健康診断

健康診断のオプション検査、必要性はある? 費用は? おすすめの選び方を紹介

健康診断オプション 健康診断
上昌広
こちらの記事の監修医師

東京大学医学部卒医学博士。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)

会社(職場)の定期健康診断の案内に、オプション検査が記載されていることがあります。実際、多くの健康保険組合では、一般的な健康診断に付加できるオプション検査を複数提供しています。本記事では、健康保険組合が提供するオプション検査について解説します。提供されている意義、必要性の判断基準、受診したいが提供されていない場合の対処法、自分に合うオプション検査の選び方などを紹介します。なお、人間ドックのオプション検査については別記事で紹介しています。

★こんな人に読んでほしい!
・健康診断にオプション検査を付加するか迷っている方
・健康診断のオプション検査が必要かどうかを知りたい方
・現状の自分が受けたほうがいいオプション検査を知りたい方

★この記事のポイント
・オプション検査とは健康診断に任意で付加できる検査のことで、必須ではない
・多くのオプション検査には、性別や年齢などの受診条件がある
・受診条件に当てはまる方は、その条件下において発症リスクが高いということ
・予防のためにわざわざ自ら医療施設を受診するほどではないと考えている方は、オプション検査を積極的に活用しよう
・自分に合うオプション検査の選び方のポイントは、受診条件・家族歴(家族の既往歴)・気になる部位

健康診断のオプション検査の意義

健康診断のオプション検査とは?

オプション検査とは、健康診断に任意で付加できる検査のことです。会社で受ける定期健康診断は、労働安全衛生法で検査項目が定められており*1、会社(事業者)は労働者に対し、その検査項目をすべて満たす健康診断を年1回受けさせる義務があり、労働者も受診の義務があります。

各健康保険組合では、全年齢もしくは特定年齢の被保険者を対象に、定期健康診断として利用できる“一般的な健康診断”を提供しています。「一般健診」「基本健診」「総合健診」など、健康保険組合によって名称はさまざまですが、ここでは説明の便宜上「一般健診」とします。

ほとんどの健康保険組合では、一般健診に付加できるオプション検査を提供したり、上限つきで費用補助を実施したりしています。ただし、一部のオプション検査や費用補助はだれでも受けられるものではなく、健康保険組合が指定する受診条件(性別や年齢など)に当てはまる被保険者を対象としています。また、健康保険組合の一般健診の対象年齢でない場合は、付加ではなく単体で受診できることもあります。たとえば協会けんぽの場合、一般健診の対象年齢は35歳以上ですが、オプション検査である子宮頸がん検診のみ20歳以上の偶数年齢の女性であれば受診できます*2

健康保険組合が提供するオプション検査以外に、健康診断を実施する医療施設等が独自に提供しているオプション検査がありますが、この記事では、健康保険組合のオプション検査について解説します。

オプション検査の必要性は?

オプション検査を付加するかどうかの判断は、個人にゆだねられます。しかしながら、性別や特定年齢など受診条件のある検査は、その条件下において発症リスクが高いために推奨されていると言えます。全員が対象ではないけれど受診を推奨される方がいる、それがオプション検査の意義です。既往歴があり、かかりつけ医で経過観察や投薬治療を行っているなど医療施設への受診機会がほかにあればオプション検査を受診する必要はありませんが、受診機会がない場合は受けることをおすすめします。健康診断当日に付加することはできませんので、希望する方は事前に予約しておきましょう。

受診条件のない、いわばだれでも受診できるオプション検査は、その部位が気になっている方や家族歴(家族の既往歴)がある方におすすめです。予防のためにわざわざ自ら医療施設を受診するほどではないと考えている場合、このような機会がないと受診のタイミングがないため、積極的に活用しましょう。

なお、定期健康診断や各健康保険組合で提供している一般健診は、基本的に会社や健康保険組合が負担するため無料ですが、オプション検査は受診義務のない任意検査のため、多くの場合、受診費用は自己負担(保険適用外)です。ただし、受診条件を満たしていれば、健康保険組合による補助の対象となることがあります。この場合、医療施設が独自で提供している健康診断のオプション検査や専門ドック、予防目的で単体の検査を個人で直接医療施設に申し込むよりも、多くの場合安価に受診することが可能になります。

