胃カメラ(胃内視鏡検査)は早期がんなどを発見するのに適した検査です。近年では鎮静剤の使用や鼻からチューブを挿入する経鼻内視鏡など、よりラクに検査を受けられる選択肢が増えています。本記事では胃カメラの検査内容と費用、保険適用で受けられるケース、バリウム検査との比較などを解説します。
★こんな人に読んでほしい!
・胃痛、胃もたれなどの症状があり、不安になっている
・胃カメラとバリウムで迷っており、それぞれのメリット・デメリットを知りたい方
・胃カメラの検査内容と費用を知りたい方
★この記事のポイント
・胃がんは日本人のがんの中で罹患数、死亡数ともに第3位
・早期胃がんは症状が現れにくいため、40代後半を過ぎたら定期的に胃がん検診(とくに胃カメラ)を受けたほうがよい
・胃カメラの費用相場は鎮静剤なし、10割負担で12,000円程度。鎮静剤の使用、生検の実施などで追加費用がかかる
・確かな技術を持つ医師に胃カメラを行ってもらうなら「内視鏡専門医(とくに胃カメラ専門)がいる施設」「内視鏡検査を専門にしている施設」がよい
・痛みの少ない胃カメラを受けられる施設を探すなら「鎮静剤・鎮痛剤が使用できる施設」「炭酸ガス送気装置を導入している施設」がよい
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目次
胃がん検診を受ける意義
胃がんは死亡率が低下傾向に。早期発見・早期治療が大切
胃がんは日本人がかかるがんの第3位(2019年)、死亡数も第3位(2021年)です*1。以前は「がんといえば胃がん」というイメージを持っていた方もいるかもしれませんが、近年は胃がんのおもな原因であるピロリ菌の減少や治療技術の向上により胃がんの死亡率は減少してきています。早期がんであれば予後もよく、国立がん研究センターの報告(2015年5年生存率)によるとステージⅠの胃がんの5年生存率(ネット・サバイバル※)は9割以上です*2。
胃がんを早期の段階で発見・治療するためには、胃カメラ(胃内視鏡検査)や胃X線検査(バリウム)などで定期的に胃の検査をすることが大切です。早期がんは症状が現れにくいため、みぞおちの痛みや不快感、嘔吐、お腹の張りが続くといった不調が現れてからではがんが進行していて治療が困難になることもあります。
胃カメラ(胃部内視鏡検査)とは、喉や鼻にスプレーなどで局部麻酔(表面麻酔)をし、口または鼻から内視鏡チューブを挿入して食道、胃、十二指腸の内部を直接観察する検査です。一方胃X線検査(バリウム)は、放射線をあてて胃の粘膜の形状を観察します。粘膜を見えやすくするために発泡剤やバリウムを飲んで検査します。
※ネット・サバイバル:「がんのみが死因となる状況」を仮定して算出された数値。2014-2015年5年生存率から「相対生存率」に代わり採用されている。
胃がん発見には胃カメラとバリウム検査が有効
胃がんによる死亡率を減少させる明らかな科学的根拠があるのは、胃カメラ(胃内視鏡検査)と胃X線検査(バリウム)のみです*3。胃カメラによる検診受診者は未受診者に比べて胃がん死亡率が47%減少したという報告もあります*4。
胃カメラの有効性が明らかになったことを受けて、2016年4月以降、自治体によっては胃がん検診で胃カメラを選択できるようになってきています*5。ただし、対象は50歳以上の男女で頻度は2年に1回という条件がある場合が多いです。一方で、従来の検診法であるバリウム検査は当分の間40歳以上の男女を対象に年1回実施されます。検診内容は自治体によって異なる場合があるため、詳細は自治体のWebサイトや窓口でご確認ください。
なお、上記検査による胃がん検診のほか、将来的な胃がんのリスクを調べる検査として「ABC検査(胃がんリスク検査)」があり、自治体などでも実施されている場合があります。ABC検査は胃がんの原因であるピロリ菌感染の有無を調べる「ヘリコバクター・ピロリ抗体検査」と胃粘膜の萎縮度を調べる「ペプシノゲン検査」の2つを組み合わせた血液検査であり、胃がんの発症リスクを評価するには有効ですが、死亡率を減少させる明確なデータは示されていません。
またカプセル内視鏡は、チューブがなくカプセル状の内視鏡を飲み込むだけで検査ができることから手軽で痛みの少ないイメージがあるものの、残念ながら胃がん検診には適していません。現在日本で保険適用になっているのは小腸用と大腸用のカプセル内視鏡のみで、おもに小腸の病気を見つけるのに適していると言われています。
