ペースメーカー術後の脳梗塞の併発
ペースメーカーは一部の不整脈の場合に植込まれるもので、電気刺激を心筋に送ることで心臓の収縮を発生させる機械です。心室細動や洞不全症候群、房室ブロックを放置することで起こる、致死的な心停止や心不全を防ぐために使用されるものですので、ペースメーカーを入れること自体はなんら珍しいことではありません。ペースメーカーを植込む手術において、特殊な合併症などはないのですが、術後に脳梗塞を引き起こすケースがあります。脳梗塞とペースメーカーは一見関係のない話ですが、起こるケースが存在しています。
そもそも、世間的には脳梗塞は脳に問題があるから起こると考えがちです。確かに、脳が原因のものはありますが、それだけではありません。塞栓性と呼ばれる、体内の血栓が静脈を通り、心臓から脳へと送られる事で起きる脳梗塞も存在します。
勿論、ペースメーカーが血栓を作る直接的な原因ではありません。しかし、ペースメーカーを植込む際に、抗血液凝固剤の投薬を停止した場合は脳梗塞のリスクが格段に上昇します。抗血液凝固剤とは、深部静脈血栓症による肺塞栓症や、心房細動が原因となる脳塞栓症の予防のために使われる薬です。この薬は手術の際に服用すると大量出血に繋がるため必ず投薬を停止します。しかし、その後適切な管理がなされなかった場合、血栓が出来てしまい、脳梗塞などを併発することがあるのです。
せっかくペースメーカーを付けたのに、脳梗塞になっては意味がありません。むしろ、危機を早めてしまっているようなものです。これらを予防するためにも、抗血液凝固剤を服薬している場合は主治医に必ず伝えるようにしましょう。
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