人間ドックを受診予定の方に向け、当日の持ち物や注意事項、事前に知っておきたいことをまとめました。また、人間ドックでの受診機会が多い、超音波(エコー)検査・内視鏡検査・CT・MRIを受ける場合の注意事項も紹介します。
★こんな人に読んでほしい!
・人間ドック当日の持ち物や注意事項を知りたい方
・人間ドックの検査前後でどんな行動がNGなのか気になっている方
・うっかりして人間ドック前に注意事項を守れなかった方
★この記事のポイント
・人間ドック当日の持ち物はマイナンバーカード、受診セットなど。念のため現金も持参を
・人間ドックは基本、全額自己負担だが、自治体や健康保険組合によっては補助や助成制度がある
・造影剤を使用する検査や上腹部(胃など)の画像診断を受診する場合は食事制限が、下腹部(大腸など)の画像診断を受診する場合は食事と排尿に制限がある
・CT・MRIなどの検査を受診する場合は検査室へ金属類の持ち込みは不可
・MRI・内視鏡などの検査を受診する場合、当日の化粧は控えよう
・鎮静剤や造影剤などの薬剤を使用する検査を受診する場合は、検査前だけでなく検査後にも注意が必要
目次
人間ドック当日の持ち物は?
人間ドックの際に必要な持ち物
人間ドックの受診日が近づくと、予約した医療施設から案内や注意事項のほか、問診票、検尿・検便の検査容器などの受診セットが送付されるのが一般的です。案内には人間ドック当日の持ち物が記載されていることが多く、必要な持ち物は受診予定の検査にもよります。おもな持ち物は下記の通りです。
【基本的に必要なもの】
・マイナ保険証(健康保険証利用登録をしたマイナンバーカード)または資格確認書
・問診票(質問票)、同意書などの書類
・お薬手帳、薬剤説明書(服用中の薬がある場合)
・検尿・検便の検体
・眼鏡、コンタクトレンズ(コンタクトレンズケースと保存液も)
・現金(キャッシュレス決済ができない場合や、追加費用等の備え)
・不織布マスク
など
【必要に応じて持参するもの】
・医療施設の診察券(以前に受診したことがある医療施設の場合)
・他病院の検査結果(経過観察中や治療中などの場合)
・靴下・はおりものなどの防寒グッズ
など
【その他、持っていくと便利なもの】
・待ち時間のための本
・サブバッグ(小物、本などが入るもの)
・金属やプラスチックのついていないヘアゴム(髪が長い方)
・外したアクセサリーなどを入れておくための小さなポーチ
など
なお、人間ドックの際のスマートフォンの持ち込みについては、マナーモードに設定のうえ、持ち歩いたり、利用したりしてよいとされている場合が多いです。ただし通話は所定の場所で行いましょう。施設・敷地内での許可のない撮影や録音はNGです。医療施設や検査によっては持ち込めないものもあるため、案内をよく確認し、医療施設の指示に従いましょう。
健康診断当日の持ち物や注意事項は、下記記事で解説しています。
人間ドックの費用は原則自己負担。補助や助成制度の有無は事前にチェックを
人間ドックの費用は自由診療(保険適用外)のため、原則として全額自己負担です。ただし、お住まいの自治体や加入している健康保険組合、生命保険等によっては、人間ドック費用の補助・助成を行っていることがあります。事前に利用できる制度の有無を確認しておくとよいでしょう。
人間ドックではどんな検査が行われるのか
人間ドックの基本検査項目
人間ドックでは、会社の健康診断や40歳以上が受ける特定健診(特定健康診査)より多くの検査項目が設定されています。以下は日本人間ドック・予防医療学会が定める人間ドックの基本的な検査項目です*1。一般的な健康診断には含まれていない項目は、太字で示しています。
【必須項目】
●問診・診察:医療面接、医師診察
●身体計測:身長、体重、腹囲、BMI、肥満度(削除可)
●生理検査:血圧測定、心電図、心拍数、眼底、眼圧、視力、聴力、呼吸機能
●X線・超音波:胸部X線、上部消化管X線(バリウム)、腹部超音波(エコー)
●血液検査
・生化学検査:総タンパク、アルブミン、クレアチニン、eGFR、尿酸、総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、Non-HDLコレステロール、中性脂肪、総ビリルビン、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)、ALP、血糖(空腹時)、HbAlc
