人間ドックには、基本検査項目のほかに、自由に追加できる「オプション検査」があります。オプション検査は、気になる部位や発症リスクが高いとされる疾患に関する部位を詳しく調べるための検査です。すべてのオプション検査を受診することは現実的ではありませんが、必要な検査を選択するため、あるいはオプション検査をどのように選んだらいいかわからない方のために、年齢や性別ごとによるオプション検査の選び方を紹介します。なお、健康診断のオプション検査については別記事で紹介していますので、受診内容に合わせてご覧ください。
★こんな人に読んでほしい!
・人間ドックを受診予定だが、オプション検査をつけたことがない方
・基本の人間ドックのオプション検査と、専門ドックとの違いがわからない方
・人間ドックのオプション検査の種類やおすすめの選び方が知りたい方
★この記事のポイント
・オプション検査とは、基本的な人間ドックに加えて特定の部位をより詳しく調べる検査
・オプション検査は、基礎検査項目だけでは発見できない疾患を見つけるためにある
・オプション検査は、年齢や性別、生活習慣、家族歴、自覚症状などで受けるべきものが変わる
・喫煙や飲酒習慣があり、食生活が乱れがちな男性は、30代からオプション検査を受けたほうがよい
・女性は、若くても乳がんや子宮頸がんのオプション検査を受けたほうがよい
人間ドックのオプション検査とは?
そもそもオプション検査とは
人間ドックは、さまざまな検査で全身を調べ、病気の前兆となる異常を早期発見し、予防につなげる検査です。会社の健康診断や国民健康保険加入者が受診できる自治体の健康診断だけでは見つけることの難しい、自覚症状に乏しい病気を発見することができます。人間ドックの検査項目には、日本人間ドック学会や日本病院会などの団体によって推奨された基本検査項目(身体計測、生理検査、X線・超音波、生化学検査、血液学検査、血清学検査、尿検査、便検査、問診・診察、判定・指導)があります。
しかし、生活習慣や年齢、性別などによって発症しやすい疾患は違ってきます。基本検査項目だけでは網羅できない疾患の有無やリスクを補完するために、疾患ごとに精度の高い検査を受けられるのが「オプション検査」です。
オプション検査は、性別や年齢、生活環境、既往歴、家族歴(家族の既往歴)などによって推奨される検査が異なります。人間ドック学会が推奨する一日ドック基本検査項目表(健保連人間ドック健診項目表)には、オプション項目として下記6項目が挙げられています*1。
・上部消化管内視鏡
・乳房診察+マンモグラフィ
・乳房診察+乳腺超音波
・婦人科診察+子宮頸部細胞診
・PSA検査
・HCV抗体検査
PSA検査は、前立腺がん、前立腺肥大症、前立腺炎を調べる腫瘍マーカーの検査です。HCV抗体検査は、C型肝炎ウイルスの感染を調べる検査です。
個々人の背景(性別・年齢、生活環境、既往歴、家族歴など)や健康状態に応じてオプション検査を組み合わせることが、疾患の早期発見と不安の解消につながります。
オプション検査は専門ドックと別物?
