子宮頸がん検診の結果がなかなか届かず不安な方、届いたけれど専門用語が多くよくわからない方に、子宮頸がん検診の結果が届く時期や報告書の見方、要精密検査の確率やその後の検査、医療施設選びについて解説します。
★こんな人に読んでほしい!
・子宮頸がん検診を受け、結果がいつ届くか知りたい方
・子宮頸がん検診の結果が届いたが、見方がよくわからない方
・子宮頸がん検診の結果「異常なし」だったが、なんとなく不安な方
★この記事のポイント
・子宮頸がん検診の結果は約10日~1ヶ月後に郵送。医療施設に結果を聞きに行く場合もある
・細胞診のベセスダシステムでは「NILM(ニルム)」が異常なしで、そのほかはすべて「要精密検査」となる
・子宮頸がん検診で要精密検査となったうち、がんが見つかるのは約1%
・子宮頸がん検診では「がんの手前の状態」が見つかることもある
・子宮頸がんは早期発見できれば子宮を残す治療法を選択できるケースもある。要精密検査となったら必ず受診を
目次
子宮頸がん検診の結果が届く時期と通知方法
子宮頸がん検診とは
子宮頸がんは20代後半から増加し始めるがんです*1。厚生労働省は自治体等が実施する子宮頸がん検診において、以下の内容での検診を推奨しています*2。
20代・30歳以上の女性:問診・視診・子宮頸部細胞診・内診(2年に1回)
30歳以上の女性:問診・視診・HPV検査単独法(5年に1回)
2024年4月から、子宮頸がん検診の新しい検査方法としてHPV検査単独法が追加されました。HPV検査の対象は30歳以上の女性で、受診間隔は5年に1回です*1。ただし、2026年度の実施自治体は8自治体にとどまっており*3、まだ広く普及しているとは言えません。HPV検査を受けたい場合は、自由診療にはなりますが人間ドックなどで実施施設を探してみましょう。
子宮頸がんの主因であるHPVや、子宮頸がん検診の費用について知りたい方は下記記事をご覧ください。
子宮頸がん検診の結果の通知時期は?
子宮頸がん検診の結果は、受診から10日~1ヶ月後を目安に郵送で届くパターンと、検診を受けた医療施設まで結果を聞きに行くパターンがあります。結果の通知方法や郵送時期の目安は事前に確認しておき、目安の時期を過ぎても結果が届かない場合は受診先に問い合わせましょう。
健康診断の結果が届かず不安な方は、下記記事をお読みください。
結果が悪いと連絡が遅れる? 結果通知時期についてのよくある質問
子宮頸がん検診の結果が届く時期と連絡方法についてのよくある質問を2点紹介します。
検査結果が悪いと通知の時期が遅くなる?
検査結果によって通知の時期が早くなったり、遅くなったりすることは基本的にありません。検査結果が遅くなる原因としては、検診が混みあっていることが考えられます。
一般的に4月~11月頃までは会社の健康診断などにより混雑する傾向があります。逆に比較的空いているのは12月~2月頃です。なお、検診を受けた医療施設によっても結果の通知時期に差があります。提示された時期を過ぎても結果が届かない場合は問い合わせましょう。
検査結果が悪い場合、通常の結果通知の前に電話連絡がある?
