健康診断

個人での健康診断の受け方—医療保険別の確認方法や費用補助、自費の場合の料金を紹介

健康診断の受け方 健康診断
吉井 友季子
こちらの記事の監修医師

医療法人優美会吉井クリニック 院長

健康状態を把握するために大切な健康診断ですが、個人事業主や専業主婦(夫)などで、自身が補助対象となる健康診断がない場合は自費で受診することになります。この記事では医療保険別の健康診断の受け方、検査内容や費用例、個人受診の際の検査料金や利用可能な補助・助成の確認方法などを紹介します。

★こんな人に読んでほしい!
・最近、国民健康保険に加入した個人事業主・転職活動中の方・無職の方・定年退職した方・それらの家族の方
・国民健康保険には加入しているが、特定健診の年齢に達していない20~30代の方
・専業主婦(夫)・短時間労働者(パート・アルバイト)・学生などで、被保険者の扶養に入っているが、補助を受けられる健康診断がない方

★この記事のポイント
・特定健診が実施されるのは40~74歳の国民健康保険加入者だが、自治体によっては特定健診の年齢に達していない加入者のために特定健診に準じた健康診査や人間ドックの費用補助を実施している場合がある
・健康保険組合によっては、加入者(被保険者)の扶養家族(被扶養者)向けに健康診断を実施している
・自治体によっては、国民健康保険に加入していない住民向けの健康診査を実施している
・労働安全衛生法で定められている「雇入時の健康診断」の費用負担については、現状は事業者(企業等)側の判断による
・日本総合健診医学会の「優良総合健診施設」の認定を受けている医療施設は、より質の高い健康診断の実施に力を入れている

目次

まずは健康保険証を確認し、自分の公的医療保険を把握しよう

日本では国民皆保険制度を通じて、原則すべての国民がなんらかの公的医療保険に加入しています*1。加入している公的医療保険によって、健康診断の検査内容や費用などはさまざまです。健康診断を受診する対象が被保険者(保険に加入している本人)か被扶養者(おもに被保険者の収入で生活している人)かで、検査内容や費用が異なることもあります。健康診断を個人で受診する前に、まずは自身が加入している公的医療保険を確認しましょう。

公的医療保険制度の種類は大きく分けて3つ

職業や雇用形態、年齢などによって、加入する公的医療保険の種類は異なり、大きく「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」の3つに分けられます。おもな公的医療保険制度の種類は以下の通りです*1

おもな制度名 保険者 被保険者
※カッコ内は被扶養者
被用者保険 組合管掌健康保険 企業や団体などが設立した公法人
(○○健康保険組合)
大企業の従業員、同種・同業の団体に属する企業の従業員など
(その家族)
全国健康保険協会
管掌健康保険
(旧政管健保)
協会けんぽ
(全国健康保険協会)
中小企業の従業員など
(その家族)
共済組合 各共済組合 公務員や教職員など
(その家族)
国民健康保険
(地域保険)
都道府県
市町村国民健康保険
国民健康保険組合など
下記を除く、74歳以下のすべての方
・被用者保険の加入者
・後期高齢者医療制度の対象者
・生活保護受給者
後期高齢者医療制度 各都道府県の
後期高齢者医療広域連合
75歳以上の方
※65~74歳の方で、寝たきり等一定の障害があると認定された方も対象
※ただし「生活保護の開始」等の適用除外要件あり

被用者保険は、常時雇用される従業員本人が被保険者として加入し、その配偶者である専業主婦(夫)や子などの家族は被扶養者として認定されます*2

74歳以下で被用者保険に加入していない場合、生活保護受給者を除き、すべての方が国民健康保険へ加入することになります。具体的には、個人事業主(法人を設立せずに個人で事業を営んでいる方)、パート・アルバイトなどで社会保険の加入対象とならない短時間労働者*3、無職の方など、またそうした方々の家族である主婦(夫)や子などが国民健康保険に加入します。

