人間ドック

レディースドックとは? 費用や検査内容、おすすめの施設の選び方も解説

人間ドック
上昌広
こちらの記事の監修医師

東京大学医学部卒医学博士。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 研究員

山本 佳奈(やまもと かな)

全身の詳しい健康状態とあわせ、女性特有の疾患(乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん等)をしっかり調べたいと考えている30代後半以上の女性には、レディースドックがおすすめです。

この記事では自分に合うレディースドックのプランが知りたい女性に向けて、レディースドックの検査内容、費用相場、検査の流れについて解説します。年代別に優先して受けたい検査や医療施設を選ぶポイントもまとめているので、レディースドックをこれから受ける方は参考にしてください。

★こんな人に読んでほしい!
・30代後半以上の女性
・年齢に関わらず、婦人科系疾患のリスクを指摘されたことがある女性
・レディースドックが受けられる医療施設の選び方を知りたい女性

★この記事のポイント
・レディースドックとは、女性特有のがんをカバーした人間ドックの総称。検査内容は人間ドックの基本プラン+婦人科検診(乳がんや子宮頸がんの検査)が設定されていることが多い
・女性特有のがんは他のがんに比べて比較的若い年代から発症するリスクが高い
・レディースドックの費用相場は3.5~6万円程度
・マンモグラフィでがんが見えにくい20〜30代の女性は乳腺エコー検査が適している。30代後半以降はマンモグラフィと併用するのがおすすめ。マンモグラフィが苦手な方には乳腺MRI検査という選択肢もある
・生理中(月経期間中)や妊娠の可能性がある場合は検査が中止になることもあるため、事前に医療施設に連絡を

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レディースドックとは? 検査の必要性

レディースドックと人間ドックの違いは?

レディースドックとは、人間ドックの基本的な検査項目※に加え、女性特有のがんを調べる検査を組み合わせた人間ドックのプラン(コース)のことです。

※人間ドックの基本的な検査項目:本稿では日本人間ドック・予防医療学会が定める「一日ドック基本検査項目」を基本的な検査項目とする*1

女性特有のがんには、乳がん・子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がんがあります。人間ドックの基本的な検査項目にはこれらの女性特有のがんの検査は含まれておらず、オプションとして追加する場合が一般的です。

レディースドックでは、人間ドックの基本的な検査項目に、女性特有のがんのうち乳がんの検査、子宮頸がんの検査があらかじめ組み込まれていることが多いです。費用は3.5~6万円程度が目安です。詳しくは後述します。

なお、レディースドックは婦人科検診とも異なります。婦人科検診は「乳がん検診+子宮がん検診」など、女性特有の疾患のみを組み合わせた検診のことを指すケースが多く、人間ドックの基本的な検査項目は原則含まれていません。

人間ドックの基本的な検査項目や、レディースドックや脳ドックといった専門ドックとの違いは下記で詳しく解説しています。

人間ドックで受けられるオプション検査については下記をご覧ください。

女性特有のがんは、20代や30代の若い年代から発症リスクが高まる

がんの多くは高齢になるほど罹患リスクが高まりますが*2女性特有のがんは20〜30代の若い年代でも発症することがあります。

日本人女性がかかるがんの1位である乳がんは、30代から罹患率が増え始め、40代後半で最初のピークを迎えます*3,*4。また、子宮頸がんの罹患率は20代後半から大きく上昇し、30代後半から50代にかけて高値を推移します*5

女性特有のがんも他のがんと同様に、自覚症状がないまま進行していくことが多いです。しかし、早期に発見できれば、乳房や子宮を切除することなく治療できる確率が高まります。子育てや仕事などで忙しい世代の女性こそ定期的に検査を受けて、早期発見・早期治療へとつなげることが非常に重要です。

自治体のがん検診や企業健診は、安価だが制限が多い

女性特有のがんのうち、乳がん検診、子宮頸がん検診は厚生労働省によって下記の表の通り指針が定められており、各自治体はこの指針に基づいてがん検診を実施しています*6。なお、子宮頸がん検診は2024年4月より、厚生労働省の要件を満たす一部の自治体に限りHPV検査単独法を選択できるようになりました。