胃カメラとバリウムどちらがおすすめ? それぞれのメリットとデメリット
胃カメラとバリウム検査の特徴の違い
胃カメラ(胃内視鏡検査)は胃の粘膜を直接見るため早期胃がんの発見確率が高く、胃X線検査(バリウム)は胃の粘膜の全体像を観察できるという特徴があります。
胃カメラは、先端に小型カメラとライトがついた細い管を口や鼻から挿入する検査で、必要に応じて検査中に組織を採取することもあります。医師がカメラのモニターを見ながら食道、胃、十二指腸の粘膜を直接観察しており、1cm以下の小さながんも見つけられることがあります。異常が見つかった場合、その場で組織を採取して病理診断(生検)をすることもできるので、その後の診断や治療がスムーズです。
バリウム検査は、胃の粘膜を見やすくするバリウム造影剤と胃の内部を広げる発泡剤を飲んでX線を照射し、食道、胃、十二指腸の全体像を観察する検査です。胃の粘膜にバリウムをきれいに付着させるために検査台の上で体勢を変えながら検査します。進行がんである「スキルス胃がん」を見つけやすいという強みはありますが、全体像を見ているため、サイズの小さい早期病変は見つけにくいです。
このように、それぞれ得意分野が異なる胃カメラとバリウム検査ですが、病変の早期発見という観点では胃カメラがより適していると言えます。
胃カメラとバリウム検査のメリット・デメリット
胃カメラ(胃内視鏡検査) | 胃X線検査(バリウム) | |
---|---|---|
メリット | ・直接病変を確認できる ・小さいがんを発見しやすい ・その場で組織を採取できるため検査後の診断・治療が早い ・食道がんを発見しやすい ・ピロリ菌の感染の有無がわかる ・鎮静剤を使用すれば検査時の身体的苦痛が少ない | ・胃の全体像を観察できる ・進行がんであるスキルス胃がんを発見しやすい |
デメリット | ・費用がバリウム検査と比較して若干高い ・確率は非常に低いが、咽頭麻酔によるショックや穿孔・出血のリスクがある ・口から内視鏡を入れる場合、嘔吐反射が起こりやすい ・鼻から内視鏡を入れる場合、鼻血が出ることがある ・薬剤によるアレルギー反応が生じる可能性がある ・鎮静剤を使用する場合は検査時間が長くなる ・鎮静剤を使用する場合、検査後に車の運転は禁止 | ・被曝がある ・小さな病変を発見しにくい ・胃カメラに比べて食道がんの発見精度が低い ・異常が見つかった場合、内視鏡検査を受ける必要があるため二度手間になる ・検査後に下剤を飲む負担が大きい ・前日から当日までの身体的負担が大きい ・バリウムを飲み込むのが大変 ・検査時、発泡剤を飲みゲップを我慢する必要があり身体的負担が大きい |
表のとおり、胃カメラ(胃内視鏡検査)と胃X線検査(バリウム)どちらも身体への負担はありますが、胃カメラで得られるメリットのほうが大きいことがわかります。内視鏡検査時の苦しさについては、鎮静剤を使用したり、口からではなく鼻からチューブを挿入する経鼻内視鏡検査にすることで緩和されるため、バリウム検査に比べて受けやすい検査と言えます。これを踏まえ、選択の考え方として重要なポイントを3点解説していきます。
1)バリウム検査で異常が見つかった場合は、胃カメラで精密検査をするため二度手間になる
バリウム検査を受けてポリープなどがんを疑うものがあった場合、基本的には精密検査として胃カメラで組織の採取が行われます。はじめから胃カメラを受けていれば、二度手間を省くことができ、診断が確定するまでの時間も短縮することができます。
2)胃カメラは食道や十二指腸も詳細に観察できる
胃カメラのほうが食道、喉頭、咽頭など胃以外の部分をていねいに調べることができます。事実、早期食道がんの85.0%が胃カメラで見つかっているのに対して、バリウム検査では11.2%とのデータがあります。バリウム検査でも食道は見ていますが、バリウムを飲み込む一瞬しか捉えていないため、胃カメラに比べると観察が十分にできない場合が多いです*6。
3)胃カメラではピロリ菌の感染検査を同時に受けられる場合もある
ピロリ菌の感染を調べる方法にはいくつかの種類があり、採血以外にも内視鏡下で生検(胃粘膜組織の一部を採取して調べる)を行う方法があります。医療施設によっては、胃カメラの際にピロリ菌の感染検査(迅速ウレアーゼ試験、培養法、鏡検法など)を受けられることがあります。
ピロリ菌の検査方法については下記記事で詳しく解説しています。
胃カメラは何歳から受ければよい?