「本人(被保険者)」か「家族(被扶養者)」かをチェック

公的医療保険制度のうち、自分はどの公的医療保険に加入していて、どの健康診断の対象となるかを確認するには、自身が所持している「健康保険証(健康保険被保険者証)」を見ればわかります。

国民健康保険や後期高齢者医療制度には、被用者保険のような被扶養者という概念がありません。各人が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入する「被保険者」に該当します。

一方、被用者保険の場合は、健康保険証の上部に、被保険者本人には「本人(被保険者)」、配偶者である主婦(夫)や子どもなどの扶養家族には「家族(被扶養者)」と記載されています。

国民健康保険や被用者保険では、それぞれの被保険者を対象に健康診断を実施しています。被用者保険によっては、被扶養者を対象とした健康診断を実施していることがあります。

なお、学生には学校保健安全法に基づいた学校による健康診断が、後期高齢者医療制度加入者には制度に基づいた自治体による後期高齢者健診(後期高齢者健康診査)がそれぞれ実施されます*4

国民健康保険・被用者保険、それぞれの健康診断の対象者と検査内容&費用例

被保険者に対して年1回実施される健康診断については、国民健康保険の「特定健診(特定健康診査)」、被用者保険の「定期健康診断」などがあります。また、被用者保険によっては扶養家族向けに「家族健診」などの健康診断を提供している場合があります。それぞれ受けられる検査の種類と費用は、加入中の医療保険において被保険者か被扶養者かどうか、また年齢によっても異なります。

国民健康保険に加入している40~74歳の方の場合

国民健康保険に加入している40~74歳の方には特定健診(特定健康診査)が実施されます*5。特定健診とは、厚生労働省によって定められた、生活習慣病予防を目的としたメタボリックシンドロームに着目して行われる健康診断で、年1回の受診が推奨されています。自治体から発行される受診券(受診票)が届いたら、指定の医療施設で特定健診が受けられます。

特定健診の検査項目*5

【基本的な項目】
・質問票:既往歴・服薬歴・喫煙歴等
・身体計測:身長・体重・腹囲・BMI
・理学的検査(身体診察)
・血圧測定
・血液検査:肝機能検査・脂質検査・血糖検査
・尿検査:尿糖・尿蛋白

【詳細な健診の項目】※一定の基準の下、医師が必要と認めた場合に実施
心電図検査、眼底検査、一部の血液検査(貧血検査・血清クレアチニン検査)

特定健診の実施事例

特定健診の受診費用や検査項目などは自治体によって異なります。東京都の自治体の例をいくつか紹介します(2023年11月時点の情報)。

【東京都世田谷区の特定健診】*6
対象者:40~74歳の世田谷区国民健康保険加入者
費用:500円
検査内容:問診、診察、身体計測、血圧測定、血液検査、尿検査、心電図検査、眼底検査、胸部X線(レントゲン)検査など

【東京都練馬区の特定健診】*7
対象者:40~74歳の練馬区国民健康保険加入者
費用:300円 ※64歳以下で胸部X線(レントゲン)検査も実施する場合はプラス200円
検査内容:問診、診察、身体計測、血圧測定、血液検査、尿検査、心電図検査、眼底検査、胸部X線(レントゲン)検査など

【東京都大田区の特定健診】*8
対象者:40~74歳の大田区国民健康保険加入者
費用:無料
検査内容:
<基本項目>問診、身体計測、身体診察、血圧測定、尿検査、血液検査(脂質・肝機能・血糖)
<追加項目(医師判断)>血液検査(貧血・腎機能)、心電図検査、眼底検査、胸部X線(レントゲン)検査

利用方法など、詳しい内容は各自治体のWebサイト等で確認してください。

上記の通り40歳未満の方は特定健診の対象外ですが、自治体によっては、40歳未満の若年者を対象とした“特定健診に準ずる健康診査”を実施していることがあります。詳細は次項で紹介します。