オプション検査は、頭部MRI/MRA検査、PSA検査、内臓脂肪CT検査などの個別検査のこともあれば、複数の検査を組み合わせた専門ドック(脳ドックや心臓ドックなど)として提供されることもあります。
医療施設の専門分野や設備環境によって提供されているオプション検査は異なるため、専門ドックとは違う形で、独自の組み合わせによるコースを設定しているケースもあります。人間ドック(基本検査項目)に女性向けの検査を付加したレディースドック、人間ドックに男性向けの検査を付加したメンズドックなどもそのひとつです。
オプション検査はこんな方におすすめ
人間ドックでより精度の高い結果を得るには、自分に合ったオプション検査を選ぶことが重要です。オプション検査は、自身の年齢、性別、生活習慣、既往歴、家族歴(家族の既往歴)、気になる部位などをもとに選ぶことになります。
女性におすすめのオプション検査の選び方(年代ごと)
日本人女性の子宮頸がん罹患率は20代前半から増え始めて30代後半にピークを迎え、乳がん罹患率は20代後半から増え始めて40代後半に最初のピークを迎えます*2,*3。そのため、どちらも若い世代からオプション検査を受けることをおすすめします。年代別の選び方については以下を参考にしてください。
20~30代の女性におすすめのオプション検査
20~30代の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、子宮(子宮頸部)・乳房などです。
- 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査、HPV検査など
- 乳房の検査:マンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)検査、DWIBS(ドゥイブス)など
若い年代でも発症リスクがあるのが子宮頸がん、乳がんです。子宮頸がんの検査は20代、乳がんの検査は30代以降から定期的に受けるようにしましょう。乳がん発見のための検査は、一般的にマンモグラフィか乳腺超音波(エコー)検査が挙げられます。20~30代は乳腺が発達しているため、マンモグラフィではがんと乳腺の見分けがつかないことがあります。選択できるのであれば、この年代は乳腺超音波(エコー)検査がよりおすすめです。なお、近年注目されているDWIBS(ドゥイブス)については、後述の「乳房のオプション検査」で解説しています。
乳がんに関しては、厚生労働省が近年、乳がん検診の定期的な受診とともに「ブレスト・アウェアネス」を推奨しています*4。ブレスト・アウェアネスとは、普段から入浴や着替えのときなどに自分の乳房を見たりさわったりして、見た目やさわった感覚を把握しておくことで*5、別記事で詳しく紹介しています。従来いわれていた自己触診よりも簡単で、日常に取り入れやすいです。変化に気づいたときは、すみやかに乳腺外来を受診しましょう。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
子宮頸部細胞診 / 経腟超音波(エコー)検査 / HPV検査 マンモグラフィ / 乳腺超音波(エコー)検査 / DWIBS(ドゥイブス)
40代の女性におすすめのオプション検査
40代の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、子宮(子宮頸部)・乳房・胃・大腸・骨密度などです。
- 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査、HPV検査など
- 乳房の検査:マンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)検査、DWIBS(ドゥイブス)など
- 胃の検査:胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)など
- 大腸の検査:大腸内視鏡(大腸カメラ)検査など
- 骨密度検査
- その他全身がんスクリーニング検査:PET検査、DWIBS(ドゥイブス)など
前述の通り、乳がんの罹患率は40代後半に最初のピークを迎えます。乳がんに関するオプション検査もしくは乳がん検診は定期的に受けるようにしましょう。また、40歳以上になると胃がんや大腸がんなどの消化器系のがんの発症リスクも高まっていきます*6。さらに、女性は閉経後の50代から急激に骨密度が低下し*7、年齢を重ねるほど骨粗鬆症(骨粗しょう症)のリスクが高まります。骨密度の変化を知るためには、骨量が変化しにくい40代前半までの骨密度を把握しておくとよいでしょう。