胃がん、食道がんどちらも40代後半から罹患数が増え始め、とくに男性に多い傾向があります*7,*8。これを踏まえると、胃カメラ(胃内視鏡検査)はとくに自覚症状がない方であれば40歳頃から受診し始めるとよいでしょう。そのほか、下記に当てはまる方は、胃カメラの積極的な受診をおすすめします。
- 50代以上の方(とくに男性)
- 身内に胃がんになった方がいる方
- 身内にピロリ菌感染者がいた方
- 胃もたれや胃の痛みなど胃の不調が起きやすい方
- 食道がんの発症リスク因子(アルコールの過剰摂取、たばこ、流動性食道炎など)がある方
- いつもバリウム検査でひっかかり、胃カメラでの精密検査が必要になる方
- 幼少期に井戸水を使用していた、あるいは湧水を口にした経験がある方
- 幼少期に上下水道が整備されていない国で生活していた方
なお、胃の不快感などなんらかの自覚症状がある方は、胃がん検診を待たずに消化器科等の専門医を受診してください。
胃カメラの費用は健康保険と自費診療で異なる
胃カメラ(胃内視鏡検査)の費用は、経口内視鏡で自費診療の場合10,000円〜12,000円程度、保険診療で4,500円前後が目安です。 鎮静剤を使用する場合、追加で費用がかかる場合があります。このほか、検査方法、使用する薬剤や処方する薬の種類、生検(組織の一部を採取し詳しく調べる検査)の有無によっても料金は異なります。
<胃カメラ(胃内視鏡検査)の費用目安*5>
自費診療(10割負担) | 保険診療(3割負担) | 自治体による検診 | |
---|---|---|---|
鎮静剤なし(経口) | 10,000~12,000円 | 4,500円前後 | 無料~3,000円 |
鎮静剤あり(経口) | 15,000~20,000円 | 5,000~7,000円 | – |
+生検 | +10,000~40,000円 | +3,000~12,000円 | – |
+ピロリ菌検査 | +4,000~13,000円 | +1,200~4,000円 | – |
ABC検査 (胃がんリスク検査) | 4,000~5,000円 | – | 無料~1,000円 |
※経鼻内視鏡の場合、医療施設によって費用が別途追加になる
※検査方法、使用する薬剤、処方する薬の種類などによって異なる
自治体が実施している胃がん検診の胃カメラでは、基本的に鎮静剤を使用することはできません。ただし、一部の自治体では追加費用を支払うと鎮静剤を使用できる場合もあるので、お住まいの自治体の検診内容をご確認ください。また、経鼻内視鏡(鼻からチューブを挿入する方法)の費用は、経口内視鏡より500〜1,000円前後高い場合もあれば、経口内視鏡と同額の場合もあるなど医療施設によってまちまちです。受診予定の医療施設に確認しておきましょう。
自費診療のケース
胃がんを疑う症状はないけれど胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けたい場合は、保険適用外、すなわち自費診療となります。具体的には人間ドックや健康診断などです。