検診部位検診方法対象年齢受診間隔
乳がん問診および乳房エックス線検査(マンモグラフィ)40歳以上2年に1回
子宮頸がん問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診20歳以上2年に1回
問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診30歳以上2年に1回
問診、視診およびHPV検査単独法
※実施体制が整った自治体で選択可能
5年に1回
※リスクが高い方は
1年後に受診

上記はあくまで指針であるため、対象年齢や検査内容などは自治体によって異なる場合があります。自治体によっては上記以外に、乳腺超音波(エコー)検査、子宮体部細胞診、経腟超音波(エコー)検査などを実施している場合もありますので、お住まいの自治体のWebサイトで確認をしてみてください。また、会社員の方は企業健診(会社が実施する定期健康診断等)のオプションなどで、女性特有のがんの検査を受けられることがあります。勤務先や加入している健康保険組合などに確認してください。

自治体のがん検診や企業健診を利用するメリットは、比較的安価であることです。一方で、以下のような制限があることも知っておきましょう。

  • 受けられる検査の種類が限られる(例:乳腺エコー検査や経膣エコー検査は受けられないもしくは自費での受診)
  • 受けられる年齢や頻度に制限がある(例:40歳以上の女性、2年に1回のみ)
  • 集団の死亡率を下げることを目的としているため、個人の発症リスクは考慮されていない(例:乳がんにかかったことがある血縁者がいるなど、通常より若い年齢での発症リスクが高くても、自治体の検診などでは40歳以降でないと乳がん検診が受けられない)
  • 受けられる医療施設が自治体(もしくは企業)の提携施設に限られる

自治体のがん検診は、大勢の人の中からがんの疑いがある人を拾い上げる手段として有用です。しかし、個人の発症リスクにあった検査を希望している方、がん検診の対象年齢に満たないけれど検査をしておきたい方、検査を一度にすませたい方などは、女性特有のがんや病気も含め全身の状態を総合的に確認できるレディースドックがおすすめです。

マンモグラフィについては下記記事で解説しています。

レディースドックでわかる病気

レディースドックでわかる病気とそれぞれの病気のおおまかな特徴は以下の通りです。

おもな悪性の病気

病気の種類特徴と発症リスクおもな検査
乳がん・日本人女性(全年齢)では罹患率が最も高い*3
・早期は無症状のことが多いが、サイズが大きくなると
しこりや血が混ざった分泌物、赤みなどを自覚する
ことがある
・乳がんにかかった血縁者がいる場合は発症リスクが
高まる
・マンモグラフィ
・乳腺エコー検査
・乳腺MRI検査
・無痛MRI乳がん検診
など
子宮頸がん・20〜30代女性では罹患数が最も多い*7
・おもな原因は性行為によるHPVの持続感染
・早期では無症状。がんになる前の段階や早期がんで
発見できれば子宮を温存できる可能性が高口なる
・子宮頸部細胞診
・経膣エコー検査
・HPV検査
・骨盤MRI検査
など
子宮体がん・40代から増え始め50代で最も多くなる*8
・早期から不正出血が起こるため、女性特有のがんの
なかでは比較的自覚症状が現れやすい
・子宮体部細胞診
・経膣エコー検査
・骨盤MRI検査
など
卵巣がん・40代から増え始め50代で最も多くなる*9
・子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群は卵巣がんの
リスク因子となる
・痛みや不正出血はなく、無症状で進行することが多い
・経膣エコー検査
・骨盤MRI検査
など

また、悪性ではなくても月経痛や過多出血、貧血を起こす原因になるような病気や、将来の妊娠、出産に影響を与える可能性がある病気もあります。このような病気もレディースドックであれば早期発見できることが多いです。

治療が必要となる良性の病気

病気の種類特徴おもな検査
子宮筋腫・子宮の筋層から発生する良性の腫瘍で、
悪性になることはない
・サイズが大きくなると月経量の増加、貧血、
腹部内の圧迫、腰痛といった症状があるため、
外科手術で取り除く場合がある
・経膣エコー検査
・骨盤MRI検査
など
子宮内膜症・子宮体部の内部を覆う子宮内膜が、子宮外で
増殖する病気
・卵巣、子宮筋層、腹膜など発生する場所によって
月経痛の悪化や、不妊の原因になる場合がある
・経膣エコー検査
・骨盤MRI検査
など
卵巣嚢腫・20代〜30代の若年者に多く、無症状で
あることが多い
・妊娠・出産の経験が少ない、排卵誘発剤の
使用頻度が高い、早い初経または遅い閉経など
通常より多い排卵の回数がリスク因子となる
・経膣エコー検査
・骨盤MRI検査
など

レディースドック(女性向けの人間ドック)の費用は?