DWIBSは乳がんの検査のほか、全身がんの検査としても注目されています。下記記事で詳しく解説していますので、気になる方はご覧ください。
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子宮頸部細胞診 / 経腟超音波(エコー)検査 / HPV検査 / マンモグラフィ / 乳腺超音波(エコー)検査 / DWIBS(ドゥイブス) / 胃内視鏡(胃カメラ)検査 / 胃がんリスク検査(ABC検査) / 大腸内視鏡(大腸カメラ)検査 / PET検査
50代以上の女性におすすめのオプション検査
50代以上の女性におすすめしたいオプション検査の部位は、子宮(子宮頸部・子宮体部)・乳房・胃・大腸・肺・骨密度などです。
- 子宮と周辺部位の検査:子宮頸部細胞診、経腟超音波(エコー)検査、HPV検査、子宮体部細胞診など
- 乳房の検査:マンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)検査、DWIBS(ドゥイブス)など
- 胃の検査:胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)など
- 大腸の検査:大腸内視鏡(大腸カメラ)検査など
- 肺の検査:喀痰検査(喀痰細胞診)、胸部CT検査など
- 骨密度検査
- その他全身がんスクリーニング検査:PET検査、DWIBS(ドゥイブス)など
2021年の日本女性全体のがんによる死亡数は、多い順に大腸・肺・膵臓・乳房・胃となっており、罹患数は多い順に乳房・大腸・肺・胃・子宮です*8。子宮がんのひとつである子宮体がん(子宮内膜がん)の発症リスクはおもに、閉経前後から高まります。これは、月経ではがれ落ちるはずの子宮内膜にがんが発生するためです。女性特有の疾患の検査がパッケージになっている婦人科検診、基本的な人間ドックと婦人科検診がセットになっているレディースドックなども検討しましょう。
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子宮頸部細胞診 / 経腟超音波(エコー)検査 / HPV検査 マンモグラフィ / 乳腺超音波(エコー)検査 / DWIBS(ドゥイブス) / 胃内視鏡(胃カメラ)検査 / 胃がんリスク検査(ABC検査) / 大腸内視鏡(大腸カメラ)検査 / 喀痰検査(喀痰細胞診) / 胸部CT検査 / PET検査 / 婦人科検診 / レディースドック
男性におすすめのオプション検査の選び方(年代ごと)
男性の場合、40歳を過ぎたら定期的にオプション検査を含めた人間ドックを受けることをおすすめしますが、早期のうちに発症リスクを把握するのであれば、30代から気になる部位のオプション検査を受けてもいいでしょう。年代別の部位の選び方については以下を参考にしてください。
30代の男性におすすめのオプション検査
30代の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、胃・大腸などです。生活習慣の乱れを自覚している方は、動脈硬化を原因とする脳血管疾患や心臓病の発症リスクを調べるため、頭部(脳)や心臓の検査を検討するとよいでしょう。
- 胃の検査:胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)など
- 大腸の検査:大腸内視鏡(大腸カメラ)検査など
- 頭部(脳)の検査:脳ドック、頭部MRI/MRA検査、頸動脈超音波(エコー)検査など
- 心臓の検査:心臓ドック、心臓MRI検査、心臓超音波(エコー)検査など
2021年の統計によると、日本男性のがん死亡率が高いのは、30代前半後半ともに胃がんと大腸がんです*6。胃がんのオプション検査を受けたことがない方は、まずは胃がんリスク検査(ABC検査)を検討するとよいでしょう。胃がんリスク検査は、胃がんの原因となるピロリ菌の有無を調べる検査が含まれています。
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胃内視鏡(胃カメラ)検査 / 胃がんリスク検査(ABC検査) / 大腸内視鏡(大腸カメラ)検査 / 脳ドック / 頭部MRI/MRA検査 / 頸動脈超音波(エコー)検査 / 心臓ドック / 心臓超音波(エコー)検査
40代の男性におすすめのオプション検査
40代の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、肺・胃・大腸・膵臓・頭部(脳)・心臓などです。
- 肺の検査:喀痰検査(喀痰細胞診)、胸部CT検査など