国民健康保険に加入している40歳未満の方の場合

自治体によっては、特定健診の対象とならない40歳未満の国民健康保険加入者のために、特定健診に準ずる健康診査を実施していることがあります。健康診査の受診条件や費用、検査内容などは自治体によりさまざまです。事例をいくつか紹介します(以下は2023年11月時点の情報)。

【静岡県御殿場市の場合*9
対象:20~39歳までの御殿場市国民健康保険加入者
費用:500円
検査内容:問診、身体計測、血圧測定、血液検査、尿検査、心電図検査等(特定健診の検査に準ずる)

【埼玉県所沢市の場合*10
対象:30~39歳までの所沢市国民健康保険加入者
費用:800円 ※胸部X線(レントゲン)検査も実施する場合はプラス200円
検査内容:
<基本的な健診>問診、診察、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査(脂質・肝機能・血糖・腎機能)
<詳細な健診(医師判断)>血液検査(貧血)、心電図検査、眼底検査
<追加項目(希望制)>胸部X線(レントゲン)検査

【山口県岩国市の場合*11
対象:35~39歳までの岩国市国民健康保険加入者
費用:無料
検査内容:診察、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査、心電図検査、眼底検査(医師の指示による)

40歳未満の国民健康保険加入者の健康診査について、実施有無や利用方法などの詳細は、各自治体のWebサイト等で確認してください。

被用者保険の被扶養者の方の場合

事業者(企業等)には従業員(被保険者本人)に対して、労働安全衛生法に基づいた年1回の定期健康診断の実施が義務づけられています。オプション検査など一部検査の費用は除き、この定期健康診断にかかる費用は事業者の負担となるのが一般的です*12,*13

従業員の配偶者である主婦(夫)や子などの扶養家族(被扶養者)の健康診断については、40~74歳の方への特定健診の実施が義務づけられていますが、40歳未満の被扶養者への健康診断実施は、現状、努力義務です*4

以下に、加入者の多い健康保険組合や協会けんぽで実施されている被扶養者向けの健康診断をいくつか紹介します。

企業の健康保険組合の被扶養者の場合

健康保険組合によっては、被扶養者に対して、健康診断の補助や助成を実施していることがあります。対象となる健康診断の受診条件や費用、検査内容などは健康保険組合によって異なります。被保険者数20万人を超える健康保険組合から、被扶養者向けの健康診断の事例をいくつか紹介します(以下は2022年10月時点の情報)。

【関東ITソフトウェア健康保険組合の場合】*14
<基本健診>
対象:全年齢の被扶養者である配偶者、30歳以上の被扶養者(配偶者以外)
費用: 2,000円
検査内容:問診、診察、身体計測、視力・聴力検査、血圧測定、尿検査、血液検査、胸部X線(レントゲン)検査、心電図、便潜血反応検査
※全年齢の被扶養者である女性配偶者および30歳以上の配偶者以外の女性は、特定健診に準ずる検査内容に子宮検査・乳房検査が付帯した巡回婦人生活習慣病予防健診(無料)も選択可
※35歳以上の被扶養者は、健保指定ドック・1日人間ドック・2日人間ドック(いずれも別途料金が発生)、女性は巡回婦人生活習慣病予防健診(無料)も選択可

【東京薬業健康保険組合の場合】*15
<総合健診(定期健診)>
対象:35歳未満の被扶養者
費用: 1,650円
検査内容:問診、診察、身体計測、視力検査、聴力検査、血圧測定、尿検査、血液検査、胸部X線(レントゲン)検査、心電図検査
※検査内容は被保険者と同等

<総合健診(家族健診)>
対象者:35歳以上の被扶養者
費用: 1,650円
検査内容:総合健診(定期健診)の内容+胃部X線(バリウム)検査、便潜血反応検査など
※女性は乳がん検査(マンモグラフィまたは乳腺エコー検査)、子宮頸がん検査(子宮頸部細胞診)が含まれる