医療施設によっては、早急に精密検査がすすめられる場合などに電話で連絡をする場合があります。他方、結果にかかわらず電話での回答はしないとしている医療施設もあり、対応は医療施設によって異なります。
電話で連絡を受けたら、大きな不安を感じるものでしょう。しかし、がんが確定したわけではありません。ひとりで説明を聞くのがためらわれる場合は、家族などに付き添ってもらうとよいでしょう。
子宮頸がん検診の結果の見方
子宮頸がん検診の目的は「異常なし」「要精密検査」のスクリーニング
子宮頸がん検診は、厚生労働省が推奨している5つのがん検診(胃がん・子宮頸がん・肺がん・乳がん・大腸がん)のひとつです*2。これらのがん検診は一次検診であり、精密検査が必要な人と不要な人のスクリーニング(振り分け)が行われます。この検診結果が「要精密検査」だった場合、二次検診(二次検査・精密検査)が案内されます*4。
子宮頸がん検診で行われる子宮頸部細胞診とHPV検査は、子宮頸がんの死亡率減少効果が認められている検査方法です*5。いずれも子宮頸部の細胞をブラシなどで採取し、細胞の異常やHPVへの感染がないかを調べ、何らかの所見があった場合に二次検診が案内されます*1。
子宮頸がん検診の結果報告書の様式は、医療施設によってさまざまで、「精密検査不要(異常なし)」「要精密検査(異常あり)」のいずれかのみが記載されている場合*6や、細胞診の判定方法である「ベセスダシステム」ならびに細胞所見などが記載されている場合もあります。また、HPV検査の場合は、「陽性」「陰性」で区分される場合や、「要精密検査」の記載がある場合もあります。事項では、子宮頸がん検診の主流である細胞診の結果の見方を解説していきます。
ベセスダシステム(ベセスダ分類)の見方
子宮頸がん検診で実施される子宮頸部細胞診の報告様式は5段階評価の「クラス分類」が使われてきましたが、2008年より日本国内でも、国際的に使われている「ベセスダシステム(ベセスダ分類)」が用いられています*7,*8。結果報告書によっては移行期間としてクラス分類とベセスダシステムの両方が記載されている場合もあります。ベセスダシステムでは子宮頸がん検診の結果を下記のように分類しています。
| 略語表記 | 細胞 | 細胞診の結果 | 結果の説明 | 必要な検査 |
|---|---|---|---|---|
| NILM (ニルム) |
扁平上皮系 | 陰性 | 正常または 正常範囲内の所見 |
定期検査 |
| ASC-US (アスカス) |
意義不明な 異形扁平上皮細胞 |
異形成とは言い切れないが 細胞に変化がみられる (良性悪性の区別ができない) |
要精密検査 (HPV検査もしくは 6ヶ月以内の子宮頸部細胞診) |
|
| ASC-H (アスクエイチ) |
HSILを除外できない 異形扁平上皮細胞 |
異形成がみられ、 HSILの可能性が疑われる |
要精密検査 (コルポスコピー、生検) |
|
| LSIL (ローシル) |
軽度扁平上皮内病変 | 細胞がHPV感染し傷ついた状態、 軽度異形成(CIN1)がみられる |
||
| HSIL (ハイシル) |
高度扁平上皮内病変 | 細胞がHPV感染し傷ついた状態、 中等度異形成(CIN2)、 高度異形成・上皮内がん(CIN3) の可能性が疑われる |
||
| SCC | 扁平上皮がん | 扁平上皮がんが疑われる | ||
| AGC | 腺細胞系 | 異型腺細胞 | 腺に異型はあるが、 上皮内腺がん(AIS)とするには 異形が弱い、あるいは 腺がんが疑われる |
要精密検査 (コルポスコピー、生検) |
| AIS | 上皮内腺がん | 間質浸潤を欠く内頸部腺がん (腺がんの前がん病変) |
||
| Adenocarcinoma | 腺がん | 浸潤腺がん (進行した腺がん) |
||
| other malig. | その他 | その他の悪性腫瘍 | その他の悪性腫瘍が疑われる | 要精密検査 (病変検索) |
表内の「必要な検査」欄を見るとわかるように、ベセスダシステムでは「NILM(ニルム)」が異常なし、それ以外はすべて再検査や精密検査が必要です。ただし、再検査や精密検査が必要だからといって、必ずしもがんが見つかるわけではありません。悪性と良性の区別がつかない「ASC-US(アスカス)」や、軽度の異常を示す「LSIL(ローシル)」の場合は、がんへと進む前に異変が自然に消退するケースも少なくありません。
たとえ子宮頸がんが見つかったとしても、早期であれば子宮頸部の一部のみを手術で切除し、子宮そのものは温存できるケースもあります。定期的ながん検診により早期発見し、適切な治療をすることで、妊娠・出産への影響を少なくすることにつなげられます。子宮頸がん検診の結果、要精密検査など二次検診の案内があれば必ず婦人科を受診しましょう。
