人間ドックの平均費用 – 費用補助など安く受ける方法を紹介

こちらの記事の監修医師
上昌広

医師。1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

山本 佳奈
     

内科医。2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

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がんは長年日本人の死因トップを占める病気です。日本人の半分以上は生きているうちにがんになるといわれ、高齢化によりその割合は増えていくことが予想されます。がんにかかる人は30代後半から徐々に増え始めて50代を過ぎると急増するため、働き盛りの世代こそがん対策が重要です。

この記事では人間ドックをまだ受けたことがない方に向けて、自治体によるがん検診との違いや人間ドックの費用相場と補助金(もしくは助成金)制度についてくわしく解説しています。失敗しない人間ドック施設の選び方も合わせてご紹介します。

★こんな人に読んでほしい!
・人間ドックを受けるか迷っている方
・人間ドックの費用の相場を知りたい方
・人間ドックの費用補助について知りたい方

★この記事で解説していること
・自治体によるがん検診は「対象集団の死亡率を下げる」ため、人間ドックは「個人の死亡リスクを下げる」ため
・生活習慣や家族歴など個々に合わせた検査を受診したいなら人間ドックがおすすめ
・人間ドックは保険適用にならないが、医療費控除の対象になる場合がある
・人間ドックには加入している保険によって補助・助成制度がありおトクに受けられることがある
・人間ドックの施設を選ぶポイントは、スケジュールに合うプラン、対応している検査の種類、専門性のある医師がいるかどうか等

人間ドックを受ける必要性

健康寿命をのばすためにはがんを早期発見して治療することが重要

がん(悪性新生物または悪性腫瘍)は昭和56年以降から日本人の死因トップの病気です。寿命が伸びたことでがんになる人は増え続けており、日本人女性のうち生涯でがんになるのは2人に1人、男性は3人に2人もいるといわれています。

どんなに生活習慣に気を付けていてもがんになることはあります。がんは「痛みがない」「初期はほとんど症状がでない」厄介な病気です。痛みや出血に気づいたときにはかなり進行した状態であることも多く、最悪の場合には治療が困難であることもあります。

医学の進歩により、がんは早期のうちに発見できれば治すことが可能になってきました。健康寿命を伸ばすためには、定期的にがん検診を受けて早期発見をすることが重要です。がん検診は、企業の健康診断や自治体のがん検診のほか、人間ドックでも行われています。そこで、人間ドックと健康診断や検診で行うがん検診の違いについて説明します。

人間ドックと健康診断・自治体のがん検診は何が違うのか

どちらも共通しているのは「症状がない人」を対象にしており「症状が出る前の早期がんを発見して治療すること」を目的としている点です。一方で、異なる点もいくつかあります。目的、対象者、検査内容、結果説明の違いについては下記に、費用の違いについては次の章にくわしくまとめているのでそれぞれ参考にしてください。

【目的の違い】
健康診断や自治体のがん検診では「対象集団全体の死亡率を下げること」を目的としているのに対して、人間ドックは「個人の死亡リスクを下げること」を目的としています。

【対象者の違い】
企業の健康診断や検診の対象者は原則一定の年齢以上の方に限定されているのに対して、人間ドックは原則20歳以上であればどなたでも受けることができます。自治体のがん検診などは対象者に郵送などで案内が来るのに対して、人間ドックは自ら医療施設を探して予約する必要があります。

【検査内容の違い】
自治体によるがん検診は、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの5種類のみです。それぞれの検査は専門家で構成される委員会によって科学的に死亡率減少効果があることが証明されており、厚生労働省が指針を定めています。がんの発見精度が高い検査でも、過剰診断や合併症のリスクなどによる不利益を最小限にするために一時検診では受けられないものもあります。たとえば、大腸がんで受けられるのは便潜血検査(検便)のみで、陽性と判定された場合のみ、大腸内視鏡検査を保険適用で受けることができます。