協会けんぽ(全国健康保険協会)の被扶養者の場合

被保険者が協会けんぽに加入している場合、被扶養者は特定健診(特定健康診査)を受診する際に補助が受けられます*16。当日窓口で支払う金額は、受診する医療施設によって異なります。

【特定健診(特定健康診査)】
対象者:40~74歳の被扶養者
補助金額:
<基本的な健診>上限7,150円
<基本的な健診+詳細な健診>上限10,550円
検査内容:
<基本的な健診>問診、診察、身体計測、血圧測定、血液検査(脂質・肝機能・血糖)、尿検査
<詳細な健診(医師判断)>心電図検査、眼底検査、貧血検査、血清クレアチニン検査

協会けんぽでは40歳未満の被扶養者に対する健康診断の補助は現状実施されていません

被保険者の方が加入している健康保険組合によっては、協会けんぽのように40歳未満の被扶養者向けの健康診断を実施していない場合があります。補助の有無や利用方法などの詳細は、加入中の健康保険組合のWebサイト等でよく確認しましょう。

公的医療保険の補助がない場合の健康診断の受け方

国民健康保険に加入している、もしくは被用者保険の被扶養者だとしても、補助対象となる健康診断がなければ、健康診断は個人で受診し、その際の費用は全額自己負担となります。もし個人で受診しなければならない場合には、次のような方法が選択肢として残されています。

個人で受ける健康診断と自費費用の目安

健康診断は自覚症状のない方が受けるものであり「治療」は行わないため、保険適用外です。個人で受診する際も自由診療となり、費用は基本的に全額自己負担です。費用は健康診断の内容や医療施設等によって異なり、3,000〜12,000円程度とばらつきがあります。

個人の場合、どこで健康診断を受けられるかについては、内科や消化器科などのクリニック、総合病院、健診センターなどで受診できます。個人向けの健康診断を実施しているかどうか、かかりつけ医や近隣の医療施設に問い合わせてみましょう。

なお、自治体の特定健診や健康保険組合等による被扶養者向けの健康診断では、多くの場合郵送で結果が届きますが、個人で健康診断を受ける場合は医療施設まで結果を受け取りに行くケースが一般的なため、アクセスしやすい医療施設での受診がおすすめです。

医療施設によっては、自費で健康診断を受ける方のために一般的な健康診断の検査項目をパッケージ化したコースやプランを用意しているところがあります。特定健診や定期健康診断などに準じた内容で、人間ドックよりも安い料金に設定されていることが多いです。費用は、医療施設や受診を希望する検査などによって異なります。

【例:雇入時(やといいれじ)の健康診断・定期健康診断コース】
検査項目:問診、診察、身体測定(身長・体重・BMI・腹囲)、血圧測定、視力検査、聴力検査、尿検査(尿糖・尿蛋白)、血液検査(貧血・肝機能・脂質・血糖)、胸部X線(レントゲン)検査、心電図検査など
費用:8,000~12,000円程度

【例:簡易健診コース ※胸部X線(レントゲン)検査あり】
検査項目:問診、診察、身体測定(身長・体重)、血圧測定、視力検査、聴力検査、尿検査(尿糖・尿蛋白・潜血)、胸部X線(レントゲン)検査など
費用:3,000~7,000円程度

医療施設によっては、健康診断で身体の各部位をより詳しく調べるためのオプション検査が用意されていることがあります。自身の年齢や性別、家族歴(家族の既往歴)などに合わせて検討してみましょう。

事前調査必須! 国民健康保険加入者以外も受診できる自治体の健康診査

自治体によっては、国民健康保険に加入していなくても住民登録があれば受診できる、若年者の方向けの健康診査を用意していることがあります。以下に東京都の自治体の例をいくつか紹介します(以下は2023年11月時点の情報)。