レディースドック(女性向けの人間ドック)の費用相場は、3.5~6万円程度です。検査項目数や検査方法、医療施設などによって費用は異なります。レディースドックなどの人間ドックは任意検診のため、保険は適用されず全額自己負担です。ただし、自治体や健康保険組合の中には、人間ドック受診費用の補助・助成を行っている場合があります。お住まいの自治体や加入している健康保険組合のWebサイトなどを確認してみましょう。

なお、レディースドックでなんらかの病気が見つかり、医療施設にかかった場合の費用は保険適用となります。

レディースドックの検査項目

レディースドックで受けられる代表的な検査は以下の通りです。どんな検査が行われるかは医療施設によって異なるため、予約時などに確認しましょう。

  • マンモグラフィ
  • 乳腺超音波(エコー)検査
  • 乳腺MRI検査
  • 無痛MRI乳房がん検診(乳腺DWIBS)
  • 子宮頸部細胞診
  • 子宮体部(内膜)細胞診
  • 経腟超音波(エコー)検査
  • 骨盤MRI検査

以下よりそれぞれの検査の特徴や検査時間、注意点について解説します。

乳がんのリスクを調べる検査

マンモグラフィ

【検査の特徴】
X線を利用して乳がんを調べる検査です。石灰化をともなう乳がんや、比較的硬さのあるしこりを見つけるのに優れた検査です。専用の装置で乳房をはさみ、平たくのばして撮影するため、生理前など胸が張っている時期は痛みが強くなることもあります。

マンモグラフィは原則40歳以上の女性に推奨されています。若年女性や高濃度乳房(デンスブレスト)の方は、マンモグラフィでは乳がんが見つけにくい場合があります。なお、40代女性の約4割は高濃度乳房という統計データがあります*10。高濃度乳房を指摘されたことがある方は、マンモグラフィに加え乳腺超音波(エコー)など、ほかの検査の併用も検討しましょう。

【検査時間】
10分(乳房をはさむ時間は各10秒程度)

【注意点】
わずかですが被爆をともなうため、妊娠中は検査を受けられません。また、豊胸手術やペースメーカーなどを胸に埋め込む手術をしている方や授乳中の方は検査を受けられないことがあります。

乳腺超音波(エコー)検査

【検査の特徴】
超音波を利用して乳がんを調べる検査です。ベッドに横になって胸にゼリーを塗って専用の装置をあてて検査します。マンモグラフィでは写らない小さなしこりを見つけることができますが、微小石灰化は確認しづらいデメリットがあります。マンモグラフィとは異なり被曝の心配がないので、妊娠中でも受けることができます。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
とくになし

乳腺MRI検査

【検査の特徴】
電磁波を利用して乳がんを調べる検査です。ガドリニウム造影剤という薬剤を投与した状態でMRI装置に入って撮影し、薬剤の広がりを観察します。しこりの形状だけでなく、悪性度も画像で評価できることから、通常は精密検査に用いられます。マンモグラフィと異なり、医療被曝がなく、高濃度乳房の影響も受けにくいとされています。ただし、喘息やアレルギーなどがある方は原則的に造影剤を使用できないため、受けることができません。

日本ではあまりなじみのない乳腺MRI検査ですが、欧米では乳がんの発症リスクが高い方に対して、スクリーニングとして乳腺MRI検査を実施することが推奨されています*11

【検査時間】
30分程度

【注意点】
検査中は騒音がするため耳栓やヘッドフォンを使用します。その他、MRI検査全般の注意事項として下記に当てはまる方は受けられない場合があります。

  • 妊娠している、または妊娠の可能性がある
  • ペースメーカー、人工関節、人工内耳、脳動脈クリップなどの体内金属がある
  • 磁石式の入れ歯をしている(使用不可能になる場合がある)
  • 入れ墨やアートメイクをしている(変色や発熱する場合がある)
  • 閉所恐怖症
  • 検査中安静にすることが困難