- 胃の検査:胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)など
- 大腸の検査:大腸内視鏡(大腸カメラ)検査など
- 膵臓や肝臓の検査:腹部超音波(エコー)検査、上腹部MRI検査、上腹部CT検査など
- 頭部(脳)の検査:脳ドック、頭部MRI/MRA検査、頸動脈超音波(エコー)検査など
- 心臓の検査:心臓ドック、心臓MRI検査、心臓超音波(エコー)検査など
- その他全身がんスクリーニング検査:PET検査、DWIBS(ドゥイブス)など
がんによる40代男性の死亡率は、30代男性の項目で取り上げた胃がん、大腸がんに加え、肺がん、膵臓がん、肝臓がんが上昇してきます*6。40代は、若いころから続く生活習慣が影響を及ぼし始める世代です。上記から予算に応じて組み合わせることをおすすめします。
また、肥満体型の方、食生活の乱れの自覚がある方、運動習慣のない方は、動脈硬化が懸念されます。血管の疾患は自覚症状がなくても進行していくので、頭部(脳)や心臓の状態を観察できる検査を検討するとよいでしょう。
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50代以上の男性におすすめのオプション検査
50代以上の男性におすすめしたいオプション検査の部位は、肺・胃・大腸・膵臓・頭部(脳)・心臓・肝臓・前立腺などです。
- 肺の検査:喀痰検査(喀痰細胞診)、胸部CT検査など
- 胃の検査:胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)など
- 大腸の検査:大腸内視鏡(大腸カメラ)検査など
- 膵臓や肝臓の検査:腹部超音波(エコー)検査、上腹部MRI検査、上腹部CT検査など
- 頭部(脳)の検査:脳ドック、頭部MRI/MRA検査、頸動脈超音波(エコー)検査など
- 心臓の検査:心臓ドック、心臓MRI検査、心臓超音波(エコー)検査など
- 前立腺の検査:PSA検査など
- その他全身がんスクリーニング検査:PET検査、DWIBS(ドゥイブス)など
50代以上はがん全般のほか、脳卒中(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞など脳血管疾患の総称)や心臓病といった疾患の発症リスクが高まるため、定期的に検査を受けることが早期発見、予防につながります。脳ドックや心臓ドックも定期的に受診することをおすすめします。また、前立腺がんの発症リスクが高くなる年代なので、PSA検査も受けるようにしましょう。
全身がんスクリーニング検査を検討している場合、PET検査やDWIBS(ドゥイブス)などがあります。いずれの検査も全身すべての部位をすみずみまで調べられるわけではなく、下記記事の通り不得意な部位があります。他の検査で補いながら活用するとよいでしょう。
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喀痰検査(喀痰細胞診) / 胸部CT検査 胃内視鏡(胃カメラ)検査 / 胃がんリスク検査(ABC検査) / 大腸内視鏡(大腸カメラ)検査 / 腹部超音波(エコー)検査 / 上腹部MRI検査 / 上腹部CT検査 脳ドック / 頭部MRI/MRA検査 / 頸動脈超音波(エコー)検査 / 心臓ドック / 心臓超音波(エコー)検査 / PSA検査 / PET検査 / DWIBS(ドゥイブス)
遺伝リスクのある方(家族歴)
家族親族の誰かが特定の疾患にかかったことがあるといった遺伝リスクも、オプション検査を選ぶ上でのポイントのひとつです。家族に大腸がんにかかった方がいるなら大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を、肺がんにかかった方がいる場合は胸部CT検査を受けるなど、家族の既往歴(家族歴)に応じてカスタマイズしましょう。
遺伝リスクについてもっと知りたい方は、下記記事をご覧ください。
明確な症状ではないけれど、特定部位に不安がある方
頭痛が続く方は脳の検査、ときどき軽い腹痛が起こるといった方は胃や大腸の検査というように、気になる状態に合わせてオプション検査を選んでもかまいません。なんとなく気になる部位がある方は、予算に応じて検査を追加してもいいでしょう。オプション検査で病気の前兆が見つかることで、日々の飲酒量や喫煙量、食事内容などの生活習慣を見直すきっかけになります。なお、はっきりとした自覚症状がある方は、人間ドックやオプション検査ではなく、すみやかに診察を受けるようにしてください。
オプション検査にはどんな種類がある?
