人間ドック

レディースドックとは? 費用や検査内容、おすすめの施設の選び方も解説

人間ドック
上昌広
こちらの記事の監修医師

東京大学医学部卒医学博士。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)

全身のくわしい健康状態とあわせ、女性特有の疾患(乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がん等)をしっかり調べたいと考えている30代後半以上の女性には、レディースドックがおすすめです。

この記事では自分に合うレディースドックのプランが知りたい女性に向けて、レディースドックの検査内容、費用相場、検査の流れについて解説します。年代別に優先して受けたい検査や医療施設を選ぶポイントもまとめているので、レディースドックをこれから受ける方は参考にしてください。

★こんな人に読んでほしい!
・30代後半以上の女性
・年齢に関わらず、婦人科系疾患のリスクを指摘されたことがある女性
・レディースドックが受けられる医療施設の選び方を知りたい女性

★この記事のポイント
・レディースドックとは、女性特有のがんをカバーした人間ドックの総称。検査内容は人間ドックの基本プラン+婦人科検診(乳がんや子宮頸がんの検査)が設定されていることが多い
・女性特有のがんは他のがんに比べて比較的若い年代から発症するリスクが高い
・レディースドックの費用相場は4万〜8万円程度
・マンモグラフィでがんが見えにくい20〜30代の女性は乳腺エコー検査が適している。30代後半以降はマンモグラフィと併用するのがおすすめ。マンモグラフィが苦手な方には乳腺MRI検査という選択肢もある
・生理中(月経期間中)や妊娠の可能性がある場合は検査が中止になることもあるため、事前に医療施設に連絡を

レディースドックとは? 検査の必要性

レディースドックとは女性特有のがんをカバーした人間ドック

レディースドックとは、人間ドックの基本プランに女性特有のがんを調べるための検査を組み合わせた人間ドックのプランのことです。女性特有のがんには乳がん、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんがありますが、おもに乳がんと子宮頸がんを対象としたレディースドックのプランを設定している医療施設が多いです。費用相場については、のちほどくわしく解説します。

また、レディースドックは婦人科検診とは異なるものです。婦人科検診とは乳がん検診+子宮がん検診のみのプランで、人間ドックの基本プランは原則含まれていません

女性特有のがんは20代や30代の若い年代から発症リスクが高まる

高齢化の影響により、がんになる方とがんで死亡する方の数は一貫して増加しています*1。がんによる死亡率がもっとも高い年代は男性では65~69歳、女性では55歳~59歳です*2

注意したい点としては、女性特有のがんはさらに若い年代から発症リスクが高まるということです。乳がんは30代後半から急速に発症リスクが高まります。国立がん研究センターの統計データによれば、乳がんは女性の罹患数トップで、40代前半から50代女性にもっとも多いがんです*3女性の9人に1人は生涯で乳がんになる確率があるとされています*3。また、20代女性にもっとも多いがんは子宮頸がんで、子宮がん(子宮頸がん+子宮体がん)になる方の数も年々増加しています*4,*5

女性特有のがんは早期では自覚症状がないまま進行することが多いため、検査を受けなければ発見が難しいです。発見が遅れてしまうとほかの臓器に転移するリスクが上がることに加えて、治療の選択肢が限られてきてしまうため、場合によっては乳房をすべて切除しなくてはいけなかったり、妊娠をするのが困難になってしまったりすることもあります。子育てや仕事などで忙しい世代の女性こそ、定期的に検査を受けて早期発見、早期治療をすることが非常に重要です。

自治体のがん検診や企業健診は安価だが制限が多い

2021年5月現在、乳がん検診、子宮頸がん検診は厚生労働省によって下記の表の通り指針が定められており、各自治体はこの指針に基づいてがん検診を実施しています*6

検診部位検診方法対象年齢受診間隔
乳がん問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)40歳以上2年に1回
子宮頸がん問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診20歳以上2年に1回

上記はあくまで指針であるため、対象年齢や検査内容などは自治体によって変わる場合があります。なかには子宮体がんの細胞診、乳がんのための乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)、卵巣がんなどのための経腟エコー検査(経腟超音波検査)などを実施している自治体もあります。くわしい検診内容については、各自治体のWebサイトで確認をしてみてください。企業健診については、勤務先や提携している健康保険協会などに確認してください。