など

MRI検査時の服装やメイク、注意事項は下記記事で詳しく解説しています。

無痛MRI乳がん検診(乳腺DWIBS)

【検査の特徴】
MRIの撮影方法のひとつである「DWIBS(ドゥイブス)法」を乳がん検査に取り入れた検査方法です。乳腺MRI検査と同様にMRI装置を用いますが、造影剤は使用しません。そのため、乳腺MRI検査より身体への負担が少ない検査と言えます。無痛MRI乳がん検診による乳がんの発見率は乳腺MRI検査と同等であったという報告もあります*12

【検査時間】
15分程度

【注意点】
乳腺MRI検査と同様に、MRI検査全般の注意事項として下記に当てはまる方は受けられない場合があります。

  • 妊娠している、または妊娠の可能性がある
  • ペースメーカー、人工関節、人工内耳、脳動脈クリップなどの体内金属がある
  • 磁石式の入れ歯をしている(使用不可能になる場合がある)
  • 入れ墨やアートメイクをしている(変色や発熱する場合がある)
  • 閉所恐怖症
  • 検査中安静にすることが困難

など

無痛MRI乳がん検診については下記記事で詳しく解説しています。

子宮がん、卵巣がんのリスクを調べる検査

子宮頸部細胞診

子宮頸部細胞診

【検査の特徴】
子宮頸がんを調べる検査です。子宮の入口の細胞をブラシ状の小さな器具でこすり、採取した細胞のなかに異常なものがないかどうかを顕微鏡で調べます。痛みはほとんどありません。

【検査時間】
2~3分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)は検査を受けることができません。正確な診断をするために、検査の数日前から膣内の洗浄や膣剤の利用を控えてください。また、検査後に微量の出血が2〜3日続くことがあります。出血がある間は激しい運動や入力、性交渉は控えたほうがよいでしょう。

子宮頸がん検査後の注意については下記でも解説しています。

子宮体部細胞診

【検査の特徴】
子宮体がんを調べる検査です。膣の奥にある子宮体部(子宮内膜)の細胞をブラシなどでこすり、採取した細胞のなかに異常なものがないかどうかを顕微鏡で調べます。検査中は痛みを感じたり、わずかに出血をしたりする場合がありますが、出血は数日以内におさまります。なお、自治体や企業健診の「子宮がん検診」は子宮頸がんを調べる子宮頸部細胞診のみで、子宮体部細胞診は含まれていないことが多いです。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)や妊娠の可能性がある方は受けることができません。可能性は非常に低いですが、子宮穿孔のリスクがあり医師の技量が必要な検査です。また、感染のリスクもあります。微量の出血をともなう検査のため、抗凝固剤(血液をサラサラにする薬)を服用している場合は検査を受けられません。

経腟エコー検査(経腟超音波検査)

【検査の特徴】
子宮体がんや卵巣がんを調べる検査です。親指程度の大きさのプローブ(探触子)を膣内に挿入し、超音波をあてることで子宮内や卵巣を観察します。子宮体がんや卵巣がんのほかに、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫などを観察することができます。

【検査時間】
5分程度

【注意点】
生理中(月経期間中)は検査を受けることができません。

骨盤MRI検査(子宮・卵巣MRI)

【検査の特徴】
電磁波を利用して骨盤内にある骨盤部にある膀胱、膣、子宮、卵巣などの大きさや形状の観察をします。子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんをまとめて調べることができる検査です。その他、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣嚢腫なども観察することができます。

【検査時間】
20分程度

【注意点】
乳腺MRI検査と同様に、MRI検査全般の注意事項として下記に当てはまる方は受けられない場合があります。

  • 磁石式の入れ歯をしている(使用不可能になる場合がある)
  • 入れ墨やアートメイクをしている(変色や発熱する場合がある)
  • 閉所恐怖症
  • 検査中安静にすることが困難

など

その他、補助的な検査として子宮頸がんの発症リスクを評価するHPV(ヒトパピローマウイルス)検査や、卵巣がん、子宮頸がん、子宮体がんに反応する腫瘍マーカーCA125を調べるために採血検査をする場合などもあります。