・血液学検査:赤血球、白血球、血色素、ヘマトクリット、MCV、MCH、MCHC、血小板数
・血清学検査:CRP、血液型(ABORh)※、HBs抗原※
●尿検査:尿一般(蛋白・尿等・潜血)・沈渣(蛋白、潜血が陰性の場合は省略可)
●便検査:潜血
●判定・指導:結果説明、保健指導
※は本人の申し出によって省略可
以下の記事では、人間ドックと健康診断の検査項目を比較表でわかりやすくまとめています。あわせてお読みください。
人間ドックのオプション項目
日本人間ドック・予防医療学会は、前述の基本的な検査項目に加えられるオプション項目として以下の6項目を挙げています*1。
【オプション項目】
・上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
・乳房診察+マンモグラフィ
・乳房診察+乳腺超音波(エコー)
・婦人科診察+子宮頸部細胞診
・PSA(腫瘍マーカー)
・HCV抗体
オプション検査にはこのほかにも、頭部MRI検査、胃がんリスク検査(ABC検査)、大腸内視鏡(大腸カメラ)検査、腫瘍マーカー、アレルギー検査、睡眠時無呼吸症候群の検査などさまざまな検査があります。詳しくは下記記事で解説しています。
人間ドックでよくある検査や専門ドック
人間ドックでは、特定の病気・部位の検査を単独で受けられる単独検査や、複数の検査をパッケージ化した専門ドックなどのコース・プランを選択することも可能です。人間ドックのおもな単独検査や専門ドックには次のようなものがあります。
【単独検査】
・胃がんの検査:胃X線(バリウム)、胃内視鏡(胃カメラ)、胃がんリスク検査(ABC検査)など
・肝がん・膵がん・胆のうがんの検査:腹部超音波(エコー)、MRCPなど
・大腸がんの検査:便潜血、大腸内視鏡(大腸カメラ)など
・肺がんの検査:胸部CTなど
・乳がんの検査:マンモグラフィ、乳腺超音波(エコー)など
・子宮がん・卵巣がんの検査:子宮頸部細胞診、子宮体部細胞診、経腟超音波(エコー)など
・前立腺がんの検査:PSA、前立腺超音波(エコー)など
・全身がん検診:DWIBS、PET-CT検査など
【専門ドック】
・婦人科検診:乳がん、子宮がん、卵巣がんの検査など
・脳ドック:頭部MRI/MRA、頸動脈超音波(頸動脈エコー)など
・心臓ドック:心臓CT(冠動脈CT)、心臓超音波(心エコー)、頸動脈超音波(頸動脈エコー)、心臓MRI、心電図(もしくは運動負荷心電図)、血圧脈波検査、血液検査など
・レディースドック:人間ドックの基本検査項目+婦人科検診、乳腺MRI、子宮卵巣MRI(女性骨盤MRI)など
人間ドックでは、上記のような検査によってさまざまな角度から身体を調べ、がんや他の自覚症状のない病気を早期発見することで、早期治療につなげることが可能になります。また、医療施設によっては医師から検査結果の説明や指導などを受けることができるため、自身の健康状態について、一般的な健康診断より詳しく知ることができます。
人間ドックで当日追加できる検査・できない検査
人間ドックを受診する際に、血液検査、細胞診など医療施設で当日採取予定の検体検査があれば、検査の際に検査項目の追加が可能な場合があります。ただし、内視鏡やCT、MRIといった画像診断は検査に一定時間を要するため予約制であることが多く、直前に検査を希望しても追加できない場合があります。
人間ドックの予約変更・検査の追加等については、医療施設ごとにルールがあります。変更や追加の希望がある場合は、受診先に問い合わせてください。
人間ドック当日までの基本的な準備
以下は人間ドック当日までの基本的な準備です。
- 医療施設からの案内を読み、事前の食事制限等について確認する
- 問診票(質問票)、同意書などを記入する
- 尿検査や便潜血検査など提出が必要な検体を採取する
- 体調管理に気をつける
尿や便など検体採取のポイントは、それぞれ以下の記事をご覧ください。
なお、大腸内視鏡(胃カメラ)検査については、安全で確かな検査をするために、事前準備がとくに重要です。当日までに必要な準備の詳細は以下の記事で解説しています。
人間ドックの服装は?