胃カメラを自費診療で受ける場合の費用の目安は経口(口からチューブを挿入する)内視鏡検査が10,000〜12,000円、経口で鎮静剤を使用する場合が15,000〜20,000円です。胃カメラ検査中にピロリ菌感染が疑われ、確定診断のための検査を行う場合は別途費用がかかります。費用はピロリ菌検査の方法によって4,000〜13,000円程度と開きがあります。また、胃がんなどが疑われ生検(組織の一部を採取する検査)を行った場合も、別途10,000〜30,000円程度がかかります。
なお、将来的な胃がんのリスクを評価するABC検査(ヘリコバクターピロリ菌抗体検査、ペプシノゲン検査)は保険適用外で、費用は全額自己負担で4,000〜5,000円程度です。自治体によっては「胃がんリスク検診」などの名称で実施していることがあり、その場合の費用は無料または安価で受診できます。
検査費用を抑える方法として、自治体や企業が実施している胃がん検診を利用するのがおすすめです。自治体の胃がん検診は、胃X線検査(バリウム)が40歳以上を対象に年1回、胃カメラは50歳以上を対象に2年に1回受けられる(自治体による)のが一般的です。なお、受診年齢や受診間隔は実施する自治体・企業によって異なります。
なお、企業(会社)による定期健康診断のオプション等で胃カメラが含まれている場合の費用は、一般的には受診者が一部を負担するケースが多いですが、なかには福利厚生の一環として全額会社負担としている場合もあります。お勤めの企業の担当者に問い合わせておきましょう。
自治体や企業が実施する胃がん検診は受診対象外だが胃がんの検査をしたいという方は、人間ドックを活用しましょう。人間ドックの受診費用は保険適用外ですが、お住まいの自治体や加入している健康保険組合、契約している医療保険などが補助金もしくは助成制度を設けている場合があります。利用可能な補助・助成制度の有無を確認してみてください。
各自治体の人間ドック費用補助・助成制度は下記から確認できます。
保険診療のケース
医師の診察を受けて「胃カメラ(胃内視鏡検査)をする必要がある」と判断された場合や、自治体のがん検診で「がんの疑いあり」「要精密検査」となった場合に受ける胃カメラの費用は保険適用です。
胃カメラ(経口内視鏡のみ、鎮静剤なし)を保険診療で受ける場合、費用の目安は1割負担の方が1,500円前後、2割負担で3,000円前後、3割負担で4,500円前後です。鎮静剤を使用したり、胃カメラ検査中にピロリ菌感染や胃がんなどが疑われ別途検査や生検を行ったりした場合、追加で費用がかかります。とくに生検が行われた場合は部位等によって追加費用が大きく異なります。念のため多めに現金を持って行くか、クレジットカード決済等が可能かどうかを確認しておくと安心です。
保険適用の場合、基本的にはどこの病院やクリニックで検査を受けても費用は大きく変わりません。なお、初診料や再診料、使用する薬剤の種類、検査内容などによって費用は前後します。
胃カメラは苦しい? ラクに受ける方法はある?