自治体のがん検診や企業健診を利用する最大のメリットは、比較的安価という点です。一方で、以下のような制限があることも知っておきましょう。

  • 受けられる検査の種類が限られる(例:乳腺エコー検査や経膣エコー検査は受けられないもしくは自費での受診)
  • 受けられる年齢や頻度に制限がある(例:40歳以上の女性、2年に1回のみ)
  • 集団の死亡率を下げることを目的としているため、個人の発症リスクは考慮されていない(例:乳がんの家族歴がある場合や遺伝性乳がん卵巣がん症候群の場合は通常より若い年齢から乳がんの発症リスクが高くなるが、自治体のがん検診などでは原則40歳未満は対象外)
  • 受けられる医療施設が自治体(もしくは企業)の提携施設に限られる

このように自治体のがん検診は有効ではありますが、制限も多く存在しています。自分の発症リスクにあった検査を希望している方や、がん検診の対象年齢に満たないけれど女性特有のがんを含む全身の健康チェックを行いたい女性にはレディースドックがおすすめです。

レディースドックでわかる病気

レディースドックでわかる病気とそれぞれの病気のおおまかな特徴は以下の通りです。

【おもな悪性の病気】

病気の種類特徴と発症リスクおもな検査
乳がん40代前半から50代の女性にもっとも多いがん*3。サイズが大きくなるとしこりや血が混ざった分泌物、赤みなどを自覚することがあるが、早期は無症状のことが多い。乳がんの家族歴がある場合は発症リスクが上がるマンモグラフィ
、乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)、乳腺MRI検査
子宮頸がん性行為によってHPV(ヒトパピローマウイルス)に持続感染することで発生することが多く、20〜29歳の女性でもっとも多いがん*4。早期では無症状。早期がんや前がん病変で発見できれば子宮を温存できる可能性が高い子宮頸部細胞診、経膣エコー検査、HPV検査、骨盤MRI検査
子宮体がん40歳代後半から発症が増え、閉経を迎える50歳代から60歳代で発症率がもっとも高い*7。早期から不正出血が起こるため、女性特有のがんのなかでは比較的自覚症状が現れやすい子宮体部細胞診(子宮内膜細胞診)、経膣エコー検査、骨盤MRI検査
卵巣がん40歳代から発症が増加し、50〜60歳代にピークを迎える*5。子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群は卵巣がんのリスク因子となる。痛みや不正出血はなく、無症状で進行することが多い経膣エコー検査、骨盤MRI検査

また、悪性ではなくても月経痛や過多出血、貧血を起こす原因になるような病気や、将来の妊娠、出産に影響を与える可能性がある病気もあります。このような病気もレディースドックであれば早期発見できることが多いです。

【治療が必要となる良性の病気】

病気の種類特徴おもな検査
子宮筋腫子宮の筋層から発生する良性の腫瘤で、悪性になることはない。サイズが大きくなると月経量の増加、貧血、腹部内の圧迫、腰痛といった症状があるため、外科手術で取り除く場合がある経膣エコー検査(経腟超音波検査)、骨盤MRI検査
子宮内膜症子宮体部の内部を覆う子宮内膜が、子宮外で増殖する病気。卵巣、子宮筋層、腹膜など発生する場所によって月経痛の悪化や、不妊の原因になる場合がある経膣エコー検査、骨盤MRI検査
卵巣嚢腫妊娠・出産の経験が少ない、排卵誘発剤の使用頻度が高い、早い初経また遅い閉経など通常より多い排卵の回数がリスク因子となる。20代〜30代の若年者に多く、無症状であることが多い経膣エコー検査、骨盤MRI検査

レディースドックの費用は4万〜8万円で、医療施設によって異なる

一般的なレディースドックの費用相場は、4万〜8万円程度です。一般的な人間ドックの検査と同じように、レディースドックの検査項目や検査方法が医療施設、プランによって異なるため、金額も異なります。

レディースドックの検査項目

レディースドックで受けられる検査は医療施設によって異なりますが、代表的な検査は以下の通りです。

  • マンモグラフィ
  • 乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)
  • 乳腺MRI検査
  • 子宮頸部細胞診
  • 子宮内膜細胞診
  • 経腟エコー検査(経腟超音波検査)
  • 骨盤MRI検査

