要があります。そこで、私たちが注目しているのが、温泉由来の酵母を使った低分子化(加水分解)コラーゲンの『温泉発酵コラーゲン』です。

みなさんもコラーゲンが肌に良いことはご存知ですよね。しかし、通常、コラーゲンは大きな分子なので、肌の表面から吸収されにくいという欠点をご存じでしょうか?いくら良いものでも、肌に浸透しなければ、肌を蘇らせることはできませんよね?

温泉酵母の発酵力を用いて低分子化された『温泉発酵コラーゲン』は、通常の加水分解コラーゲンよりもさらに肌に浸透しやすく、肌の内側から代謝を促し、シミやシワを改善し、美肌へ導く効果が期待されています。

加水分解コラーゲン配合によるアトピー性皮膚炎の改善例

加水分解コラーゲン配合によるアトピー性皮膚炎の改善例

<図3 加水分解コラーゲン配合によるアトピー性皮膚炎の改善例>>

図3の写真は長年アトピー性皮膚炎を酷く患っておられた方のものです。このような状態の方でも、『温泉発酵コラーゲン』の力で、症状が改善され肌全体がキレイに生まれ変わった事例があります。

これまでに明らかになった美肌効果と作用機序をまとめます(図4)。

温泉酵母由来の加水分解コラーゲンの作用機序

<図4 温泉酵母由来の加水分解コラーゲンの作用機序>

美肌の再生にはスキンターンオーバーの正常化がカギとなっています。スキンターンオーバーとは、肌を構成している表皮細胞の生まれ変わりのことで、成人で約28日周期と言われています。加齢、ストレス、様々な刺激により、この周期が乱れると、肌の修復能力が衰えたり、メラニン色素の排泄機能が低下してシミが増えやすくなったりすると考えられています。症状が進めば進むほど、肌の再生に時間がかかりますので、早期の対応が望まれます。

『温泉発酵コラーゲン』は、細胞の活動に必要なエネルギー(ATP)の生産を促します。これによりスキンターンオーバーが正常化し、コラーゲンやヒアルロン酸を作る繊維芽細胞の増殖を促進。その結果、肌再生力の向上、シミの減少、肌の弾力や潤い向上などの美肌効果が得られると考えています。

以上のように、温泉藻類や温泉酵母はスキンケア分野への応用が進んでいます。そのほか、これらの温泉原料が皮膚細胞内の老廃物を除去・リサイクルする機能(オートファジー)を高める効果を持つことや、老化誘導物質(活性酸素、AGE、化学物質)によるダメージの緩和効果といったアンチエイジング効果を持ち合わせることも確認しています。

多岐にわたる温泉の力に驚かされるばかりですが、私たちは今後も、美容と健康に貢献する温泉成分の研究活動を進めていきます。

※1:化粧品成分名は緑藻エキス
※2:化粧品成分名は加水分解コラーゲン

次回は、温泉効果の代名詞とも言える身体の痛みや疲れを抑える「ヘルスケア」についてご紹介します。どうぞお楽しみに!


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Colorda編集部