健康診断のおもなオプション検査の種類と費用

健康保険組合が提供するオプション検査において、受診対象となった場合の費用目安は以下のとおりです。健康保険組合によって受診条件や補助金額の上限が設定されており、それにともない自己負担額も異なります。健康保険組合によっては、一般健診のみならずオプション検査も個人負担なし(無料)で提供しているところもあります。詳細は各健康保険組合の案内を確認してください。

胃のオプション検査

【おもな検査の種類と費用目安】

  • 胃部X線(バリウム)検査:1,000~2,000円
  • 胃内視鏡(胃カメラ)検査:3,000~5,000円
  • 胃がんリスク検査(ABC検査):1,000~2,000円程度

【見つけられる疾患】
胃がん、食道がん、胃ポリープ、胃潰瘍、十二指腸潰瘍 等

労働安全衛生法で定められている定期健康診断の必須検査項目には、胃の検査が含まれていません*1。そのため、一般健診に胃の検査が含まれていないことがあります。オプション検査として提供されている場合は、自身の判断で付加することができます。

胃部内視鏡検査(胃カメラ)は、胃だけでなくカメラが通過する食道、小腸の最初の部分である十二指腸も観察することができます。また、一般健診に胃X線(バリウム)検査が含まれている場合、受診する医療施設が胃内視鏡(胃カメラ)検査に対応していれば、差額を負担することで変更できる場合があります。胃内視鏡(胃カメラ)検査への変更を希望する方は、事前に医療施設に連絡して予約してください。

胃X線(バリウム)検査の流れのほか、バリウムが苦手な方に向けて、少しでもラクに飲み込むコツや検査後のトイレで困らないための小ワザなどを下記記事で紹介しています。

胃がんリスク検査(ABC検査)は、疾患を見つける検査ではなく、ピロリ菌抗体検査およびペプシノゲン検査によって胃がんの将来的な発症リスクを評価する検査で、採血によって行われます。胃がんの罹患率は40代後半から増加していくため*3、20~30代などなるべく早い段階で受けておきたい検査です。胃がんとピロリ菌の関係と検査についてもっと詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。

胃がんの検査が含まれていなかったりオプション検査としての提供がなかったりする場合は、各自治体が実施している胃がん検診を利用するとよいでしょう。自治体の胃がん検診は、40歳以上を対象に胃X線(バリウム)検査を実施していることが多いです*4。自治体によっては、おおむね50歳以上を対象に胃内視鏡(胃カメラ)検査を実施していることもあります。詳細はお住まいの自治体のWebサイト等で確認してください。

肺のオプション検査

【検査の種類と費用】
胸部CT検査:3,000~5,000円程度

【見つけられる疾患】
肺がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫、結核、肺炎、気管支炎 等

労働安全衛生法で定められている定期健康診断の必須検査項目には、肺の検査として胸部X線(レントゲン)検査と喀痰検査(喀痰細胞診)が含まれています。そのため、一般健診では胸部X線(レントゲン)検査もしくは喀痰検査が実施されます(一般的には胸部X線検査を採用)。このほか、健康保険組合によっては胸部CT検査(肺CT検査)のオプション検査が用意されていることがあります。胸部X線(レントゲン)検査の撮影画像が平面的なのに対し、胸部CT検査は肺を立体的に撮影することができます。それにより、小さな病変、心臓や横隔膜と重なった部分の病変の発見が可能になります*18

喫煙者の肺がん発症リスクは非喫煙者と比較して男性4.4倍、女性2.8倍とされ、さらに、喫煙開始年齢が低いほどまた喫煙量が多いほどリスクは高まります*19。オプション検査としての提供があり、ハイリスクの自覚がある方は、数年ごとの付加を検討してみましょう。