【新宿区「健康診査」】*17
対象:16~39歳の新宿区民の方(学校・勤務先等で受診機会のある方を除く)
費用:無料
検査内容:問診、診察、身体計測、血圧測定、尿検査(尿蛋白・尿糖・尿潜血)、血液検査(貧血・腎機能・肝機能・脂質・血糖
※医師の判断によって心電図検査、眼底検査を実施する場合あり

【品川区「20歳からの健康診査」】*18
対象:勤務先等で健診を受ける機会のない20~39歳の品川区民の方
費用:無料
検査内容:問診、身体計測、血圧測定、尿検査(蛋白・糖・潜血)、血液検査(貧血・腎機能・肝機能・脂質・血糖)

【国分寺市「若年層健康診査」および「30歳代健康診査」】*19
対象:健診を受診する機会のない25~39歳の国分寺市民
費用:無料
検査内容:問診、身体計測、血圧測定、尿検査、血液検査、胸部X線(レントゲン)検査、心電図検査、眼底検査
※「若年層健康診査」は25~29歳の方、「30歳代健康診査」は30~39歳の方に実施

実施の有無や利用方法など、詳しくはお住いの各自治体のWebサイト等を確認しましょう。

より詳しい検査ができる「人間ドック」も視野に入れてみよう

人間ドックでは健康診断よりもさらに詳しい検査を行うため、健康診断の検査内容だけでは発見の難しい病気も、人間ドックであれば見つけられる可能性があります。将来的な発症リスクを知ることもできるため、健康の維持・増進に役立ちます。

人間ドックのコース・プランの自費料金例

人間ドックの費用は医療施設ごとに異なります。またコースやプランに含まれる検査の内容によっても金額は変わってきます。以下は人間ドックの基本コースの例です。

【人間ドック(基本コース)】
検査項目:問診・診察、身体計測、血圧測定、眼科検査(視力・眼圧・眼底)、聴力検査、便潜血検査、尿検査、血液検査、胸部X線(レントゲン)検査、心電図検査、胃部X線(バリウム)検査、腹部超音波(エコー)検査など
料金:3~5万円程度

医療施設によっては、脳ドックや婦人科検診などをプラスしたコースも用意されています。肺がんを詳しく調べるための胸部CT検査、胃がんや大腸がんを詳しく調べるための胃内視鏡(胃カメラ)検査や大腸内視鏡(大腸カメラ)検査などのオプション検査を追加できる場合があります。

自治体の人間ドックの補助・助成制度の例

自治体によっては、委託医療施設での人間ドック等について補助や助成を行っていることがあります(以下は2023年11月時点の情報)。

【例)国民健康保険加入者向けの取り組み】
<東京都小金井市「人間ドック・脳ドックの利用補助」>*20
対象者:小金井市国民健康保険に加入している30歳以上の方
補助金額:対象の医療施設にて、以下の人間ドックにかかる費用を補助
・日帰り人間ドック:1.6万円
・脳ドック:2万円
・簡易脳ドック:1万円
※日帰り人間ドックは特定健診との併用不可

【例)加入している公的医療保険に関係なく受診できる、住民向けの取り組み】
<東京都国分寺市「人間ドック」「脳ドック」>*19
対象者:30歳以上の国分寺市民
費用:対象の医療施設にて、以下費用で受診できる
・人間ドック:2万円
・脳ドック:1.5万円
※上記人間ドックの費用補助は、市の30歳代健康診査・特定健診・後期高齢者健診・一般健診・胃がん検診を受診する方は除外

自治体による人間ドック費用の補助・助成については実施有無や受診条件など、自治体によってさまざまです。詳しい内容は各自治体のWebサイト等でよく確認しましょう。なお、マーソでは上記のほかにも人間ドック費用の補助・助成を自治体ごとにまとめています。詳細は下記をご覧ください。

生命保険会社などで、人間ドックの割引サービスが用意されている場合も

ご自身が契約している生命保険の加入中のプランによっては、契約者向けサービスとして、人間ドックの割引サービスが用意されている場合があります。詳しくは各社の資料を確認してください。