人間ドックでは多くの場合、検査着やスリッパ等の室内履きが用意されています。とくに服装の指示がなければ、医療施設へ向かう服装は自由でかまいませんが、着替えやすい上下セパレートの服装だとよりスムーズです。MRI検査や内視鏡検査を受診する方は、検査の妨げとなることがあるため、当日の化粧にも注意が必要です。
検査着に着替える際、検査着の下はショーツ以外すべて外すように指示されることが一般的です。医療施設によっては、無地の白Tシャツであれば検査着の下に着てもよいとしているところや、寒い時期ははおりものや靴下の着用を許可しているところもあります。
髪が長い方は、着替えの際に肩にかからないようまとめておくとよいでしょう。時計やアクセサリーなどの装飾品も、着替えのタイミングで外します。着脱や保管管理の手間、防犯の観点からも、貴重品は必要以上に持ってこないほうが望ましいです。
検査着が用意されていない健康診断等を受ける際の服装のヒントは、下記記事で解説しています。
人間ドック当日の注意事項
食事
食事は、消化器官の画像検査や血液検査の数値に影響します。そのため、人間ドックでは前日の21時以降は食事・飲酒禁止、当日は絶食(飴やガムも控える)としている医療施設が一般的です。飲み物については、脱水症状を防ぐため、人間ドックの2時間前までは少量(200ml程度)の水、白湯ならOKとしている医療施設が多いです。
【影響するおもな検査】
・画像診断(胃バリウム、胃カメラ、腹部エコー、大腸カメラ、腹部CT、腹部MRIなど)
・血液検査
・尿検査
など
薬・サプリメント
主治医の指示で毎日飲んでいる薬(血圧・心臓・神経系の薬など)は、いつもどおり服用してよいとしている医療施設がほとんどです。ただし、糖尿病治療薬(インスリン注射・SGLT2阻害薬も含む)は当日に服用すると低血糖を起こすリスクがあるため、服用中止が呼びかけられています*2。そのほか検査時に使用される鎮静剤、造影剤、検査後の下剤などの薬剤の影響も考慮する必要があるため、治療中の方は検査前後の服薬について、あらかじめ主治医や受診先に相談しておくことが大切です。
サプリメントに関しては、ビタミンCに注意が必要です。ビタミンC(アスコルビン酸)を多く含む食品の摂取は、尿糖や尿潜血で偽陰性(異常があるのに異常なしと判定される)となることがあるためです*3。医療施設によっては、検査の数日前からサプリメントでのビタミンC摂取を控えるよう呼びかけているところもあります。
【影響するおもな検査】
・内視鏡検査(胃、大腸)
・造影検査※(胃バリウム、CT、MRIなど)
・血液検査
・尿検査
など
※造影検査:造影剤を投与し、目的の臓器や血管を観察しやすくして撮影する検査のこと。検査で使用される造影剤は、胃X線検査では硫酸バリウム製剤、CT検査ではヨード製剤、MRI検査ではガドリニウム製剤などが用いられる。
喫煙
喫煙は、ニコチン(煙の主成分)による消化器官の画像診断や血圧・心電図などの循環器の検査などへの影響が懸念されます*4,*5。検査前の禁煙タイミングについては、受診予定の検査にもよりますが、食事同様に前日から禁煙あるいは当日の朝から禁煙としている医療施設もある一方、人間ドックの3時間前までならよいとしている施設もあります。受診先の注意事項を確認し、検査が終わるまでは禁煙しましょう。加熱式たばこも、紙たばこと同様に検査前は禁煙です。
【影響するおもな検査】
・画像診断(胃バリウム、胃カメラ、腹部エコー、大腸カメラ、腹部CT、腹部MRIなど)
・血圧測定
・心電図検査
など
運動
普段とくに運動をしていない方は、軽い運動でも検査値に影響しやすくなります。検査前の悪あがきで運動を始めても検査結果は改善しにくく、むしろ検査精度の低下につながることもあります。基本的には通常通りの生活を心がけましょう。
【影響するおもな検査】
・血液検査
・尿検査
・PET-CT検査
など
人間ドック前日の食事制限やNG行動については、下記記事でより詳しく解説しています。
人間ドックで当日とくに注意が必要な検査
超音波(エコー)検査:腹部エコーは食事に注意
超音波検査とは、超音波を用いて体内の病変を調べる検査です。超音波が伝わりやすいように、身体の表面に検査用のゼリーを塗り、超音波の出る器械(プローブ)をあてて検査を行います。さまざまな臓器や部位の検査に用いられており、人間ドックでは、おもに消化器、泌尿器、生殖器などのある腹部、乳腺・甲状腺などの体表、頸動脈・下肢動脈などの血管、心臓を調べる際に用いられています。
【検査前の注意事項】
腹部超音波(エコー)検査は、医療施設にもよりますが、当日は検査前6時間の絶食が必要です*6。とくに上腹部にある肝臓、膵臓、胆のうなどの消化器を検査する場合は、食事をすることで、胆汁(消化液)の分泌により胆のうが収縮するため、胆のうや胆管の観察が難しくなります。また、食物残渣や腸内ガスの影響で、胃腸のうしろにある臓器が見えにくくなります。