また、医療施設によっては甲状腺検査、骨密度検査などを実施している場合もあります。

【年代別】女性がレディースドック・人間ドックで受けるべき検査とは

これだけは受けておきたい女性の検査を、年代ごとにまとめました。

20代30代40代50代
マンモグラフィ
乳腺エコー検査
子宮頸部細胞診
子宮体部細胞診
※閉経前後から
要注意

マンモグラフィでがんが見えにくい20〜30代の女性や、高濃度乳房を指摘されたことがある方は乳腺超音波(エコー)検査がおすすめです。マンモグラフィが苦手な方、乳房を見られたくない方は、乳腺MRI検査や無痛MRI乳がん検診を検討してもよいでしょう。

子宮頸部細胞診は、一度でも性交渉経験がある場合は20代から必ず受けたい検査です。なお、性交渉経験がない方は検査の必要性は示されていません*7。しかし、子宮内膜症や子宮筋腫などは若くても発症することがあります。これらを調べる意味でも、レディースドックや婦人科検診は受けておくことが望ましいでしょう。

子宮体がんは近年増加傾向にあるがんです*13。とくに閉経前後から気にかけていきましょう。子宮と卵巣どちらも検査したいけれど内診に抵抗があるという女性は、まずは骨盤MRI検査を受け、異常が指摘されたら内診を受ける方法もあります。

性別・年代別に受けたい人間ドックの検査は下記でも詳しく解説しています。

レディースドックは毎年受けるべき?

人間ドックは年1回の受診が推奨されているため、人間ドックの基本的な検査を含むレディースドックも原則的に年1回の受診が適当と言えます。ただし、乳がんや子宮頸がんの検査は厚生労働省の指針では原則的に2年に1回(子宮頸がんは一定の条件下で5年に1回)が推奨されています。また、次の受診の時期はレディースドックの結果等などによっても異なります。受診先の医療施設と相談しながら決めるとよいでしょう。

レディースドックの流れ

レディースドックを予約してから結果説明を受けるまでのおおよその流れをご紹介します。なお、検査項目や流れは医療施設によって異なるためあくまで目安としてお考えください。

  1. 予約
    希望する医療施設を決めたら、レディースドックのプランに自分が受けたい検査項目が含まれていることを確認しましょう。PCやスマホ、電話で予約ができます。
  1. 事前準備と問診票の記入
    予約が完了すると、事前に便潜血検査(検便)などの検査キットや問診票が郵送されるため、当日までに準備しておきます。検査当日に生理が重なりそうなど気がかりがあるときは事前に医療施設に伝えておきましょう。
  1. 来院、着替え
    予約時間までに医療施設へ行き、受付をします。用意しておいた検査キットや問診票などを提出し、更衣室で検査着に着替えます。検査着がない場合もあるので、着脱しやすい下着や服装で来院するのがおすすめです。
  1. 診察・各種検査
    医療施設の案内にしたがって各種検査を受けていきます。検査プランによって変わりますが、腹囲計測、身長体重測定、聴力検査、心電図検査、眼底検査、肺機能検査といった基本的な検査を受けてから、女性特有の疾患に関する検査(マンモグラフィ、乳腺エコー検査など)と診察(内診)を受けて、最後にバリウム検査(胃X線検査)、胃カメラ(胃部内視鏡検査)などが行われることが多いです(検査順は医療施設によって異なります)。
  1. 着替え、医師との面談(結果は後日郵送の場合も)
    すべての検査が終了したら着替えをします。人間ドックやレディースドックの場合、検査当日に医師から結果の説明を受け、詳しい結果報告書は後日郵送されることが多いです。

レディースドックは午前中にスタートしてお昼前後に終わるプランが多く、所要時間の目安は1時間半〜3時間前後です。医療施設によっては受診後にマッサージや軽食が用意されていたり、近隣のレストランで使える食事券がプレゼントされたりするプランもあります。

医療施設を選ぶ5つのチェックポイント

受けたい検査項目に対応しているかどうか

レディースドックといっても、検査項目や内容は医療施設によってそれぞれです。希望する検査が含まれているかどうかを確認しましょう。多くの場合、レディースドックにはマンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)検査、子宮頸部細胞診が含まれています。しかし、乳腺MRI検査や無痛MRI乳がん検診、骨盤MRI検査、経膣超音波(エコー)検査、子宮体部(内膜)細胞診といった、精密医療機器や技術を要する検査はすべての医療施設で行われているわけではありません。