ほかにも、人間ドック・健診クーポンがもらえる会員向けの特典サービスなどもあります。ご自身の利用中のサービスで、おトクに人間ドック・健診を受診できるキャンペーンはないか探してみると何か発見があるかもしれません。

これって自費? 入社前の健康診断と大学生の健康診断の事例

就職活動や転職のために健康診断結果が必要な場合

就職や転職の際に、内定先の事業者(企業等)から健康診断の結果の提出を求められることがあります。この場合は、労働安全衛生規則43条の「雇入時(やといいれじ)の健康診断」で定める検査項目を含む健康診断の受診が必要です*12個人で受診する際には、医療施設が用意する「雇用時(入社時)健診コース」などの名称の健康診断を選択すると、必要な検査項目の抜け漏れがなく安心です。先の「個人で受ける医療施設の健康診断と費用目安」の項でも紹介しましたが、雇入時の健康診断コースは自費料金の場合8,000~12,000円程度です。

「雇入時の健康診断」については、過去3ヶ月以内に受診した健康診断の結果を証明する書面が提出された場合を除き、健康診断の実施義務は事業者側にあるため、事業者が負担するというのが一般的です*21,*22。しかし、現状「雇入時の健康診断」の費用負担について、労働安全衛生規則43条では明確に定められていないため、どちらが負担するかは事業者側の判断によります。健康診断の費用について不安がある場合は、入社前に問い合わせておきましょう。

就職や転職などで、企業から個人で健康診断を受けるよう指示された場合の費用負担やどこで受けるかについては下記記事で紹介しています。

大学の指定期間中に健康診断を受けられなかった学生の場合

大学生の健康診断は「学校保健安全法」にて大学側に実施が義務づけられており、第13条の定める「児童生徒等の健康診断」については、学校保健安全法施行規則でも毎年1回、6月30日までに行うこととされています*23,*24。この健康診断を受診できなかったからといって、学生が法的な罰則を受けることはありませんが、健康診断証明書が発行されないことで、就職活動に利用できなかったり、実習や留学、大会などに参加できなかったりすることがあるため、必要な時期までに受診したほうがよいと言えます。なお、大学が実施する健康診断を学生がなんらかの事情で受けられずに個人で受診する場合は、基本的に自己負担になります。

大学の指定医療施設であれば、費用補助を受けられる場合もあります。大学や学年ごとに必須検査項目は異なるため、大学以外で健康診断を受診する際は、必要な検査項目、費用補助の有無など、詳しい内容を大学の保健センター等で事前に確認しておきましょう。

個人で受ける場合、健康診断の持ち物や当日の流れは?

健康診断当日のおもな持ち物

受診日が近づくと、予約した医療施設からの案内や注意事項のほか、問診票、検尿・検便などの検査容器などの受診セットが送付されるのが一般的です。案内には健康診断当日の持ち物が記載されていることが多く、おもなものは下記の通りです。

【基本的に必要なもの】
・健康保険証
・受診票(健康保険組合や事業者が発行する受診承認書あるいは利用券、特定健診やがん検診の利用券等)
・健康診断の種類に応じた問診票(質問票)、同意書などの書類
・検尿・検便など健康診断の種類に応じた検査容器
・普段使用しているメガネもしくはコンタクトレンズ(コンタクトレンズの方はコンタクトケースと保存液も)
・支払い用のお金(クレジットカード払いができる医療施設もある)

【健康保険組合の種類や医療施設によって必要なもの】
・医療施設の診察券(以前に受診したことがある医療施設の場合)
・お薬手帳、薬剤説明書(服用中の薬がある場合)
・他病院の検査結果

