人間ドック

人間ドックの検査結果はいつわかる? 結果表の見方もくわしく解説

人間ドック検査結果 人間ドック
上昌広
こちらの記事の監修医師

東京大学医学部卒医学博士。特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)

人間ドックは身体の状態を総合的にくわしく調べる機会です。今回は、人間ドックの結果が届く時期や届いたあとの結果の見方、各検査結果で疑われる病気のリスク、再検査や精密検査であった場合に行われる検査例などを紹介します。

★こんな人に読んでほしい!
・人間ドックの結果がいつ届くかを知りたい方
・人間ドックの結果の見方がわからない方
・人間ドックの検査結果で引っかかった方

★この記事のポイント
・人間ドックの結果の通知時期は2〜3週間後が一般的。当日に結果の一部を説明してくれることも
・結果の良し悪しは通知時期と関係ないが、緊急の治療や精密検査が必要な場合は電話がかかってくることがある
・人間ドックの結果が届いたら基準範囲(基準値)と判定をチェックしよう
・再検査、精密検査があったら先延ばしにせず必ず受診しよう

人間ドックの検査結果はいつわかる?

検査結果が届くのは約2~3週間後が一般的。当日に結果の一部を説明してくれることも

人間ドックの検査結果は、受診してから約2~3週間前後で郵送されます。ただし、医療施設によっては、検査の内容や混雑状況により、1ヶ月かかる場合もあります。1ヶ月以上たっても検査結果が返ってこなくて不安な方は、医療施設に問い合わせてみてもよいでしょう。

日本人間ドック学会が定めた「機能評価認定施設」では、人間ドックの受診当日に検査結果の一部を説明してくれます*1。説明があるのは血液検査や尿検査、心電図や聴力などの生理機能検査、一部の画像診断の結果などで、医療施設によって異なります。

通知時期は結果の良し悪しと関係ないが、緊急時は電話で連絡があることも

人間ドックの結果の良し悪しと、結果の通知時期は、基本的に関係ありません。ただし、検査の結果、緊急の治療や精密検査が必要になる場合は、結果到着前に電話で連絡があることもあります。その場合は医療施設の指示に従い、すみやかに対応しましょう。

検査結果を見るのが怖いときは、医療施設で相談できることもある

人間ドックの検査結果が後日郵送された際、怖くて結果表を見る気にならないことがあるかもしれません。家族など信頼できる人と一緒に見るのもよいですが、人間ドック後のサポートとして、医療施設によっては、検査結果を見ながら医師の説明を聞くことができる場合があります。検査結果について、不安や疑問に感じることをそのままにせず、正しく理解することが、自身の身体の状況を正しく把握することにつながります。気になる方は検査を受けた医療施設に相談してみましょう。

人間ドックの検査結果で見るべきポイントと必要な対応

検査結果が基準範囲内かをチェックし、判定結果も必ず確認しよう

検査結果を受け取ったら、まずは結果表に記載された数値が基準範囲(基準値)内かどうか確認しましょう。基準範囲は、結果表内の自身の検査数値の近く、もしくは裏面や別紙に記載されています。結果が基準値範囲外で、判定結果が「要再検査」や「要精密検査」、「要治療」等であった場合は、すみやかな対応が必要となるため、必ずチェックしましょう。

判定区分は医療施設によって異なりますが、ここでは例として、日本人間ドック学会の判定区分を紹介します*2

A:異常なし
B:軽度以上
C:要再検査・生活改善
D:要精密検査・治療
E:治療中

「再検査」「精密検査」と判定されたら、不安でも必ず受診しよう

再検査、精密検査になると、怖い病気ではないかと誰しも不安に感じるものです。しかし、人間ドックの目的のひとつは、病気の早期発見です。見つかる病気には、治療の開始時期によって生死をも分けることにつながるものもあります。結果をチェックしたものの忙しさを理由に放置していると、人間ドックを受けた意味がなくなるどころか、症状が出るころには病気が進行した状態になっている可能性があるため、再検査や精密検査は必ず受診するようにしましょう。

再検査と精密検査の費用は保険適用のため、多くの方は3割負担です。具体的な費用相場や、受診する医療施設の選び方などは以下でご確認ください。

人間ドックの基準値一覧。各検査の内容と疑われる病気

健康診断でも行われる、人間ドックの一般的な検査の基準値

人間ドックには、健康診断と同じ検査項目が含まれています。一般的な健康診断の検査*3のうち、基準範囲が存在する検査は以下の通りです。

●血圧測定
●血液検査
・貧血:血色素量、赤血球数
・肝機能:GOT(AST)、GPT(ALT)、γ-GTP
・血中脂質:LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪
・血糖:血糖値(FPG)、HbA1c
●尿検査(尿糖、尿蛋白)