この検査は何のための検査?「胸部CT検査」
この検査は何のための検査?「胸部レントゲン検査」
この検査は何のための検査?「喀痰細胞診」

膵臓・肝臓・腎臓・胆のう・脾臓などのオプション検査

【おもな検査の種類と費用目安】
腹部超音波(エコー)検査:1,000~3,000円程度

【見つけられる疾患】
膵臓・肝臓・腎臓・胆のう・脾臓などのがん、肝硬変、肝炎、脂肪肝、胆石、腎結石、尿・膀胱結石、胆嚢ポリープ 等

腹部超音波(エコー)検査は、膵臓・肝臓・腎臓・胆のう・脾臓など腹部のあらゆる部位を一度に調べることができるうえ、身体的負担が少ないことが特長です*5。これらの部位の疾患は初期症状がないことから“沈黙の臓器”と呼ばれ、疾患が見つかるころには予後が悪いことが多いです。個々の部位のオプション検査がないことが多いため、一度に調べられる腹部超音波(エコー)検査は効率的です。予算があれば追加したいオプション検査です。ただし、消化管ガスの影響や体型によっては描出が難しい場合があるため、描出範囲内での評価になります*6

単体のオプション検査として提供されていない場合は、健康保険組合独自の人間ドックを選択できるか確認してみましょう。人間ドックの基本検査項目に、腹部超音波(エコー)検査が含まれていることがあります。健康保険組合独自の人間ドックの費用目安は5,000~20,000円程度です。

この検査は何のための検査?「腹部エコー検査」

大腸のオプション検査

【おもな検査の種類と費用目安】
便潜血検査:1,000~2,000円程度

【見つけられる疾患】
大腸がん、大腸ポリープ、十二指腸潰瘍 等

大腸がんは、日本人の罹患数1位、死亡数2位のがんです*7。便潜血検査は、労働安全衛生法で定められている定期健康診断の必須検査項目には含まれていません*1、健康保険組合が提供する一般健診には含まれているか、オプション検査として提供されていることが多い検査です。含まれていなかったりオプション検査としての提供がなかったりしても、各自治体が実施する大腸がん検診で受診できます。なお、自治体のがん検診は住民票のある自治体でだれもが受診できますが、大腸がん検診としての便潜血検査は40歳以上を対象としている自治体が一般的です*4。詳細はお住まいの自治体のWebサイト等で確認してください。

便潜血検査の精度から忘れがちなコツまで、下記記事で詳しく解説しています。

ただし、便潜血検査は早期の大腸がんや前がん病変の大腸ポリープを見つけることが難しいため、大腸の状態が気になる方は大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を検討するとよいです。大腸内視鏡(大腸カメラ)検査は一般健診のオプション検査としては用意されていないことがほとんどのため、健康保険組合独自の人間ドックを選択できるか確認しましょう。人間ドックのオプション検査として大腸内視鏡(大腸カメラ)検査が用意されていることがあります。健康保険組合独自の人間ドックの費用目安は、5,000~20,000円程度です。

乳房のオプション検査

【おもな検査の種類と費用目安】

  • 乳腺超音波(エコー)検査:1,000~2,000円程度
  • マンモグラフィ:1,000~4,000円程度

【見つけられる疾患】
乳がん、乳腺症、乳腺嚢胞 等

乳がんは日本人女性がもっとも罹患しやすいがんで、日本人女性の9人に1人が生涯で罹患するとされています*7。「乳がん検診」などの名称で、ほとんどの健康診断でオプション検査として提供されています。乳がん罹患者が増えていく30代から2年に1回もしくは毎年受けたい検査です。乳腺超音波(エコー)検査かマンモグラフィを選択できる場合、乳腺が発達している30代女性は乳腺超音波検査、40代以降はマンモグラフィがおすすめです。

受診方法によって異なる乳がん検診の年齢条件や検査の種類など、詳細は下記記事で解説しています。

オプション検査としての提供がない場合は、各自治体が実施する乳がん検診で受診できます。なお、自治体のがん検診は住民票のある自治体でだれもが受診できますが、乳がん検診は40歳以上を対象としている自治体が一般的です*4。詳細はお住まいの自治体のWebサイト等で確認してください。

子宮・卵巣のオプション検査

【おもな検査の種類と費用目安】

  • 子宮頸部細胞診:1,000円程度
  • 経腟超音波(エコー)検査:1,000円程度
  • HPV検査:無料~1,000円程度

【見つけられる疾患】
子宮・卵巣のがん、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮内膜症 等

子宮頸部細胞診は、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染の有無を調べる検査で、ほとんどの健康診断で女性向けの一般健診に含まれているか、オプション検査として提供されています。子宮頸部細胞診のみの場合は「子宮頸がん検診」、子宮頸部細胞診と経腟超音波(エコー)検査がセットになっている場合は「婦人科検診」などの名称になっていることが多いです。女性特有の疾患の検査をまとめて受けられる婦人科検診について、検査内容を詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。