経口による胃カメラ(胃内視鏡検査)は、喉の奥に局所麻酔(表面麻酔)をしてからチューブを挿入しますが、嘔吐反射が強い方(歯磨きなど口にものを入れるとオエっとなりやすい方)は不快感が強くなってしまうことがあります。
これまでの胃カメラの苦しさ、不快感を軽減しよりラクに胃カメラを受診できるよう、近年では「鎮静剤を使用する」「チューブを鼻から入れる(経鼻内視鏡)」といった検査方法を導入している医療施設が増えています。経口+鎮静剤と経鼻内視鏡のどちらがより苦痛が少ないか、また鎮静剤を使用せず経口内視鏡を受ける場合の検査をラクに受けるコツなどは下記記事で解説しています。
胃カメラの検査の流れ・所要時間・注意事項について
胃カメラ(胃内視鏡検査)にかかる時間は施設によって異なり、経口・経鼻どちらを選択するか、鎮静剤を使用するかなどでも変化するため、あくまで目安として考えてください。
検査の流れと所要時間
胃カメラ(胃内視鏡検査)を受診する際は、前日の夜から食事制限を行います。当日も絶食し、来院後に局所麻酔(表面麻酔)や鎮静剤を施し、検査を行います。胃カメラ自体にかかる時間は10分程度ですが、トータルでかかる時間は来院してから病院を出るまで鎮静剤なしだと60分〜1時間半、鎮静剤ありだと1時間半〜2時間程度です。
【検査前日】自宅
夕食は軽めに済ませ、午後9時以降は飲食しない(水はOK)
【検査当日】自宅
飲食はしない(水はOK)、普段服用している薬を検査当日に飲んでも問題ないかどうかは事前に担当医や医療施設に確認しておく
【検査当日】医療施設*9
- 来院したら受付を済ませ、更衣室で検査着に着替える
- 前処置室にて胃のなかの泡を消す液体(消泡剤)を飲み、検査時の苦しさを和らげるためのどの奥(経鼻の場合は鼻の奥)にゼリー状やスプレー状の局所麻酔を塗る
- 必要に応じて鎮静剤を使用する(経鼻の場合はなし)
- 麻酔・鎮静剤等が効いてきたら、検査用のマウスピースを口に装着する(経鼻の場合はなし)
- 検査開始。内視鏡を挿入
- 検査後、鎮静剤を使用した場合はリカバリースペース等で1時間程度安静にする
- 結果説明(施設による)後、会計を済ませて終了
胃カメラを受けるときの注意事項
胃カメラ(胃内視鏡検査)を受ける際の検査前日、当日、検査後の注意事項をまとめました。
【予約時・事前の問診時等】
- 鎮静剤の使用、経鼻内視鏡など希望する検査方法を実施しているかどうか確認する(「胃カメラの受診でおすすめの施設の選び方4つ」で解説)
- 服用している薬は当日飲んでも問題ないかどうか、担当医や医療施設に確認する
【検査前日】
- 前日の夜9時ごろまでに夕食を済ませる
- 夕食では繊維質の多い食べ物や脂っこい食べ物を避ける
例:レンコン、きのこ、わかめ、キウイフルーツ、パイナップル、脂の多い牛肉や豚肉、イワシ、サバなど - 夕食は腹8分目までにする(胃に食べかすが残ることがあるため)
- 早めの就寝を心がける
【検査当日】
- 検査前の飲食、たばこは禁止(水はOK)
- 服用している薬は当日飲んでも問題ないかどうか、事前に担当医や医療機関に確認する
- 血液をサラサラにする薬(ワーファリン、アスピリンなどの抗血栓薬)を服用していると検査が行えない場合がある(異常が見られた場合には検査中に組織を一部採取することもあるため)
- 検査時は入れ歯、口紅、コルセット、時計、メガネは外す
- 鎮静剤を使用する場合は、車・自転車・バイクで来院しないようにする
【検査後】
- 激しい運動は避ける
- 検査後1時間は飲食を避ける
- 検査中にポリープや組織を採取した場合は、検査後2〜3日食事制限あり
- 鎮静剤を使用した場合は、車・自転車・バイクなどの運転はできない
- 検査中にポリープや組織を採取した場合は、熱いお風呂やアルコールも控える
胃カメラで異常が見つかった場合でもがんとは限らない
胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けて異常が見つかったからといって、胃がんとは限りません。まずは、異常が疑われる部分の組織を採取して、顕微鏡で良性か悪性かを調べる「生検」の結果が出て、はじめてがんの診断がつきます。万が一悪性(がん)と診断された場合は、CT検査や超音波検査を受けてがんの進み具合を確認し、がんのステージが確定してから治療が開始されていくことになります。
胃カメラの受診でおすすめの施設の選び方4つ