子宮頸がん検診で「要精密検査」になった方は、下記記事もあわせてお読みください。
細胞所見欄の見方
子宮がん検診の結果報告書に細胞所見の欄がある場合、「扁平上皮細胞」「円柱上皮細胞」「遊走細胞」といった項目に「+(プラス)」や「FEW」などと記されている場合があります。これらは子宮頸部を構成する細胞の名称と、検査で採取された細胞の比率であり、子宮頸がんの陽性・陰性を示すものではありません。
【扁平上皮細胞】
子宮頸部の膣側にある細胞です。扁平上皮細胞は表層細胞・中層細胞・傍基底細胞の3層で構成されており、これらはホルモンの影響で比率が変化します*9。そのため、月経周期などによって「+」または「++」など結果が異なることがあります。この扁平上皮細胞にできるがんを「扁平上皮がん」と呼びます。扁平上皮がんは子宮頸がん全体の80%程度を占めます*10。
【円柱上皮細胞】
子宮頸部の子宮側で粘液を分泌する細胞(腺細胞)です。腺細胞にできるがんを「腺がん」と呼びます。腺がんは、子宮頸がん全体の20%程度を占めます*10。
【遊走細胞】
好中球(白血球の一種)やリンパ球など組織を自由に移動できる細胞を指します。遊走細胞の増減は感染症などにかかっているかどうかのサインとなります。
細胞所見の欄にはこのほかにトリコモナスや真菌(カンジダ)などの感染症の有無が記されていることもあります。
子宮頸がん検診で「要精密検査」になる確率と前がん病変について
子宮頸がん検診で「要精密検査」になる確率は約2%。そのうちがん確定の割合は約1%
要精密検査(異常あり)という結果を手にした方は、「がんかもしれない」という不安にかられることでしょう。しかし、要精密検査の通知=がんの確定、ではありません。
| がん検診受信者数(A) | 3,383,401人 |
| 要精密検査者数(B) | 77,839人 |
| がん検診受診者数に対する割合(B/A) | 2.30% |
| がんであった者数(C) | 769人 |
| がん検診受診者数に対する割合(C/A) | 0.02% |
| 要精密検査者数に対する割合(C/B) | 0.99% |
厚生労働省によると、2023年度の子宮頸がん検診の受診者のうち、要精密検査になった人は全体の2.3%で、そのうちがんが見つかった人は約1%です*11。
数字をみる限り、精密検査を受けに行かなくてもいいだろうと思うかもしれませんが、子宮頸がん検診の検査の結果が「要精密検査」などとなった場合は、必ず精密検査を受けましょう。子宮頸がん検診では、子宮頸がんの前の段階である「前がん病変(異形成)」を発見することもできるためです*12。
がんの前の段階「前がん病変(異形成)」が見つかることもある
子宮頸がんのおもな原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)は、性交渉の経験がある女性の80〜90%が感染したことがあるとされるほどありふれたウイルスであり、多くは感染しても免疫の働きなどにより自然排除されます*1。しかし、何らかの理由で感染が持続すると、数年~数十年をかけてがんの前の段階にあたる「前がん病変(異形成)」を経て子宮頸がんに進行することがあります*1。前がん病変になっても進行しない場合もあり、必ずしもすべての人が子宮頸がんを発症するわけではありませんが*1、検診により自身の状態を把握しておくことが非常に大切です。
性交渉未経験の方が子宮頸がん検診を受ける必要性については、以下の記事で詳しく解説しています。
子宮頸がんの前がん病変(異形成)はCIN1・CIN2・CIN3の3段階
HPVによる細胞の異常を、子宮頸部上皮内腫瘍(Cervical Intraepithelial Neoplasia)、略してCINと呼びます。子宮頸がんの前がん病変(異形成)は、進行段階により「CIN1(軽度異形成)」「CIN2(中等度異形成)」「CIN3(高度異形成・上皮内がん)」の3つに分類されます*10。
CIN1からCIN2に進行する割合は12.5%程度、そこからCIN3に進む割合は20%程度です*1。CIN3の段階で発見されれば、病変のある部分のみ切除する治療により、子宮を温存することが可能です*1。
子宮頸がんの経過について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
検診で子宮頸がんが見つかった人も。みんなの体験談
検診をきっかけに、子宮頸がんや前がん病変が見つかった方の声を紹介します。
はちすけさん(年齢未回答)
とくに理由もなく、なんとなく受けた人間ドックでステージ3の子宮頸がんが見つかりました。人間ドックを受けてなかったら手術も間に合わない段階だったそうです。病気が見つかるのが怖くて人間ドックを受けたくないという話も聞きますが、症状が出てからでは遅い病気もあります。私の場合、とくに自覚症状はなかったのに、ステージ3の子宮頸がんでした。何もなくても、人間ドックを受けてほしいです。…もっと読む