一般的にがんのリスクが高まるのは40代からとされていますが、子宮頸がんは20~30代も発症リスクが高いがんです*8症状がないため、子宮頸部細胞診がほぼ唯一の発見方法です*920歳以上の女性であれば年齢に関わらず2年に1回の頻度で受診したいオプション検査です。もしもオプション検査としての提供がなければ、自治体のがん検診を利用しましょう。子宮頸がん検診は、自治体が実施しているがん検診のなかで唯一、20代から受診できるがん検診です*4

経腟超音波(エコー)検査は子宮がん(子宮頸がん・子宮体がん)に限らない、子宮・卵巣の疾患を調べることができる検査です。とくに卵巣は“沈黙の臓器”と呼ばれる部位のひとつであるため、オプション検査としての提供があり予算に余裕のある方はぜひ追加してください。

なお、ミカタでは、子宮頸がんに関する記事を複数用意しています。気になったこと、知りたいことに合わせてぜひご覧ください。

前立腺のオプション検査

【検査の種類と費用目安】
PSA検査:1,000円程度

【見つけられる疾患】
前立腺がん、前立腺肥大症 等

PSA検査は前立腺がんの発見につなげるオプション検査で、ほとんどの健康診断で提供されています。PSA検査は疾患を見つける検査ではなく、腫瘍マーカー検査と呼ばれるスクリーニング検査の一種で、採血によって行われます。

腫瘍マーカー検査にはいくつかの種類があり、調べたい臓器・部位などによって使い分けられます。腫瘍マーカー検査はがんの診断の補助や、診断後の経過、治療の効果をみる目的のほか、再発や転移の有無を調べるために行うことがあります*10。しかし、がんの有無とは無関係に高い値になったり、がんがあっても値が高くならないこともあったりするため、がんを早期に発見するためには必ずしも有効とは言えません*10。しかし、腫瘍マーカー検査のうち、PSA検査は前立腺がんを早期発見するための、もっとも有用な検査とされています*11

前立腺がんは男性の部位別がん罹患数第1位のがんで、50歳ごろから急増します*12。早期予防の観点では40代から、とくに50歳を過ぎたらぜひ付加したいオプション検査です。PSA検査については、下記記事で詳しく解説しています。

オプション検査としての提供がなければ、自治体のがん検診を確認してみましょう。厚生労働省の指針には含まれていませんが*4多くの自治体でおおむね50歳以上を対象に前立腺がん検診が実施されています。詳細はお住まいの自治体のWebサイト等で確認してください。

肝炎ウイルス検査(B型、C型)

【検査の種類と費用目安】
肝炎ウイルス検査:500円程度

【見つけられる疾患】
B型肝炎、C型肝炎

肝炎ウイルス検査は疾患を見つける検査ではなく、B型肝炎やC型肝炎の肝炎ウイルス感染の有無を調べる血液検査です。B型肝炎あるいはC型肝炎の持続的な感染は、肝硬変や肝臓がんに移行する可能性があります。

日本では2009年に肝炎対策基本法が制定され、以降、肝炎ウイルス検査の促進と肝炎患者のフォローアップが行われています*13,*14肝炎ウイルス検査はだれもが少なくとも生涯で一度検査する必要があるとされており、各自治体では過去に肝炎ウイルス検査を受けたことがなく会社の健康診断等で肝炎ウイルス検査を受ける機会がない人を対象に、無料もしくは安価での検査を実施しています。

この検査は何のための検査?「B型肝炎ウイルス(HBs抗原、HBs抗体)」
この検査は何のための検査?「C型肝炎ウイルス(HCV抗体)」

骨密度検査

【検査の種類と費用目安】
骨密度検査:500円程度

【見つけられる疾患】
骨粗鬆症(骨粗しょう症) 等

骨密度検査は、超音波やX線を利用して骨密度を測定する検査です。「骨粗鬆症の予防と治療ガイドラン2015年版」によれば、国内の骨粗しょう症患者は男性300万人、女性980万人と女性が圧倒的に多い状況です*15。女性は、閉経による女性ホルモン(エストロゲン)の急激な低下によって骨からカルシウムが溶け出し、骨密度が低下します*16。骨密度が低下すると、骨折リスクが高まります。厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によれば、要介護・要支援区分の「要支援2」になる原因の2位、「要介護2~4」になる原因の3位が「骨折・転倒」です*17。定期的に検査を受け、リスクの把握と予防に取り組むことが大切です。