これらの検査の基準範囲や、基準範囲外である場合に疑われる病気などは下記からご覧ください。

人間ドックで受けられる一般的な検査とその基準値

以下は、一般的な健康診断には含まれていない、人間ドックの検査項目です。基準範囲(基準値)の設定は、医療施設によって若干異なりますが、ここでは例として日本人間ドック学会の基準範囲*4(眼圧検査のみ日本緑内障学会によるガイドライン*5より抜粋)を紹介します。

眼圧検査

眼圧検査は、裸眼に空気を吹きつけて、眼球内の内圧を測定する検査です。下記は、日本人の正常眼圧の上限です*5

正常上限:19.9~20.0mmHg

<基準範囲外である場合に疑われる病気>
眼圧が高い場合:緑内障など

<精密検査で実施される検査例>*5
眼圧検査、眼底検査、OCT検査、視野検査、隅角検査、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査など

この検査は何のための検査?「眼圧検査」

肺機能検査(スパイロメーター検査)

肺機能検査(スパイロメーター検査)は、息を大きく吸ったり吐いたりして肺の機能を評価する検査で、呼吸機能検査とも呼ばれます。標準値に対する肺活量(%肺活量)や、1秒間で吐き出せる息の割合(1秒率)を調べます。

●%肺活量

基準範囲異常
80.0以上79.9以下
単位:%
日本人間ドック学会「検査表の見方」*4参照

<基準値外である場合に疑われる病気>
間質性肺炎、肺線維症など

●1秒率

基準範囲異常
70.0以上69.9以下
単位:%
日本人間ドック学会「検査表の見方」*4参照

<基準値外である場合に疑われる病気>
慢性気管支炎、肺気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など

<精密検査で実施される検査例>*6,*7
胸部X線(レントゲン)検査、胸部CT検査、動脈血ガス分析など

この検査は何のための検査?「肺機能検査(スパイロメーター検査)」

血液検査(肝臓系検査・腎臓系検査・血球系検査・感染症系検査)

血液検査は、採取した血液から身体の状態を調べる検査です。健康診断でも行われる貧血・肝機能・血中脂質・血糖・腎機能の検査項目に加え、人間ドックでは肝臓系検査・腎臓系検査・血球系検査・感染症系検査なども行い、異常の有無を調べます。

人間ドックの血液検査一覧と結果の見方は、下記にくわしくまとめています。

その他、基準範囲が存在しない検査

【胃X線(レントゲン)検査】
胃X線(レントゲン)検査は、造影剤のバリウム液を飲んだ状態で、食道・胃・十二指腸をレントゲン撮影する検査です。胃や十二指腸のポリープ、潰瘍、がんなどの発見につなげます。

<精密検査で実施される検査例>*8
胃内視鏡検査(胃カメラ)、胃内視鏡検査下の組織診(生検)など

この検査は何のための検査?「胃レントゲン検査(胃バリウム検査)」

【胃内視鏡検査(胃カメラ)】
胃内視鏡検査(胃カメラ)は、口または鼻から内視鏡を挿入し、おもに食道や胃、十二指腸の内腔を観察する検査です。食道がん、逆流性食道炎、胃炎、胃潰瘍、胃がん、胃ポリープ、十二指腸潰瘍などの病気の発見に有用です。

<精密検査で実施される検査例>*8
胃内視鏡検査(胃カメラ)、胃内視鏡検査下の組織診(生検)など

この検査は何のための検査?「胃内視鏡検査(胃カメラ検査)」

【腹部超音波(エコー)検査】
腹部超音波(エコー)検査は、超音波を腹部に当て、臓器などから跳ね返った超音波から画像を作ることで腹部の様子を調べる検査です。肝臓や膵臓、腎臓のがんや、胆のうの胆石などの発見につなげます。

<再検査(二次検査)、精密検査で実施される検査例>*9
CT検査、MRI検査など

この検査は何のための検査?「腹部エコー検査」

【便潜血検査】
便潜血検査は、採取した便のなかに微量の血液が混ざっていないかを調べる検査です。消化管の出血性の病気、大腸ポリープ、大腸がんなどの発見につなげます。

<精密検査で実施される検査例>*10
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)、大腸CT検査など

【内科診察】
視診、触診および聴診による検査です。足に浮き出た血管を見つけて下肢静脈瘤を発見できたり、聴診器で聞き取った心臓の雑音から心臓弁膜症などを発見できたりします。