みちるさん(40歳・女性)
毎年人間ドックで子宮頸がん検診を受けていましたが、産後1年だけ受診しなかった年がありました。翌年、上司のすすめで受診したところ、「CIN3」の前がん病変が発覚。すぐに手術をしました。30代の前半と若かったので、進行も早かったようです。自覚症状もなかったので、あのとき検診を受けなかったら…と思うと、受診をすすめてくれた上司には感謝しかありません。…もっと読む
おふたりに共通しているのは、「自覚症状がなかった」ことです。子宮頸がんをはじめ、多くのがんは自覚症状に乏しいことがほとんどです。早期発見のためには定期的に検診を受け、もしも要精密検査になったら必ず受診することがとても大切です。
人間ドックのミカタでは、このほかにもたくさんの人間ドック体験談を掲載しています。こちらからご覧ください。
精密検査は必ず受診を。医療施設選びも大切
子宮頸がんの精密検査では、コルポスコピー検査(コルポスコープという拡大鏡を用いて子宮頸部を観察する検査)、組織診(組織の一部を採取し顕微鏡で詳しく調べる検査。生検とも呼ばれる)、などを行い、異常についてより詳しく調べます*1。
子宮頸がんは、がんになる手前の段階であれば子宮を温存する治療法を選ぶことができます。また、がんへと進行したとしても、子宮頸部にとどまっている状態であるステージ1の5年生存率(2015年/ネット・サバイバル※)は94.9%と、予後は良好です*13。
※ネット・サバイバル:「がんのみが死因となる状況」を仮定して算出された数値。
しかしながら、2024年は2,751人が子宮頸がんで命を落としています*14。「子宮頸がんまで進行する確率は低いから私はきっと大丈夫」あるいは「子宮頸がんだと診断されることが怖い」といった理由で受診を先延ばしにせず、要精密検査の結果を受け取ったら、必ず精密検査を受けましょう。
なお、精密検査を受ける際には医療施設も重要です。医療施設の選び方のポイントをまとめました。
●コルポスコピー検査、組織診(生検)などの精密検査に対応している
精密検査のステップであるコルポスコピー検査は、コルポスコープを所有していない医療施設では行うことができません。今すぐは行わなくても後々行う可能性を考え、どのような検査や治療に対応しているかを確認しておきましょう。
●経験豊富な産婦人科専門医、婦人科腫瘍専門医が在籍している
在籍している医師の専門性や医療施設の治療実績をWebサイトなどで確認し、経験豊富な専門医のいるところを選ぶのもよいでしょう。日帰りで受けられる子宮頸部レーザー蒸散法など、実施している医療施設が限られる治療法もあります。
●自宅や職場から通いやすい
子宮頸がんは数年にわたる経過観察が必要なケースもあります。精密検査の結果によっては、3ヶ月または6ヶ月などのスパンで検査を受けることもあるため、定期的に通える医療施設を選ぶことが大切です。
●医師とコミュニケーションがしやすく、安心できる
子宮頸がん検診は女性のセンシティブな部位を調べる検査です。また、定期的な経過観察が必要になるケースもあるため、医師との信頼関係が安心感につながります。事前に分かりづらい点ではありますが、医師とコミュニケーションがとりやすい、検査のときにプライバシーへの配慮があるなど、なるべく自身にとって抵抗感の少ないと思われる医療施設を選ぶとよいでしょう。
医療施設の選び方は下記記事もご参照ください。
参考資料
*1.国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん検診について
*2.厚生労働省 がん検診
*3.厚生労働省 第47回がん検診のあり方に関する検討会(令和8年7月16日)資料4-3「HPV検査単独法の導入状況について」
*4.日本対がん協会 検診について
*5.国立がん研究センター がん対策研究所 子宮頸がん(最新:2019年度版)
*6.国立がん研究センター がん対策研究所「子宮頸がん検診結果通知書」
*7.日本産婦人科学会 第17回記者懇談会「子宮頸がん検診の精度管理の向上にむけて—ベセスダ分類とHPV検査—」
*8.東京都予防医学協会 子宮がん検診
*9.片渕秀隆、田代浩徳(2007.4)「C.産婦人科検査法 2.細胞診」日本産科婦人科学会雑誌 第59巻 第4号
*10.国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん 治療
*11.厚生労働省 令和6(2024)年度地域保健・健康増進事業報告の概況「健康増進編」
*12.日本産科婦人科学会 子宮頸がん
*13.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム
*14.国立がん研究センター がん統計 最新がん統計