骨粗しょう症検査の対象は基本的に女性です。健康診断のオプション検査のみならず、多くの自治体でも30代以上あるいは40代以上の5歳刻み年齢の女性を対象に、骨粗しょう症検査を行っています。オプション検査としての提供がなければ、お住まいの自治体のWebサイト等を調べてみましょう。骨密度検査の詳細と結果数値の見方は下記記事で解説しています。

頭部(脳)のオプション検査

【検査の種類と費用目安】
頭部MRI/MRA検査:10,000円程度

【見つけられる疾患】
脳卒中を始めとする脳血管疾患、脳腫瘍 等

オプション検査としての頭部(脳)の検査では、おもに頭部MRI/MRA検査が行われます。頭部MRI/MRA検査では、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)を始めとする脳血管疾患の兆候やリスク、脳腫瘍の有無がわかります。健康診断などで動脈硬化や生活習慣病を指摘されたことのある方は、数年ごとの付加を検討してみてください。

受診したいけれどオプション検査として提供がない場合、医療施設で脳ドックを受診するとよいでしょう。脳ドックのスタンダードなコースには、頭部MRI/MRA検査のほか、動脈硬化症の評価のひとつとして注目されている頸動脈超音波(エコー)検査がセットになっており、費用目安は1.5~3万円程度です。

脳のオプション検査や脳ドックを受診するとよい年齢を知りたい方は下記記事をご覧ください。

動脈硬化が心配な方は、頸動脈超音波(エコー)検査の解説記事の閲覧をおすすめします。

自分に合うオプション検査の選び方

【年代別】女性におすすめのオプション検査から選ぶ

20~30代の女性におすすめのオプション検査

20~30代の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、乳房と子宮(子宮頸部)です。

  • 乳房の検査:乳腺超音波(エコー)検査、マンモグラフィ
  • 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査

日本人女性の乳がん罹患率は20代後半から増え始めて40代後半に最初のピークを迎え、子宮頸がん罹患率は20代前半から増え始めて30代後半〜40代にピークを迎えます*21,*22。乳腺エコー検査、マンモグラフィ、子宮頸部細胞診はほとんどの一般健診のオプション検査として用意されていますが、受診条件(年齢条件)は健康保険組合の方針によります。子宮頸部細胞診は基本的に20歳以上ですが、乳房の検査は30歳以上とする健康保険組合もあれば40歳以上とする健康保険組合もあります。受診条件を満たしている方はどちらも付加するようにしましょう。詳細は別記事の人間ドックのオプション検査の選び方でも解説しています。

本記事内の「乳房のオプション検査」「子宮・卵巣のオプション検査」もあわせてご覧ください。

40代の女性におすすめのオプション検査

40代の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・大腸・乳房・子宮(子宮頸部)・骨密度などです。

  • 胃の検査:胃部X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 大腸の検査:便潜血検査
  • 乳房の検査:乳腺超音波(エコー)検査、マンモグラフィ
  • 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査
  • 骨密度検査

乳がんの罹患率は40代後半に最初のピークを迎えます。どの健康保険組合でも、40歳以上になれば乳房の検査の受診条件(年齢条件)を満たすため、定期的に受けるようにしましょう。

40歳以上になると胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんの発症リスクも高まっていきます*23、労働安全衛生法で定められている定期健康診断の必須検査項目には、胃の検査と便潜血検査が含まれていません*1。ただし、便潜血検査は健康保険組合が提供する一般健診には含まれているか、オプション検査として提供されていることが多いです。

また、年齢を重ねると骨密度が低下していきますが、骨量が変化しにくい40代前半までの骨密度を把握して比較することが適切な評価の一助になります。オプション検査として用意されている場合、40代前半、遅くとも40代後半のうちに一度は付加するとよいでしょう。