料金については、オプション検査を受診する場合は別途必要です。また、昨今は感染症予防のため不織布マスク着用が必須です。

健康診断当日の流れ

健康診断の当日の流れは以下の通りです。不明な点があれば、事前に医療施設に問い合わせましょう。

1) 予約時間までに医療施設へ行き、受付を済ませる
2) 検査着に着替える
(胸部X線検査を受ける場合は金具の付いたインナーやアクセサリー、時計ははずす。施設によっては、検査着の代わりとして当日の服装を無地Tシャツと指定していることも)
3) 問診、診察、測定、検査をそれぞれ受ける
4) 受付で精算する

定期健康診断のみであれば、所要時間は1~2時間程度です。健康診断の検査結果が出る時期は医療施設により異なりますが、一般的には2〜6週間後に郵送されます。

個人で健康診断を受ける際の医療施設の選び方ポイント3つ

自分に必要なオプション検査を受診できるかどうか

若年者でも健康リスクの高い方や家族歴(家族の既往歴)のある方は、自分に必要な検査を受けられる医療施設の受診を検討しましょう。腹部超音波(エコー)検査や胃内視鏡(胃カメラ)検査、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査、MRI検査など、すべての医療施設で検査が実施できるとは限りません。また、内視鏡検査で鎮静剤を使用できるかなどは医療施設により対応が異なります。事前によく確認しておくことが大切です。

定期的に通いやすい場所かどうか

自宅や勤務先などから近くて通いやすい場所にある医療施設を選ぶことで、定期的な健康診断の受診が継続しやすくなります。なるべく同じ医療施設で健康診断を受診することで、検査結果の経年変化が把握しやすくなり、自身の健康管理に役立てることができます。また、健康診断の際に経年変化を医師とスムーズに共有できるというメリットがあります。

質の高い健診を提供する「優良総合健診施設」かどうか

日本総合健診医学会では一定の基準を満たした施設を「優良総合健診施設」として認定しています。認定には、健康診断に特化した専従の医師が常勤している、健診フロアが独立している、受診者のフォローアップ が適切に行われているなど、いくつかの厳しい条件を満たしている必要があります。そのため認定を受けている医療施設は、より質の高い健康診断に力を入れていると言えます*25

健康診断を受けられる近隣の医療施設を探す

参考資料
*1.厚生労働省 我が国の医療保険について
*2.日本年金機構 被保険者・被扶養者関係(資格取得・喪失等)
*3.日本年金機構 令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
*4.厚生労働省 第4回 健康診査等専門委員会「参考資料2 日本の健診制度の概要」(2019年)
*5.政府広報オンライン 生活習慣病の予防と早期発見のために がん検診&特定健診・特定保健指導の受診を!
*6.東京都世田谷区 特定健診・特定保健指導を受けましょう
*7.東京都練馬区 練馬区国民健康保険 特定健康診査・特定保健指導
*8.東京都大田区 特定健康診査・特定保健指導
*9.静岡県御殿場市 20歳~39歳の方へ 健康診査を受けてみませんか?
*10.埼玉県所沢市 30歳代健診のご案内
*11.山口県岩国市 40歳未満の方の健診(国民健康保険健康診査)
*12.厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
*13.厚生労働省 よくある質問「健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?」
*14.関東ITソフトウェア健康保険組合(ITS) 健康診断のご案内
*15.東京薬業健康保険組合 総合健診
*16.全国健康保険協会 被扶養者(ご家族)の方の健診について
*17.東京都新宿区 健康診査(特定健康診査等)
*18.東京都品川区がん情報 20歳からの健康診査
*19.東京都国分寺市 健診・がん検診・その他検診
*20.東京都小金井市 人間ドック等の補助利用方法
*21.厚生労働省 労働安全衛生法および同法施行令の施行について(昭和47年9月18日 基発第602号)
*22.中央労働災害防止協会 安全衛生情報センター 労働安全衛生規則 第一編 第六章 健康の保持増進のための措置(第四十二条の二-第六十一条の二)
*23.e-Gov法令検索 学校保健安全法
*24.e-Gov法令検索 学校保健安全法施行規則
*25.日本総合健診医学会 優良総合健診施設認定基準と認定更新要綱-2022年度版-

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