前立腺・膀胱・卵巣・子宮などを調べる下腹部のエコーでは、厳密な食事制限はありませんが、膀胱に尿をためた状態のほうが見やすいため、当日検査前はなるべく排尿を控えます。
検査前の喫煙の可否は医療施設により考え方はさまざまです。受診先のルールに従いましょう。
そのほかの体表、血管、心臓などの超音波(エコー)検査の場合は、基本的には食事制限はありません。経腟超音波(エコー)検査も食事制限はありませんが、レディースドックの場合など生理中の検査は推奨しないとしている医療施設が多いです。
【検査後の注意事項】
とくに制限はありません。
CT検査:妊娠中は要注意。造影剤を使用する場合は食事制限あり
CT検査はX線を用いた画像診断法のひとつです。人間ドックのCT検査では、頭部、胸部、腹部、骨盤などを調べる際によく用いられます。身体への影響は限定的ですが、医療被曝があります。CT検査には、造影剤を使用しない単純CTと、造影剤を使用する造影CTの2種類があり、注意事項が若干異なります。
【受けられない可能性がある方】*7
・人工関節やペースメーカーなど体内に人工物がある
・妊娠中もしくは妊娠の可能性がある
・過去に造影剤による副作用があった(造影CT)
・喘息やアレルギーがある(造影CT)
・糖尿病(造影CT)
・授乳中(造影CT)
【検査前の注意事項】
単純CT:頭部・胸部のCTは、食事制限はありません。腹部CTは当日の食事制限あり、骨盤CTは医療施設により食事や排尿に制限があります。
造影CT:部位に関わらず、当日は食事制限があります。腹部・骨盤の場合、検査前の喫煙は控えるよう案内されることがあります。
【検査後の注意事項】
造影CTを受診した場合は、造影剤をできるだけ早く排出できるよう、水分を多めに摂取しましょう。また、造影剤の副作用として、吐き気、かゆみ、くしゃみ、発疹などがあらわれることがあります*7。
妊娠・授乳中の人間ドックについて知りたい方は、下記記事をお読みください。
ほぼ全身のがんを調べられる「PET-CT」については下記記事で詳しく解説しています。
MRI検査:金属類の持ち込みは一切禁止。化粧品にも注意が必要
MRIは、磁力や電磁波を利用した画像検査です*8。人間ドックでは全身もしくは頭部・心臓・血管・腹部・骨盤などの部位や臓器を調べる際によく用いられます。CTやレントゲンと異なり、医療被曝はありません。以下の方は検査を受けられないことがあります。
【受けられない可能性がある方】
・妊娠中もしくは妊娠の可能性がある
・ペースメーカー、人工関節、人工内耳、脳動脈クリップなどの体内金属がある
・磁石式の入れ歯をしている
・入れ墨やアートメイクをしている
・閉所恐怖症
・検査中安静にすることが困難
MRIも造影剤を使用しない単純MRIと、造影剤を使用する造影MRIがあります。造影MRIを受ける方で、過去に造影剤による副作用があった方、喘息がある方、腎機能の疾患がある方は事前に医療施設へ相談してください。
【検査前の注意事項】
単純MRI:頭部、心臓、血管を対象としたMRIでは食事制限はありません。腹部MRIは食事制限あり、骨盤の検査は医療施設により食事や排尿に制限があります。
造影MRI:部位に関わらず、当日は食事制限があります。鉄剤を服用している場合は、事前に医療施設へ相談してください*9。
MRI検査では強力な電磁波を使用するため、金属類の持ち込みは一切禁止とされています。時計やアクセサリー類のほか、保温性能のある下着、カラーコンタクトやネイル等に金属が含まれていることがあり、注意が必要です。MRIの禁忌・注意事項は以下の記事中に一覧でまとめています。受診予定の方はご確認ください。
【検査後の注意事項】
造影剤を使用した場合、水分を多めに摂取します。また、まれに造影剤の副作用が生じることがあります。
MRIを応用した全身がん検査「DWIBS(ドゥイブス)」については、下記記事で詳しく解説しています。
その他の検査の注意事項
胃がんの検査:胃バリウム検査、胃カメラ検査、胃がんリスク(ABC)検査
人間ドックで行われるおもな胃がんの検査は、胃X線(バリウム)検査、胃内視鏡(胃カメラ)検査、胃がんリスク検査(ABC検査)です。このうち胃バリウム検査、胃カメラ検査は食事制限があり、検査後にも注意点があります。
⚫︎胃バリウム検査
胃X線(バリウム)検査は、X線とバリウム造影剤によりおもに胃を観察する検査です。
【受けられない可能性がある方】*10
・過去の検査でアレルギー症状があった
・妊娠中または妊娠の可能性がある
・消化管の出血や、強い腹痛症状がある