本記事内の「胃のオプション検査」「大腸のオプション検査」「乳房のオプション検査」「子宮・卵巣のオプション検査」「骨密度検査」もあわせてご覧ください。

50代以上の女性におすすめのオプション検査

50代以上の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・肺・大腸・乳房・子宮(子宮頸部・子宮体部)・骨密度などです。

  • 胃の検査:胃部X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 肺の検査:胸部CT検査
  • 大腸の検査:便潜血検査
  • 乳房の検査:乳腺超音波(エコー)検査、マンモグラフィ
  • 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査、子宮体部細胞診
  • 骨密度検査

子宮がんのひとつである子宮体がん(子宮内膜がん)の発症リスクはおもに、閉経前後から高まります子宮体部細胞診がオプション検査として用意されていれば、積極的に活用してください。女性特有の疾患の検査がパッケージになっている婦人科検診があれば、子宮体部細胞診が含まれていることがあります。また、子宮頸部細胞診を受診すると、医師の判断で子宮体部細胞診が実施されることもあります。

女性の50代は、閉経にともなう身体の変化が起こる年代です。健康保険組合の選択肢に人間ドックがあれば、受診を検討してみるとよいでしょう。一般健診に置き換えて受診できます。健康保険組合に人間ドックの選択肢がなければ、自費にはなりますが、人間ドックを検討してみてください。マーソでは多くの人間ドックから希望条件に応じて選ぶことができます。また、人間ドックにおいても、女性特有の疾患に関わる検査を付加することが重要です。人間ドックを受診した方の感想はこちらから読むことができます。

本記事内の「胃のオプション検査」「肺のオプション検査」「大腸のオプション検査」「乳房のオプション検査」「子宮・卵巣のオプション検査」「骨密度検査」もあわせてご覧ください。

【年代別】男性におすすめのオプション検査から選ぶ

30代の男性におすすめのオプション検査

30代の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・大腸・頭部(脳)などです。

  • 胃の検査:胃部X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 大腸の検査:便潜血検査
  • 頭部(脳)の検査:頭部MRI/MRA検査

2021年の統計によると、日本男性のがん死亡率が高いのは、30代前半後半ともに胃がんと大腸がんです*23。労働安全衛生法で定められている定期健康診断の必須検査項目には、胃の検査と便潜血検査が含まれていません*1。胃のオプション検査が用意されている場合、なんらかの検査を付加することをおすすめします。なお、便潜血検査は健康保険組合が提供する一般健診には含まれているか、オプション検査として提供されていることが多いです。

生活習慣の乱れを自覚している方は、動脈硬化を原因とする脳血管疾患の発症リスクを調べるため、頭部(脳)の検査を検討するとよいでしょう。

本記事内の「胃のオプション検査」「大腸のオプション検査」「頭部(脳)のオプション検査」もご覧ください。

40代の男性におすすめのオプション検査

40代の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・肺・膵臓・肝臓・大腸・頭部(脳)などです。

  • 胃の検査:胃部X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 肺の検査:胸部CT検査
  • 膵臓や肝臓の検査:腹部超音波(エコー)検査
  • 大腸の検査:便潜血検査
  • 頭部(脳)の検査:頭部MRI/MRA検査

がんによる40代男性の死亡率は、30代男性の項目で取り上げた胃がん、大腸がんに加え、肺がん、膵臓がん、肝臓がんが上昇してきます*23腹部エコー検査がオプション検査として用意されている場合は付加するとよいでしょう。

また、肥満体型の方、食生活の乱れの自覚がある方、運動習慣のない方は、動脈硬化が懸念されます。血管の疾患は自覚症状がなくても進行していくので、頭部(脳)や心臓の状態を観察できる検査を検討するとよいです。しかしながら、一般健診には心臓の状態を観察できるオプション検査がほぼありません。気になる方は、会社の健康診断とは別に医療施設での心臓ドックを受診する方法もあります。心臓の状態を確認できる検査については、別記事の40代男性および50代男性におすすめの人間ドックのオプション検査で解説しています。

本記事内の「胃のオプション検査」「肺のオプション検査」「膵臓・肝臓・腎臓・胆のう・脾臓などのオプション検査」「大腸のオプション検査」「頭部(脳)のオプション検査」もあわせてご覧ください。

50代以上の男性におすすめのオプション検査

50代以上の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・肺・心臓・膵臓・肝臓・大腸・前立腺・頭部(脳)などです。