頭部のオプション検査
頭部のオプション検査としては、いわゆる「脳ドック」が一般的です。脳ドックでは、頭部MRI/MRA検査をメインに、脳血管疾患のリスク要因となる疾患の有無や状態を見つけることができます。頭部MRIによる脳の断層写真の撮影、頭部MRAによる血管像の描出、頸動脈超音波(エコー)検査、簡易認知機能検査などがあります。頸動脈超音波(エコー)検査は、脳梗塞の原因となる頸動脈の状態を調べる検査です。
【こんな方におすすめ】
・40歳以上の方
・生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)の方、あるいはそれらのリスクが高いと指摘されたことのある方
・心筋梗塞、狭心症の持病のある方
・脳血管疾患(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞など)の家族歴がある方
・喫煙や過度の飲酒習慣がある方
・頭痛が続いている方
【見つけられる疾患】
・脳血管疾患(くも膜下出血・脳出血・脳梗塞などの脳卒中、未破裂脳動脈瘤など)
・脳腫瘍
・認知症※認知機能に関する検査が含まれている場合
【価格帯】
約2~5万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約30分~3時間(施設や検査内容によって異なります)
若くても脳ドックを受けたほうがよいのか迷う方は、下記記事をご覧ください。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
脳ドック / 頭部MRI/MRA検査 / 頸動脈超音波(エコー)検査
心臓(循環器系)のオプション検査
心臓の疾患は突然死の引き金となるだけでなく、脳梗塞などの病気のリスク要因となります。はっきりした自覚症状がないまま進行することがあるため、早期発見が重要です。心臓のオプション検査には、心臓超音波(エコー)検査や心臓MRIといった画像検査、心電図検査、脂質代謝機能などの血液検査、血圧やBMI測定などのほか、心臓を取り囲む冠動脈や心臓そのものを調べる検査がパッケージになった心臓ドックがあります。
【こんな方におすすめ】
・50歳以上の方
・生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)の持病のある方
・肥満の方
・心臓病の家族歴がある方
・喫煙や過度の飲酒習慣がある方
・運動時に胸が痛む方、動悸がある方
【見つけられる疾患】
・狭心症
・心筋梗塞
・高血圧性心疾患
・心筋疾患
・心臓弁膜症
・不整脈
・動脈硬化など
【価格帯】
約1~5万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約2~3時間(施設や検査内容によって異なります)
心臓ドックについては、下記記事で詳しく解説しています。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
心臓超音波(エコー)検査 / 心臓ドック
乳房のオプション検査
乳房のオプション検査は、おもに乳がんの有無を調べるための検査です。マンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)検査、PEM検査(乳房専用PET)、DWIBS(ドゥイブス)などが該当します。DWIBSは乳房を挟まず着衣のまま受けられるため、痛くない・恥ずかしくない検査として近年注目されています。厚生労働省の指針では乳がん検診対象者が40歳以上の女性とされていますが*9、近年乳がん罹患率は20代後半から増え始める傾向にあるため*3、乳房の検査は年齢を問わず受診することをおすすめします。
【こんな方におすすめ】
・女性(乳がん検診は40歳以上が対象となっているが、若い方の発症例もあるので年齢を問わず)
・出産経験のない方
・授乳経験のない方
・肥満ぎみの方
・乳がんの家族歴がある方
・飲酒習慣がある方
・胸にしこりのようなものがある方
【見つけられる疾患】
・乳がん
・乳腺症
・乳腺のう胞など
【価格帯】
約1~5万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約15~30分(施設や検査内容によって異なります)
マンモグラフィでの乳房の圧迫、従来の乳がんの検査時における脱衣がどうしても気になる方は、DWIBSを検討するとよいでしょう。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
マンモグラフィ / 乳腺超音波(エコー)検査 / DWIBS(ドゥイブス)
肺(呼吸器系)のオプション検査
呼吸器系疾患のオプション検査は、おもに肺がんの早期発見を目的にしています。肺がん検診や一部の健康診断、人間ドックの基本検査に含まれている胸部X線(レントゲン)検査では、心臓・肝臓・大血管の陰に隠れた部分にできたがんを見つけるのが難しい場合があるため、胸部CT検査、喀痰検査(喀痰細胞診)、腫瘍マーカー検査、肺機能検査などの複数の検査を組み合わせて調べていきます。