など
【検査前の注意事項】
検査前は食事制限が必要です。また、検査前は禁煙が望ましいとしている医療施設がほとんどです。
【検査後の注意事項】
検査後は、バリウムを体内から早く排泄することが非常に大切です。医療施設でもらった下剤を飲み、水を多めに摂ります。カフェインやアルコールは、体内の水分を尿として排出する利尿作用によって便を硬くしてしまうため控えましょう。検査後24時間経過してもバリウムの白い便がまったく出ず、腹痛をともなうようであれば医療施設に相談してください。バリウム検査が受けられない方、副作用などについては下記記事で詳しく解説しています。
⚫︎胃内視鏡(胃カメラ)検査
小型のカメラを体内に入れることで胃の粘膜を体内から直接観察する検査で、胃だけでなくカメラが通過する食道、小腸の最初の部分である十二指腸も見ることができます。検査の注意点は、経口か経鼻か、鎮静剤使用の有無、生検採取の有無などによって異なります。
【受けられない可能性がある方】*11
・妊娠中
・のどや鼻腔に重篤な疾患があり内視鏡が挿入できない
など
【検査前の注意事項】
検査前は食事制限があります。また喫煙による胃粘膜への影響が懸念されます*4。医療施設によっては検査前は禁煙としている場合があります。
経口による検査の場合は、当日は口紅は控えましょう。鎮静剤を使用する場合、検査後は運転ができません*12。医療施設に向かう際には公共交通機関などを利用しましょう。また検査中、爪から血中酸素濃度をモニターするため、検査当日までに爪をカットし、マニキュアやジェルネイルは落としておくように指示がある場合があります。
【検査後の注意事項】
検査後1時間程度は飲食不可です。鎮静剤を使用する場合は、車・バイク・自転車などの運転、精密な作業や高所での作業はできません*12。また、胃カメラ検査中にポリープなどが見つかり、組織を採取した場合は、カフェイン・アルコール・刺激物の摂取、激しい運動も控えます。胃カメラ検査の注意事項は、下記記事で詳しく解説しています。
⚫︎胃がんリスク検査(ABC検査)
胃がんリスク検査(ABC検査)は、血液中のヘリコバクター・ピロリ抗体およびペプシノゲンの値から、胃がんの将来的な発症リスクを評価する検査です。
血液検査のため、食事制限などはとくにありません。以下の方は検査を受けられないことがあるため、事前に医療施設に相談してください。
【受けられない可能性がある方】*13
・胃腸の具合が悪い方
・1ヶ月以内に胃薬や抗生剤を服用している方
・ヘリコバクターピロリを除菌した方
・食道、胃、十二指腸の疾患で治療中の方
など
胃がんリスク検査の精度や受診頻度、注意事項については、以下の記事で詳しく解説しています。
マンモグラフィ
乳房専用のX線装置を用いて、おもに乳がんなどの異常がないか調べる画像検査です。しこりや石灰化などの小さな病変を抽出します。身体への影響は限定的ですが、わずかな医療被曝があります。
【受けられない可能性がある方】
・妊娠中
・豊胸手術をしている
【検査前の注意事項】
生理期間中は乳腺が張り痛みが生じやすいため、できるだけ生理期間は避けたほうが望ましいです。医療施設によっては、制汗スプレー・パウダーなどの使用を避けるように呼びかけている場合もあります。
【検査後の注意事項】
とくに制限はありません。
妊娠・授乳中の乳がん検診や、生理中に避けたほうが良い理由は以下の記事で詳しく解説しています。
PSA検査
PSAは前立腺がんに関連するタンパク質を血液検査で調べる、腫瘍マーカー検査のひとつです。がんや炎症、加齢にともなう前立腺肥大症などがある場合に血液中に出現し、検査結果が高値となることがあります。
【検査前の注意事項】
PSA検査の直前に前立腺が強い刺激を受けるとPSA値が高くなることがあるため注意が必要です*14。PSA検査を受ける際には以下に気をつけましょう。
・検査前最低2日間は射精しない
・自転車やバイクに乗った直後の検査は避ける
・直腸診の直後は避ける
・前立腺の治療薬、ホルモン製剤、脱毛治療薬などを使用中の場合は事前に医師に申し出る(PSA値が低下する)
【検査後の注意事項】
とくに制限はありません。
つい、うっかり! 注意事項を守れなかったら
人間ドックの注意事項は、当日どんな検査を受けるのかによります。前項で紹介した食事、薬・サプリメント、喫煙、運動などについては、一般的な健康診断と同様に、前日から当日にかけて、ほとんどの健康診断や人間ドックの検査で注意事項が設けられています。
もし注意事項を守れなかった場合は、いつ・何を・どのくらい食べたのか(飲んだのか)など、受付時や問診の際に医療施設に正直に申告しましょう。
人間ドック当日のよくある質問
人間ドックの当日の所要時間は?