企業の健康診断は労働安全衛生法に基づいて検査内容が定められており、胸部レントゲン検査、血圧検査、血液検査、尿検査など11項目です。追加料金を払うとその他の検査を追加できる場合もありますが、加入している社会保険によって追加で受けられる検査内容や費用は異なります。

人間ドックは企業の健康診断や自治体の検診に比べて検査項目が豊富で、気になる症状に合った検査を選択できます。上記の2つとは異なり、はじめから精密検査を受けられるため、万が一がんがあった場合にも比較的早期に治療へ移行できます。

【検査説明の違い】
企業の健康診断などは、書面のみで医師からの説明がありません。人間ドックは、検査結果についての説明を医師から直接聞くことができます(一部郵送のみのプランもあり)。検査結果への理解を深めたい方、検査結果をもとに将来的な発症リスク低減のための指導をしてほしい方は人間ドックがおすすめです。

人間ドックの費用は基本コースで3~6万円。医療施設や検査コースによって異なる

人間ドックは保険適用外。医療機関や検査コースによって費用が異なる

人間ドックはけがや病気の診断や治療ではないので、保険適用外です。医療施設によって検査項目の組み合わせはさまざまで、さらに同じ検査であっても医療施設によって費用は異なります。

ここでは一般的な人間ドックの検査内容と検査費用の目安についてご紹介します。また脳ドック、レディースドック、メンズドック、PET検診など専門ドックの費用相場についても簡単にご紹介します。

【人間ドック(基本コース)】
一般的な人間ドック費用の相場:3万円~5万円
調べられる病気の種類:肺がん、胃がん、大腸がん、不整脈、動脈硬化など
一般的な人間ドックには、下記の検査項目が含まれています(施設による)。

・身体計測
・眼底検査
・血液検査
・血圧検査
・心電図検査
・胸部レントゲン検査
・バリウム検査
・便潜血検査(大腸の検便検査)

施設によっては肺がんをくわしく調べるために胸部CT検査を、胃がんや大腸がんをくわしく調べるために胃部内視鏡検査や大腸内視鏡検査を、あるいは腹部エコー検査を追加することも可能です。これらの追加や変更の有無によって、費用が変わります。

【脳ドック】
基本コース+脳ドックの費用相場:3万円〜8万円
調べられる病気の種類:脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血など)、脳腫瘍、動脈硬化(脳卒中のリスク要因)の進行度など
検査項目:基本コース+頭部MRI/MRA検査、頸部エコー検査、血液検査など

【レディースドック】
基本コース+レディースドックの費用相場:5万円〜8万円
調べられる病気の種類:乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮筋腫、卵巣のう腫など
検査項目:基本コース+マンモグラフィ、乳腺エコー検査、子宮頸部細胞診、経膣エコー検査、骨盤MRI検査など

【メンズドック】
基本コース+メンズドックの費用相場:4万円〜6万円
調べられる病気の種類:前立腺がん、前立腺肥大症
検査項目: 基本コース+PSA検査(前立腺がんに特化した血液検査)、前立腺エコー検査、前立腺MRI検査など

【PET検診】
一般的なPET検診費用の相場:10万円程度
調べられる病気の種類:早期胃がんを除く全身のがん(とくに頭〜首にかけてできるがん、悪性リンパ腫)、脳腫瘍など
検査項目:PET検査

各検査コースの選び方については以下の記事を参考にしてください。
【初心者向け】人間ドックのおすすめの選び方(検査項目・種類)

万が一病気が見つかった場合の精密検査費と治療費は保険適用になる

基本的に人間ドックの費用は保険適用にはなりません。しかし、人間ドックを受けてがんなどの重大な病気が見つかった場合には、精密検査費と治療費が保険適用になります。またその場合には、人間ドックの費用を含めて精密検査費と治療費を医療費控除として申請することが可能です。医療費控除額は所得金額によって変わりますが、医療費控除を申請すれば所得税と住民税の納税額を少なくできる場合もあります。

人間ドックの費用を安くする方法は?