【こんな方におすすめ】
・喫煙者の方(とくに喫煙歴が長い方)
・同居者にヘビースモーカーがいる方
・呼吸器系がんの家族歴がある方
・咳や痰、動悸、胸痛などの症状が気になっている方
・50歳以上の方
【見つけられる疾患】
・肺がん
・慢性閉塞性肺疾患(COPD)
・肺気腫
・肺炎・気管支炎など
【価格帯】
約1~2万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約1時間(施設や検査内容によって異なります)
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
肺がん検診 / 胸部X線(レントゲン)検査 / 胸部CT検査 / 喀痰検査(喀痰細胞診) / 肺機能検査
肝臓・腎臓のオプション検査
肝臓・腎臓のオプション検査には、腹部超音波(エコー)検査、上腹部の断層写真を撮影する上腹部MRI検査や上腹部CT検査、腫瘍マーカーなどが挙げられます。一般的な健康診断や人間ドックの基本検査項目に含まれている尿検査や血液検査と組み合わせることで、肝臓がん・膵臓がんの発見にもつながります。医療施設によっては、肝臓と関わる胆のうや胆管、膵臓を調べることもあります。
【こんな方におすすめ】
・過度の飲酒習慣がある方
・喫煙習慣がある方
・生活習慣病(糖尿病・高血圧・高脂血症)の持病のある方
・肥満の方
・肝炎の既往歴がある方
・肝臓病や腎臓病の家族歴がある方
【見つけられる疾患】
・肝臓がん
・肝硬変
・肝炎
・腎細胞がんなどの腎臓病
・膵臓がん
・胆石
・膀胱結石など
【価格帯】
約1~3万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約30分~1時間(施設や検査内容によって異なります)
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腹部超音波(エコー)検査 / 上腹部MRI検査 / 上腹部CT検査
胃のオプション検査
胃のオプション検査には胃内視鏡(胃カメラ)検査や胃がんリスク検査(ABC検査)があります。胃内視鏡(胃カメラ)検査では、胃の疾患(おもに胃がん・食道がん・胃ポリープ)の早期発見を目指します。医療施設によっては、追加料金を支払うことで、人間ドックの基本検査項目に含まれている胃部X線(バリウム)検査を胃内視鏡(胃カメラ)検査に変更できることがあります。胃がんリスク検査(ABC検査)はピロリ菌検査とペプシノゲン検査を組み合わせた血液検査です。胃がんや十二指腸潰瘍の将来的な発症リスクを調べることができます。
【こんな方におすすめ】
・過度の飲酒習慣がある方
・食生活が不規則な方
・胃に違和感・不快感のある方
・消化器系のがんの家族歴がある方
・40歳以上でまだ胃の検査を受けたことがない方
【見つけられる疾患】
・胃がん
・食道がん
・食道炎
・胃ポリープ
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍など
【価格帯】
約1~4万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約10分~2時間(施設や検査内容によって異なります)
ピロリ菌の感染は胃がんの発症リスクを高めます*10。胃がんリスク検査(ABC検査)についてさらに詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
胃内視鏡(胃カメラ)検査 / 胃がんリスク検査(ABC検査) / 胃部X線(バリウム)検査
大腸のオプション検査
大腸のオプション検査には、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査や大腸CT検査などがあります。直接大腸内を調べて、おもに大腸がんの早期発見を目指すオプション検査です。大腸がん検診や一般的な健康診断、人間ドックの基本検査項目に含まれている大腸の検査は便潜血検査です。便潜血検査で陽性となった場合、精密検査として大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を受けることになります。
【こんな方におすすめ】
・過度の飲酒習慣がある方
・下痢や便秘を繰り返している方
・腹痛や腹部膨満感が気になっている方
・慢性的な痔がある、痔のような症状がある方
・消化器系のがんの家族歴がある方
・40歳以上でまだ大腸の検査を受けたことがない方
・血便を認められる方
【見つけられる疾患】
大腸がん、大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎など
【価格帯】
約2~3万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約30分~1時間(施設や検査内容によって異なります)