また、一般的な「子宮がん検診」はおもに子宮頸部細胞診を指すため、子宮体がんの検査を受けたい場合はプランの中に子宮体部細胞診もしくは経膣エコー検査が含まれているかどうかを確認しましょう。

専門医・認定技師・知識が豊富なスタッフがいるかどうか

知識や経験が豊富な医師やスタッフがいるかどうかを知る目安として、下記のような資格があります。

腺専門医】
日本乳癌学会が認める研修施設にて研修を受け、一定以上の乳がん患者を治療した経験や論文発表の実績を持つことが条件とされ、さらに専門試験に合格した医師のみが名乗ることができる。

【検診マンモグラフィ読影認定医、マンモグラフィ撮影認定技
日本乳がん検診精度管理中央機構が主催した講習会に出席をして、専門試験に合格した場合にのみ与えられる資格。試験評価はA、B、C、Dの4段階にランク分けされ、AおよびBの人が検診マンモグラフィ読影認定医もしくはマンモグラフィ撮影認定技師と認定される。5年ごとに更新試験を受ける必要がある。

【超音波検査士】
日本超音波医学会が実施する専門的な試験に合格した検査技師のみが名乗ることができる。体表臓器(乳腺含む)、循環器、消化器、産婦人科、健診、血管の6つの領域に分かれている。

いずれも専門的な試験を受けて名乗ることができる資格のため、これらの資格を持っている医師やスタッフが在籍している医療施設はレディースドックに力を入れている目安になるといえます。

最新の医療機器が導入されているかどうか

自治体や企業の集団検診などでは古い装置、すなわち画質があまりよくない装置が使われていることも珍しくありません。レディースドックは個人が自由に医療施設を選ぶことができるため、最新の医療機器が導入されている医療施設を選ぶことも可能です。

乳腺の検査を例に挙げると、最新機器である3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)や3D乳腺エコー(ABUS)装置などを導入する医療施設が増えてきています。3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)とは乳房の断層像を作成できる技術を利用した装置です。従来のマンモグラフィがレントゲン(2D写真)のようなイメージだとすると、新しい撮影法はCT検査のようにさまざまな角度や断面から乳房内を検査することができるため、より多くのがんを発見できるといわれています。また、3D乳腺エコー(ABUS)装置は胸に専用の装置を押し当てるだけで自動的に3D超音波画像を取得してくれるため、検査時間も短く技師間の技術差が出にくいという特徴を持っています。

女性に配慮した工夫がされているかどうか

近年は女性が安心して受診できるように、さまざまな取り組みをしている医療施設が増えています。一例を紹介します。

  • 女性専用のフロアや待合室がある
  • すべて女性の医師や技師、スタッフが対応している
  • キッズルームや託児所がある
  • レディースデーの設定
  • パウダールーム完備

など

検査着のまま安心して待機できる配慮がされていたり、女性スタッフが対応していたりすることは、検査へのストレスを和らげてくれます。なんとなく恥ずかしいなどの理由から検査を躊躇している方は、女性目線での配慮がある医療施設を選ぶとよいでしょう。

定期的に受診しやすい場所にあるかどうか

レディースドックは、自宅や勤務先などから通いやすい医療施設がおすすめです。これは、同じ医療施設で定期的に受診をするほうが、経年での変化をキャッチしやすいためです。たとえば、マンモグラフィや乳腺超音波(エコー)検査で異常があったときに、サイズや形が前回の検査と比較して大きくなっているかどうかがわかれば悪性の可能性をより正確に評価できます。また、以前の検査記録を参考にできるため、見落としを防げるというメリットもあります。

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参考資料
*1.日本人間ドック・予防医療学会 基本検査項目/判定区分
*2.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 全がん
*3.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 最新がん統計
*4.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 乳房
*5.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 子宮頸部
*6.厚生労働省 がん検診
*7.国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん検診について
*8.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 子宮体部
*9.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 卵巣
*10.日本乳癌検診学会「対策型乳癌検診における『高濃度乳房』問題の対応に対する提言」2017年
*11.Martha B Mainiero, et al. ACR Appropriateness Criteria Breast Cancer Screening. J Am Coll Radiol, 2016 Nov;13(11S)
*12.無痛MRI乳がん検診 診断成績 – 導入参考資料
*13.国立がん研究センター がん情報サービス がん統計 年次推移

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