人間ドックの費用は検査の組み合わせや医療施設によって異なりますが、費用の安さだけで選んでしまうと「せっかく検査したのに心配な病気を調べられていなかった」ということがあるので注意が必要です。

人間ドックの費用を抑えるポイントは「補助金(もしくは助成金)制度を利用すること」です。誰でも利用できるわけではありませんが、知っておくとおトクに人間ドックを受けられる場合があります。具体的にどのような制度があるのか次の章にくわしくまとめているので参考にしてくだい。

人間ドックの費用補助は加入している保険の種類で異なる

人間ドックは費用補助もしくは助成を受けられる場合があるため、まず自分が所属している健康保険の種類を確認しましょう。確認方法は簡単で、保険証の「保険者名称」という欄に保険の種類が記載されています。もしくは所属している勤務先の担当者などにお尋ねください。

勤務先が組合健保(健康保険組合)に加入している場合

社員数が多い大手企業などに勤めている方は「組合健保(健康保険組合)」に加入している場合が多いです。健康保険組合によっては、人間ドックの一部費用の補助が受けられる場合があります。補助内容は加入している団体によって異なりますが、保険加入者に加えて扶養家族(配偶者など)も費用補助の対象になる場合もあるので、ご家族もおトクに受診できる可能性があります。

勤務先が協会けんぽ(健康保険協会)に加入している場合

「協会けんぽ(健康保険協会)」に加入している35〜74歳の方は人間ドック相当の検査を通常よりも安く受けることができます(一部の検査は含まれていません)。

具体的には尿検査、血液検査、胸部レントゲンなど約30項目の一般的な検査に加えてマンモグラフィ、子宮細胞診、肝炎ウイルス検査などがあります。検査の対象者や検査内容は細かく定められているので、詳細は協会けんぽWebサイトを確認してください。

協会けんぽの方は「差額人間ドック」の対象になります。差額人間ドックとは、医療機関が協会けんぽと提携しているプランです。令和2年4月以降、協会けんぽへの申し込みは不要となり、受診者が直接医療機関へ保険者番号などを伝えて予約する形式に変わりました。そのため窓口での支払い費用も割引後の料金だけで済むようになり手続きも簡単になっています。

国民健康保険加入の場合

自営業者、個人事業主、年金受給者、無職の方の多くが加入しているのは「国民健康保険」です。一部の自治体では、人間ドックの費用の一部を負担してくれる場合があります。

例として、東京都東大和市では人間ドックに対して以下の助成制度があります(2020年12月時点) 。
対象者:国民健康保険に加入している満40歳以上の男女
助成額:上額2万3000円
助成を受けられる回数:人間ドックもしくは脳ドックを年度1回まで
条件:国民健康保険料に滞納がないこと、PET検診およびオプション料金は対象外
申請に必要なもの:人間ドックもしくは脳ドックの領収書、国民健康保険証、印鑑、振込先のわかるもの

その他、対象者や助成条件は各自治体によって異なりますので自治体のホームページや窓口で確認してみてください。

民間保険に加入の場合

民間の生命保険会社でも割引制度を実施しているところがあります。保険会社のなかにでは提携している医療施設で予約をした場合に限り、人間ドック、脳ドック、PET検診を通常より5〜20%程度割引価格で受けられるキャンペーンを実施しているところもあります。

専用のコールセンターから事前に予約した場合にのみ適用されたり、組合健保などの補助金制度との割引併用はできないなどの制約もあったりするため、一度ご自分が加入している保険会社に問い合わせてみるとよいでしょう。

人間ドック施設の選び方、おすすめの5つのポイント

ポイント1:土日や午後などの受けたい時間に対応しているか

平日に仕事が入っている方や日中に時間がとりにくい方でも人間ドックを受けることはできます。人間ドックのプランは午前中から午後にかけて半日程度で実施されることが多いですが、早朝から内視鏡検査を実施していたり、午後から受診できたりする医療施設もあります。どうしても都合にあうプランがない場合は、検査内容によっては時間を調整してもらえることもあるので、医療施設に問い合わせてみるのもよいかもしれません。調子が悪いわけではないので、「仕事を調整して検査を受けに行くのは面倒だな」と後回しにしてしまいがちなので、まずはご自身のスケジュールに合う人間ドック施設を探してみてください。