胃カメラ(胃内視鏡検査)を受ける際、できるだけ「痛くない・苦しくない」「信頼できる」医療施設を選ぶためにチェックしておきたい4つのポイントをまとめました。
1)受けたい検査方法や検査内容があることを確認
前提として胃カメラ(胃内視鏡検査)を受けられる施設であることを確認してください。「胃がん検診」を行なっている医療施設が胃カメラの検査に対応しておらず、胃X線検査(バリウム)のみの実施ということもあります。「胃カメラ」もしくは「胃部内視鏡検査」を実施している医療施設を選びましょう。
そのうえで、自分に合う胃カメラが受けられる施設かどうかをチェックしてください。医療施設によって検査方法や検査内容に差が出るのは下記です。
鎮静剤を使用できるか
鎮静剤には、意識をぼんやりさせ不安や苦痛を和らげる効果があります。鎮静剤の使用にはリスクも伴うため、万が一呼吸が弱くなったり血圧が下がったりした場合に備えて酸素吸入器などの機器やリカバリースペース、対応可能なスタッフがいるなど、適切な設備を備えた施設に限られます。
経鼻内視鏡が実施可能か
医療施設によっては胃カメラは経口内視鏡のみで、経鼻内視鏡を行っていない場合があります。経鼻内視鏡を希望する場合は、受診可能かどうか事前に確認しておきましょう。
治療内視鏡(内視鏡で行う腫瘍の切除手術など)を実施しているか
内視鏡チューブは観察用と治療用で種類が異なります。治療内視鏡を実施している施設であれば、検査中にポリープなどの病変が見つかったときに、その場で組織の良悪性を調べたり場合によってはそのまま治療(切除)できたりする場合もあります。
炭酸ガス(二酸化炭素)送気装置が導入されているか
炭酸ガス送気装置は、検査時のお腹の張りを弱めて痛みを軽減する新しい装置です。胃カメラの不快感を少しでも緩和したい方は、受診予定の医療施設に炭酸ガス送気装置が導入されているかどうか確認しておきましょう。
2)日本消化器内視鏡学会専門医(とくに胃カメラの専門医)の在籍
消化器内視鏡学会専門医とは、日本消化器内視鏡学会が認定した医師が名乗ることができる資格です。学会が定めた研修と試験を通過した医師のみが取得しているため、知識や経験が豊富な内視鏡医を見極める基準のひとつであると考えることができます。
3)内視鏡を専門にしている医療施設かどうか
胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査は一般的に「内科」を扱っている医療施設で実施されていることが多いですが、内視鏡検査の件数はそこまで多くありません。一方、内視鏡検査や治療のみを専門的に実施している医療施設であれば内視鏡検査の件数も多い傾向があります。専門設備が整っていたり、スタッフもスムーズに対応してくれたりするので、安心して検査を受けることができます。
4)大腸内視鏡検査とあわせて受けることができるかどうか
もしも大腸カメラ(大腸内視鏡検査)にも興味があるのであれば、胃カメラと同日に受ける方法もあります。大腸カメラを受ける際は、事前に下剤を服用する必要があるほか、医療施設によっては前日の朝から食事制限を求められる場合があるため、胃カメラの当日にいきなり大腸内視鏡検査を受けることはできません。検査のための食事制限を何度もしたくない方、鎮静剤でウトウトしている間に複数部位の検査を終わらせたい方は、日程などを調整のうえ胃カメラと大腸カメラの同日検査を検討するとよいでしょう。
参考資料
*1.国立がん研究センター がん情報サービス 最新がん統計
*2.国立がん研究センター がん情報サービス 院内がん登録生存率集計
*3.国立がん研究センター がん情報サービス 胃がん検診について
*4.国立がん研究センター がん対策研究所 「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」2014年度版
*5.厚生労働省「胃がん・乳がん検診に関する指針の改正について」
*6.Comprehensive Registry of Esophageal cancer in Japan (1998,1999), 3rd editon. The Japan Esophageal Society
*7.国立がん研究センター がん情報サービス がん種別統計情報 胃
*8.国立がん研究センター がん情報サービス がん種別統計情報 食道
*9.日本消化器内視鏡学会 3.1)上部消化管内視鏡検査(食道・胃・十二指腸内視鏡)と治療