この項ではそれぞれの検査の特徴や検査時間、注意点について解説します。

乳がんのリスクを調べる検査

マンモグラフィ

マンモグラフィ画像

【検査の特徴】
X線を利用して乳がんを調べる検査です。乳房を専用の装置で押し広げて撮影します。そのため、生理前など胸が張っている時期は痛みが強くなることもあります。がんの初期症状として現れる微小石灰化を写し出します。原則40歳以上の女性におすすめです。若年女性は、高濃度乳腺(デンスブレスト)といって画像で乳腺が白く濃く写ってしまいがんが見つかりにくいです。ただし、40代でも約4割は高濃度乳腺という統計データもあります*8。高濃度乳腺というだけでがんを心配する必要はありませんが、定期的に検査を受けたり、ほかの画像検査と併用して受けたりして見落としのリスクを下げることが大切です。

【検査時間】
10分(乳房をはさむ時間は各10秒程度)

【注意点】
被爆をともなうため、妊娠中は検査を受けられません。また、豊胸手術やペースメーカーなどを胸に埋め込む手術をしている方や授乳中の方は検査を受けられないことがあります。

乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)

【検査の特徴】
超音波を利用して乳がんを調べる検査です。マンモグラフィとは異なり被曝の心配がないので、妊娠中でも受けることができます。ベッドに横になって胸にゼリーを塗って専用の装置をあてて検査します。マンモグラフィでは写らない小さなしこりを見つけることができます。ただし、微小石灰化は確認ができないことが多いです。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
とくになし

乳腺MRI検査

【検査の特徴】
電磁波を利用して乳がんを調べる検査です。マンモグラフィとは異なり被曝の心配はありません。おもにうつ伏せの体勢で検査を行い、造影剤という薬剤を注射する場合もあります。しこりの形状だけでなく、悪性度も画像で評価することができます。通常は精密検査に用いられます。

【検査時間】
30分程度

【注意点】
検査中は騒音がするため耳栓やヘッドフォンを使用します。その他、下記に当てはまる方は受けられない場合があります。

  • 閉所恐怖症
  • 体内金属がある(例:ペースメーカー、人工関節)
  • 検査中の体勢保持が難しい
  • 造影剤アレルギーがある

日本ではあまりなじみのない乳腺MRI検査ですが、欧米では乳がんの家族歴があるような乳がん発症のハイリスク群に対して、スクリーニングとして乳腺MRI検査を実施することが推奨されています*9。乳腺MRI検査は被曝の心配がなく、高濃度乳房の影響も受けにくい検査です。また近年は造影剤を使用せずに、MRI画像の一種であるDWI(ディフュージョン)という画像を用いて乳がんを調べる方法が注目されています。乳腺MRI検査を検診目的で受ける場合は、人間ドックもしくはレディースドックを利用しましょう。

子宮がん、卵巣がんのリスクを調べる検査

子宮頸部細胞診

子宮頸部細胞診

【検査の特徴】
子宮頸がんを調べる検査です。子宮の入口の細胞をブラシ状の小さな器具でこすり、採取した細胞のなかに異常なものがないかどうかを顕微鏡で調べます。痛みはほとんどありません。

【検査時間】
2~3分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)は検査を受けることができません。正確な診断をするために、検査前3日間は膣内の洗浄や膣剤の利用を控えてください。出血のリスクがあるため、検査後1週間程度は性交渉を控えましょう。検査後当日の激しい運動や入浴も控えたほうがよいです。

子宮体部細胞診(子宮内膜細胞診)

【検査の特徴】
子宮体がんを調べる検査です。膣の奥にある子宮体部(子宮内膜)の細胞をブラシなどでこすり、採取した細胞のなかに異常なものがないかどうかを顕微鏡で調べます。検査中は痛みを感じたり、わずかに出血をしたりする場合がありますが、出血は数日以内におさまります。自治体などの一般的な「子宮がん検診」は子宮頸がんを対象にした子宮頸部細胞診のみで、子宮体部細胞診は含まれていません。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)や妊娠の可能性がある方は受けることができません。可能性は非常に低いですが、子宮穿孔のリスクがあり医師の技量が必要な検査です。また、感染のリスクもあります。微量の出血をともなう検査のため、抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は検査を受けられません。

経腟エコー検査(経腟超音波検査)

【検査の特徴】
子宮体がんや卵巣がんを調べる検査です。親指程度の大きさのプローブ(探触子)を膣内に挿入し、超音波をあてることで子宮内や卵巣を観察します。ほかに、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などを観察することができます。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)は検査を受けることができません。

骨盤MRI検査

【検査の特徴】
電磁波を利用して骨盤内にある骨盤部にある膀胱、膣、子宮、卵巣などの大きさや形状の観察をします。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをまとめて調べることができる検査です。その他、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫なども観察することができます。

【検査時間】
20分程度

【注意点】
検査中は騒音がするため耳栓やヘッドフォンを使用します。その他、下記に当てはまる方は受けられない場合があります。

  • 閉所恐怖症
  • 体内金属がある(例:ペースメーカー、人工関節)
  • 検査中の体勢保持が難しい

その他、補助的な検査として子宮頸がんの発症リスクを評価するHPV(ヒトパピローマウイルス)検査や、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がんに反応する腫瘍マーカーCA125を調べるために採血検査をする場合などもあります。

年代別受けておきたい検査項目

年代ごとに受けておきたい検査を一覧表にまとめました。ご自身の年齢にあった検査を選ぶ目安としてお考えください。

20代30代40代50代
マンモグラフィ○(30代前半は△の場合もある)
乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)
子宮頸部細胞診
子宮体部細胞診○(閉経前後から要注意)

マンモグラフィでがんが見えにくい20〜30代の女性は乳腺エコー検査がおすすめです。30歳後半を過ぎたらマンモグラフィと一緒に受けるとさらに安心です。マンモグラフィが苦手な方や、以前に検診で引っかかったことがあり心配な方は乳腺MRI検査を検討してみるのもよいです。子宮と卵巣を合わせて検査したいけれど内診に抵抗があるという女性は骨盤MRIでまず検査を受けてみて、異常が指摘されたら内診を受けるという方法もおすすめです。

レディースドックの流れ

レディースドックを予約してから結果説明を受けるまでのおおよその流れをご紹介します。なお、検査項目や流れは医療施設によって異なるためあくまで目安としてお考えください。

  1. 予約

希望する医療施設を決めたら、レディースドックのプランに自分が受けたい検査項目が含まれていることを確認しましょう。パソコンまたは電話で予約をすることができます。

  1. 事前準備と問診票の記入

予約が完了すると、事前に便潜血検査(検便)などの検査キットや問診票が郵送されるため、当日までに準備しておきます。当日に生理が重なってしまいそうなときや気になっていること(例:女性医師が対応してくれるか)があるときは事前に医療施設に伝えておきましょう。

  1. 来院、着替え

検査当日は指定された時間までに予約した医療施設に到着するようにしましょう。受付を済ませたら用意しておいた検査キットや問診票などを提出し、更衣室で検査着に着替えます。検査着がない場合もあるので、着脱しやすい下着や服装で来院するのがおすすめです。

  1. 診察・各種検査

医療施設の案内にしたがって各種検査を受けていきます。検査プランによって変わりますが、腹囲計測、身長体重測定、聴力検査、心電図検査、眼底検査、肺機能検査といった基本的な検査を受けてから、女性特有の疾患に関する検査(マンモグラフィ、乳腺エコー検査など)と診察(内診)を受けて、最後にバリウム検査(胃X線検査)、胃カメラ(胃部内視鏡検査)などが行われることが多いです(検査順は医療施設によって異なります)。

  1. 着替えて医師との面談(結果は後日郵送の場合も)

すべての検査が終了したら着替えをします。検査結果は当日に簡易的な説明をするところもありますが、専門の医師が画像をチェックするため、くわしい結果は後日郵送されることが多いです。診断結果で精密検査が必要な項目があれば、医療機関に紹介状を出してもらい医療機関を受診することになります。

検査項目数にもよりますが、レディースドックは午前中にスタートしてお昼前後に終わるプランが多く、トータルでかかる時間は1時間半〜3時間前後です。医療施設によっては受診後にマッサージや軽食が用意されていたり、近隣のレストランで使える食事券がプレゼントされたりするプランもあります。

医療施設を選ぶ5つのチェックポイント

受けたい検査項目に対応しているかどうか

まずは、自分が受けたい検査項目に対応している医療施設かどうかを確認しましょう。レディースドックのプランを用意している医療施設の多くでは、マンモグラフィ、乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)、子宮頸部細胞診を受けられる場合が多いです。しかし、乳腺MRI検査や骨盤MRI検査、経膣エコー検査(経腟超音波検査)、子宮体部細胞診(子宮内膜細胞診)など専門的な機械や技術を要する検査はすべての医療施設で行われているわけではありません。

また、一般的な「子宮がん検診」はおもに子宮頸部細胞診を指すため、子宮体がんの検査を受けたい場合は子宮体部細胞診もしくは経膣エコー検査が含まれていることを確認しましょう。