人間ドックのプラン・コースには「半日」「1日」の名称がついたものがありますが、基本的な検査のみを受診する場合は、プラン名にかかわらず2~3時間程度が一般的です。オプション検査を受診する場合は、追加した検査に応じて終了時間が変わります。詳しくは下記記事をお読みください。
人間ドック当日に体調不良になったら?
人間ドック当日に体調を崩した場合は、自己判断せず、医療施設に連絡して指示を仰ぎましょう。医療施設によっては当日の体調などの受診前チェックリストが用意されていることがあり、該当する項目がある場合は人間ドックを受診できないこともあります。
人間ドック当日に生理になったら?
人間ドック当日が生理期間中と重なった場合、経血の影響が懸念される尿検査、子宮がんの検査などは実施できません。便潜血検査も生理期間中に便を採取すると偽陽性で後日再検査となる場合があります。また腫瘍マーカー(CA125)検査も生理中は避けることが望ましいとされています。生理による日程変更などの対応は医療施設により異なります。受診先の注意事項を確認しておきましょう。詳しくは以下の記事をお読みください。
人間ドック当日に検査結果は教えてもらえる?
日本人間ドック・予防医療学会が定めた「機能評価認定施設」では、人間ドックの受診当日に検査データの一部をもとに、医師による検査結果についての説明があります*15。そのほかの検査結果は、受診してから2~3週間前後で郵送されます。ただし、医療施設によっては、検査内容や混雑状況次第では、1ヶ月程度かかる場合もあります。もし再検査・要精密検査の通知があったら、必ず受診しましょう。人間ドックの結果がわかる時期は、下記記事も参考にしてください。
参考資料
*1.日本人間ドック・予防医療学会「判定区分 2026年度版」
*2.日本人間ドック・予防医療学会 人間ドック受診者への注意事項
*3.日本腎臓学会ほか「血尿診療ガイドライン2023」
*4.K Endoh et al.Effects of smoking and nicotine on the gastric mucosa: a review of clinical and experimental evidence Gastroenterology. 1994 Sep;107(3):864-78
*5.日本循環器学会 禁煙推進委員会 喫煙の健康影響・禁煙の効果
*6.日本消化器がん検診学会「腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)」
*7.国立がん研究センター がん情報サービス CT検査とは
*8.国立がん研究センター がん情報サービス MRIとは
*9.日本磁気共鳴専門技術者認定機構 安心してMRI検査を受けていただくために 鉄欠乏性疾患で鉄製剤を服用していますがMRI検査は可能ですか?
*10.日本消化器がん検診学会「胃がん検診のための胃X線検査マニュアル2025改訂第3版(概要版)」
*11.日本消化器がん検診学会「対策型検診のための胃内視鏡検診マニュアル2024 改訂第2版(概要版)」
*12.日本消化器内視鏡学会「内視鏡診療における鎮静に関するガイドライン(第2版)」(2020年)
*13.日本胃がん予知・診断・治療研究機構 胃がんリスク層別化検診(ABC検診)Q&A
*14.日本泌尿器科学会「前立腺がん検診ガイドライン 2018年版」
*15.e人間ドック~いい人間ドックを選ぼう~ いい人間ドックとは


