人間ドックのおもなオプション検査と結果の見方・考え方

乳がん検診

乳がん検診は、乳がんの有無を調べる検査の総称です。おもにマンモグラフィや乳腺超音波(エコー)検査が行われます。

【マンモグラフィ】
マンモグラフィは乳腺にX線を当てて撮影する検査で、40歳以上の女性におすすめの検査方法です。以下は、結果のカテゴリー分類で、カテゴリー3では経過観察か精密検査、4・5では精密検査が必要となります。

<マンモグラフィのカテゴリー分類*4>

カテゴリー1 異常なし
カテゴリー2 石灰化した繊維腺腫、乳管拡張症などによる多発石灰化、脂肪腫、乳房内リンパ節、豊胸手術による影響など、明らかに良性と診断できる所見
カテゴリー3 良性の可能性が高いが、悪性の可能性も否定できない。超音波検査などの追加検査が必要
カテゴリー4 悪性の疑いあり。悪性の可能性が高い病変で、他の検査が必要
カテゴリー5 ほぼ乳がんと考えてよい病変あり。さらなる検査が必要

【乳腺超音波(エコー)検査】
乳腺超音波(エコー)検査は、乳房内の乳腺に超音波を当て、臓器や組織から跳ね返った超音波から画像を作ることで、乳房内の状態を調べる検査です。20~30代の女性におすすめの検査です。20~30代は乳腺が発達しているため、マンモグラフィで撮影すると乳腺と病変が重なっていずれも白っぽく写ってしまうことから、内部の病変を発見しづらい傾向があります。

<精密検査で実施される検査例>*11
マンモグラフィの追加撮影、乳腺超音波(エコー)検査、針生検(はりせいけん)下の組織診※など
※疑わしい部位に針を刺して細胞や組織を採取し、顕微鏡で調べる検査

子宮がん検診(子宮頸がん検診)

【子宮頸部細胞診】
子宮頸部細胞診は、子宮頸部から細胞を採取して顕微鏡で調べる検査です。子宮頸がんの早期発見につながるほか、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などの感染もわかります。

<精密検査で実施される検査例>*12
コルポスコープ下の組織診、HPV検査など

前立腺がん検診

【腫瘍マーカー(PSA)】
腫瘍マーカーはがんを見つける検査ではなく、がん診断の補助検査のひとつです。PSA検査は、採血で前立腺疾患の有無を調べる検査です。高値の場合、前立腺がん、前立腺肥大などが疑われます。

基準範囲異常
4.0以下4.1以上
単位:ng/mL
日本人間ドック学会「検査表の見方」*4参照

<精密検査で実施される検査例>*13
直腸診、経直腸的前立腺超音波(経直腸エコー)検査、前立腺生検など

C型肝炎ウイルス(HCV)検査

【HCV抗体検査】
C型肝炎ウイルスに感染すると、ウイルスに対する抗体(HCV抗体)が体内にできます。HCV抗体検査は、血液中のHCV抗体の有無を調べる検査であり、C型肝炎ウイルスの感染歴がわかります。自治体で安価に実施していることも多く、ほとんどの場合、過去に一度も受けたことのない方が対象条件となっています。

その他の人間ドックで行われる検査

そのほかにも、医療施設によってさまざまな人間ドック、オプション検査が提供されています。上記以外の検査についてくわしく知りたい方は、ぜひ下記記事をご覧ください。

参考資料
*1.日本人間ドック学会、人間ドック健診施設機能評価委員会「人間ドック健診施設機能評価 Ver.4.0 受審の手引き 簡易版」(2018年更新)
*2.日本人間ドック学会「2022年度 判定区分表」
*3.厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう」
*4.日本人間ドック学会 検査表の見方
*5.日本緑内障学会「緑内障診療ガイドライン(第5版)」(2022年)
*6.日本臨床内科医会 慢性気管支炎・肺気腫
*7.長寿科学振興財団 健康長寿ネット 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断
*8.国立がん研究センター がん情報サービス 胃がん検診について
*9.国立がん研究センター がん情報サービス 腎がん(腎細胞がん) 検査
*10.国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん検診について
*11.国立がん研究センター がん情報サービス 乳がん検診について
*12.国立がん研究センター がん情報サービス 子宮頸がん検診について
*13.国立がん研究センター がん情報サービス 前立腺がん 検査

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上昌広
こちらの記事の監修医師

特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所 理事長

上昌広(かみ まさひろ)
1993年東京大学医学部卒。1999年同大学院修了。医学博士。
虎の門病院、国立がんセンターにて造血器悪性腫瘍の臨床および研究に従事。2005年より東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム(現・先端医療社会コミュニケーションシステム)を主宰し医療ガバナンスを研究。 2016年より特定非営利活動法人・医療ガバナンス研究所理事長。
山本 佳奈
こちらの記事の監修医師

ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員

山本 佳奈(やまもと かな)
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)
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