大腸内視鏡検査についてもっと詳しく知りたい方は、下記記事をご覧ください。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
大腸内視鏡(大腸カメラ)検査
子宮・卵巣のオプション検査
女性特有の疾患を発見するために受けておきたいのが、子宮頸部細胞診(子宮頸部から細胞を採取し、子宮頸がんを調べる検査)、経腟超音波(エコー)検査(子宮筋腫・卵巣嚢腫などの有無を見る検査)、HPV検査(子宮頸部の細胞を採取し、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルスに感染しているかを調べる検査)などです。50代以降は子宮体部細胞診の追加も検討してみましょう。医療施設によっては、これらの検査がセットになった婦人科検診を用意していることもあります。
【こんな方におすすめ】
・すべての年代の成人女性
・生理不順の方
・不正出血・月経困難・下腹部痛などがある方
・婦人科系のがんの家族歴がある方
【見つけられる疾患】
・子宮頸がん
・子宮体がん
・卵巣嚢腫
・卵巣がん
・子宮筋腫
・子宮内膜症など
【価格帯】
約5,000~2万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約10~15分
女性特有の疾患に関する検査をまとめて受けられる婦人科検診については、下記記事で詳しく解説しています。
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子宮頸部細胞診 / 経腟超音波(エコー)検査 / HPV検査 / 婦人科検診
前立腺のオプション検査
前立腺がんは男性の部位別がん罹患数の1位です*8。前立腺がんのオプション検査の筆頭はPSA検査という腫瘍マーカーです。PSA検査を主体とした前立腺がん検診について、日本泌尿器科学会は、自治体が行うがん検診では50歳以上、人間ドックでは40歳以上の男性への実施を推奨しています*11。厚生労働省の指針では、自治体が実施するがん検診に前立腺がん検診は含まれていません。しかし、国立がん研究センターによると、前立腺がん検診は全国で8割程度の自治体で実施されています*12。また、多くの健康保険組合の健康診断において、50歳以上の男性を対象にもともと組み込まれているか、オプション検査として用意されています。
【こんな方におすすめ】
・40歳以上の男性
・下腹部の圧迫感や頻尿が気になっている方
・尿が出にくいと感じる方
・ヘビースモーカー
・飲酒習慣がある方
・前立腺がんの家族歴がある方
【見つけられる疾患】
・前立腺がん
・前立腺肥大症など
【価格帯】
約3,000~2万円(施設や検査内容によって異なります)
【検査時間】
約30分
PSA検査は採血で測定できるため簡便で、精度が高いことで知られています。下記記事でさらに詳しく知ることができます。
また、腫瘍マーカーの種類とその解説、なかでもPSA検査の有用性が高いとされている点については、下記記事にまとめています。
★登場した検査を実施している医療施設を見てみる
PSA検査
参考資料
*1.日本人間ドック学会 基本検査項目/判定区分
*2.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 子宮頸部
*3.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 乳房
*4.厚生労働省「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針(令和3年10月1日一部改正)」
*5.乳がん検診の適切な情報提供に関する研究「乳房を意識する生活習慣 ブレスト・アウェアネス(令和2年度 厚生労働科学研究費補助金<がん対策推進総合研究事業>)」
*6.がん研究振興財団「がんの統計2023」2023年3月
*7.日本骨粗鬆症学会等「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン 2015年版」
*8.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 最新がん統計
*9.厚生労働省 がん検診
*10.国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト 多目的コホート研究 ヘリコバクター・ピロリ菌感染と胃がん罹患との関係:CagAおよびペプシノーゲンとの組み合わせによるリスク
*11.日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン 2018年版」
*12.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 がん検診に関する統計データのダウンロード