  • 胃の検査:胃部X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)
  • 肺の検査:胸部CT検査
  • 心臓の検査:心臓超音波(エコー)検査
  • 膵臓や肝臓の検査:腹部超音波(エコー)検査
  • 大腸の検査:便潜血検査
  • 前立腺の検査:PSA検査
  • 頭部(脳)の検査:頭部MRI/MRA検査

50代以上はがん全般のほか、脳卒中(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞など脳血管疾患の総称)や心臓病といった疾患の発症リスクが高まります。各オプション検査の提供があれば、定期的に検査を受けることが早期発見、予防につながります。また、前立腺がんの発症リスクが高まる年代なので、PSA検査も付加しましょう。PSA検査は採血だけで済み、簡便で精度の高い検査です。

50代ともなると、まわりになんらかの疾患を持つ方が増えてきます。健康保険組合の選択肢に人間ドックがあれば、一般健診に置き換えて受診できます。健康保険組合に人間ドックの選択肢がなければ、自費にはなりますが、人間ドックを検討してみてください。マーソでは多くの人間ドックから希望条件に応じて選ぶことができます。また、人間ドックを受診した方の感想はこちらから読むことができます。

本記事内の「胃のオプション検査」「肺のオプション検査」「膵臓・肝臓・腎臓・胆のう・脾臓などのオプション検査」「大腸のオプション検査」「前立腺のオプション検査」「頭部(脳)のオプション検査」もあわせてご覧ください。

受診条件に当てはまっているかどうかで選ぶ

多くのオプション検査には性別や年齢などの受診条件が設定されています。「オプション検査の必要性は?」でお伝えした通り、その条件下において発症リスクが高いためにオプション検査として提供されていると言えます。一般健診におけるオプション検査は、健康保険組合による補助があるため、すべて自費で受ける人間ドックあるいは人間ドックに付加するオプション検査よりも安価です。積極的に活用していきましょう。

家族歴で選ぶ

一部の疾患は、遺伝的要素が発症リスクに関与しています。とくに、食道・胃・肝臓・膵臓・肺・子宮・膀胱のがんに関与が認められており*20家族歴(家族の既往歴)を把握しておくことは非常に重要です。血縁関係のある家族・親族にこれらのがんを罹患した人がいる場合は、積極的に検査を受けましょう。なお、健康診断を受診する医療施設によっては、血縁関係のある父母・兄弟姉妹・祖父母・おじおばの既往歴の記載を求められることがあります。

気になる部位で選ぶ

なんとなく気になる部位がある方は、予算に応じて検査を追加してもいいでしょう。頭痛が続く方は脳のオプション検査、ときどき軽い腹痛が起こるといった方は胃や大腸の検査というように、気になる状態に合わせてオプション検査を選んでもかまいません。オプション検査で病気の前兆が見つかることは、日々の喫煙や飲酒、食事などの生活習慣を見直すきっかけになります。なお、はっきりとした自覚症状がある方は、健康診断やオプション検査ではなく、すみやかに診察を受けるようにしてください。

参考資料
*1.厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
*2.全国健康保険協会(協会けんぽ) どんな健診があるの?
*3.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 胃
*4.厚生労働省 がん検診
*5.東京都予防医学協会 腹部超音波による検査
*6.日本予防医学協会 検査結果の見方 腹部超音波検査(腹部エコー)
*7.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 最新がん統計
*8.日本産科婦人科学会 子宮頸がん
*9.国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん検診について
*10.国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん 検査
*11.国立がん研究センター がん情報サービス 腫瘍マーカー検査とは
*12.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 前立腺
*13.e-Gov 肝炎対策基本法
*14.厚生労働省「知って、肝炎」
*15.日本骨粗鬆症学会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドラン2015年版」
*16.日本整形外科学会 骨粗鬆症(骨粗しょう症)
*17.厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」IV 介護の状況
*18.東京都予防医学協会 肺がん検診
*19.国立がん研究センター がん情報サービス 肺がん 予防・健診
*20.国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト 多目的コホート研究 がん家族歴と、その後のがん罹患リスクとの関連について
*21.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 乳房
*22.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 子宮頸部
*23.がん研究振興財団「がんの統計2023」2023年3月

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