ポイント2:受けたい検査項目に対応しているかどうか

人間ドックの検査項目は医療施設によってさまざまです。大腸コロノグラフィ(大腸CT検査あるいは大腸3D-CT検査)など最新の検査は、医療機器が導入されていることが前提になります。大腸内視鏡検査(大腸カメラ)と同時にポリープ治療を行う場合は治療用の設備がある一部の施設に限られます。また、頭部MRI検査と腹部超音波検査(腹部エコー検査)のセットを受けたいとしても、医療機器の有無によるため、医療施設によっては組み合わせができない検査もあります。

受けたい特定の検査がある場合には、あらかじめその検査に対応している医療施設の中から人間ドックのプランを選びましょう。

ポイント3:専門医がいるかどうか

医師にもそれぞれ専門分野があるため、胃や大腸の病気に特化している医師もいれば心臓の病気に特化している医師もいます。検査したい検査項目に精通した専門医がいるかどうかチェックしましょう。

とくに内視鏡検査は担当する医師の技術によって病気を見つけられる確率や検査時間が大きく左右されるため、熟練した医師がいるかどうかは病院選びの重要なポイントです。またCT検査やMRI検査などの特殊な画像検査をした場合にも、画像を読み解くスキルが求められるため、画像を診断する専門医がいるかどうかがポイントのひとつになるでしょう。その領域に精通する専門医がいれば、万が一異常が見つかった場合にもスムーズに治療に移行できたり、病気についてくわしく話を聞くことができたりします。

ポイント4:「機能評価認定施設」に選ばれているか

日本人間ドック学会は受診者が安心に人間ドックを受けられることを目的に、厳しい条件をクリアした優良な人間ドック施設を「機能評価認定施設」として認定しています。医療施設は一度認定されたあとも5年ごとに更新審査を受ける必要があるため、信頼できる医療施設の目安のひとつと言えます。2021年2月現在、全国386施設が認定されています。

詳細はこちら
●人間ドック・検診Q&A「人間ドック施設の選び方のコツは?

ポイント5:女性に配慮した施設かどうか

「マンモグラフィや乳腺エコーを受けたいけれど、男性に検査されることに抵抗があって受けられずにいる」という方は女性医師や女性スタッフを配置して女性が検査を受けやすいように配慮している施設を選ぶと安心でしょう。最近では婦人科系の検査は女性が行う医療施設が増えていますが、女性に配慮した施設ではその他にも内視鏡検査(胃カメラ)、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、胸部レントゲン検査なども女性が安心して受けられるように工夫されているのでおすすめです。

参考資料
厚生労働省「令和元年(2019年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
国立がん研究センターがん情報サービス 最新がん統計
日本医師会「知っておきたいがん検診」がん検診とは?
日本対がん協会「がん検診の種類」
日本対がん協会「がん検診の目的と効果」
厚生労働省「労働安全衛生法に基づく定期健康診断」
国税庁「人間ドックの費用」
東大和市 人間ドック等受診料助成金
東京海上日動あんしん生命
日本人間ドック学会 人間ドック健診施設機能評価
日本核医学会「FDG PET,PET/CT 診療ガイドライン 2020」
日本人間ドック学会「e人間ドック」認定施設

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人間ドックを予約するなら、便利でお得なマーソがおすすめです。マーソは人間ドックの施設数が最多なので、自分にぴったりの施設を見つけることができます。予約もオンラインで24時間いつでもどこでも手軽に完了。オンラインが苦手な方、お急ぎの方は、電話での予約も可能です。さらに、マーソは最低価格保証がついているため、どこよりも費用を抑えて人間ドックを受診することができます。

人間ドックは、受診して結果を確認して終了、ではありません。受診する医療施設に左右されずに経年変化を追うことが重要です。

こちらの記事の監修医師
上昌広

1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。 虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。

山本 佳奈
     

1989年生まれ。滋賀県出身。医師。 2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

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