専門医・認定技師・知識が豊富なスタッフがいるかどうか

知識や経験が豊富な医師やスタッフがいるかどうかを知る目安として、下記のような資格があります。

乳腺専門医
日本乳癌学会が認める研修施設にて研修を受け、一定以上の乳がん患者を治療した経験や論文発表の実績を持つことが条件とされ、さらに専門試験に合格した医師のみが名乗ることができる。

検診マンモグラフィ読影認定医、マンモグラフィ撮影認定技師
日本乳がん検診精度管理中央機構が主催した講習会に出席をして、専門試験に合格した場合にのみ与えられる資格。試験評価はA、B、C、Dの4段階にランク分けされ、AおよびBの人が検診マンモグラフィ読影認定医もしくはマンモグラフィ撮影認定技師と認定される。5年ごとに更新試験を受ける必要がある。

超音波検査士
日本超音波医学会が実施する専門的な試験に合格した検査技師のみが名乗ることができる。体表臓器(乳腺含む)、循環器、消化器、産婦人科、健診、血管の6つの領域に分かれている。

いずれも専門的な試験を受けて名乗ることができる資格のため、これらの資格を持っている医師やスタッフが在籍している医療施設はレディースドックに力を入れている目安になるといえます。

最新の医療機器が導入されているかどうか

自治体や企業の集団検診などでは古い装置、すなわち画質があまりよくない装置が使われていることも珍しくありません。レディースドックはご自身の希望で医療施設を選ぶことができるため、最新の医療機器が導入されている医療施設を選ぶことも可能です。

乳腺の検査を例に挙げると、最新機器である3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)や3D乳腺エコー(ABUS)装置などを導入する医療施設が増えてきています。3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)とは乳房の断層像を作成できる技術を利用した装置です。従来のマンモグラフィがレントゲン(2D写真)のようなイメージだとすると、新しい撮影法はCT検査のようにさまざまな角度や断面から乳房内を検査することができるため、より多くのがんを発見できるといわれています。また、3D乳腺エコー(ABUS)装置は胸に専用の装置を押し当てるだけで自動的に3D超音波画像を取得してくれるため、検査時間も短く技師間の技術差が出にくいという特徴を持っています。

女性に配慮した工夫がされているかどうか

女性特有の病気を調べる検査は、女性にとって羞恥心や不安を感じやすい検査といえます。近年は女性に配慮した医療施設が増えてきており、例としては以下のような取り組みをしていることがあります。

  • 女性専用のフロアや待合室がある
  • すべて女性の医師や技師、スタッフが対応している
  • キッズルームや託児所がある
  • レディースデーの設定
  • パウダールーム完備

検査着のまま安心して待機できる配慮がされていたり、女性スタッフが対応していたりすることは、検査へのストレスを和らげてくれます。検査を受けることに抵抗がある方は、上記のような取り組みをしている医療施設を選ぶのがおすすめです。また、託児所の利用には事前予約が必要な場合があるため、医療施設へ問い合わせをしてみてください。

定期的に受診しやすい場所にあるかどうか

レディースドックは定期的に受診しやすい場所にあることが重要です。これは、同じ医療施設で定期的に受診をすることで、経時的な評価ができるというメリットがあるからです。たとえば、マンモグラフィや乳腺エコー検査(乳腺超音波検査)で異常があったときに、サイズや形が前回の検査と比較して大きくなっているかどうかがわかれば悪性の可能性をより正確に評価できるようになります。また、以前の検査記録を参考にできるため、見落としを防げるというメリットもあります。したがって、自宅や勤務先などから近い場所にある医療施設を選択するのがおすすめです。

参考資料
*1. 厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
*2. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」がん統計の年次推移(2017年)
*3. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」最新がん統計
*4. 国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」小児AYAがんのがん種の内訳(2009-2011年)
*5. がん研究振興財団「がんの統計 ’19」
*6. 国立がん研究センター「全国がん検診実施状況データブック2019」p.14
*7. 日本対がん協会 子宮がんの知識
*8. 日本乳癌検診学会「対策型乳癌検診における『高濃度乳房』問題の対応に対する提言」(2017年)
*9. Martha B Mainiero ‘ACR Appropriateness Criteria Breast Cancer Screening’ 2016

本サイトの情報は、病気や予防医療への理解・知識を深めるためのものであり、特定の医学的見解を支持するものではありません。自覚症状のある方は、すみやかに診察を受けてください。また、本サイト上の情報に関して発生した損害等に関して、一切の責任を負いかねます。
タイトルとURLをコピーしました