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【連載2】新型コロナウイルス流行の第二波はやってくる

公開日:2020年5月20日
更新日:2020年5月20日 変更履歴
著者:山本 佳奈(やまもと かな)

医療ガバナンス研究所 研究員
1989年生まれ。滋賀県出身。医師。
2015年滋賀医科大学医学部医学科卒業。ときわ会常磐病院(福島県いわき市)・ナビタスクリニック(立川・新宿)内科医、特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所研究員、東京大学大学院医学系研究科博士課程在学中、ロート製薬健康推進アドバイザー。著書に『貧血大国・日本』(光文社新書)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4月7日に緊急事態宣言が発令されました。一度は期間が延長されたものの、新たな感染者数の減少や医療体制が整ってきたことなどを受け、翌月14日には39の県で緊急事態宣言が解除されました。

解除された地域は、外出自粛は要請されないものの、人との面会は避ける、人との接触をできる限り減らす努力を続ける、さらには県をまたいでの移動は可能な限り控えるなど、依然として求められることに変わりありません。

経済活動を再開した韓国や中国では集団感染が報告されています。新型コロナウイルスの世界的流行の第二波がやってくるのではないかという懸念が、世界では高まりつつあるのです。

どうやって防ぐ!院内感染

気になるのは、日本における新型コロナウイルスの新規感染者は減っている一方、医療従事者や入院患者さんへの感染は未だに確認されている、ということです。新型コロナウイルスの院内感染が起きてしまっている原因の一つとして、医療従事者が気づかぬうちに、院内でウイルスを拡散してしまっていることが考えられています。

英国のケンブリッジ大学がアデンブルックス病院で行った調査報告をご紹介したいと思います。アデンブルックス病院では、入院した患者に対しては、新型コロナウイルスについて定期的にスクリーニングを行い、必要に応じて隔離していました。一方、医師、看護師、理学療法士など第一線で患者に接する医療従事者含め、病院で働くスタッフには、症状が現れた場合にのみ検査を行い、陽性であれば勤務を外すという対応が取られていました。

ケンブリッジ大学の研究チームの調査により、1,000人を超える病院スタッフの3%が新型コロナウイルス陽性、つまり病院スタッフの3%が無自覚で新型コロナウイルスに感染していたことが判明しました。感染が分かった病院スタッフのうち、約5人に1人は症状を全く自覚しておらず、5人に2人は軽度の症状であったために、新型コロナウイルスの感染を疑われていませんでした。

研究チームの一員であったマイクウィークス博士とスティーブンベイカー教授は、「病院の全スタッフは、症状の有無に関わらず、新型コロナウイルスについて定期的に検査を受ける必要があり、病院内での感染拡大を防ぐために不可欠である。」と指摘しているのです。

病気は新型コロナウィルスだけではない

多くの報告から、新型コロナウイルスは高齢の方や糖尿病や高血圧、心血管疾患といった基礎疾患のある方のほうが、感染すると重症化しやすいことがわかっています。病院に入院している患者さんは、高齢の方が多く、何かしらの疾患を持っている方ばかりです。重症化のリスクがある人が大勢入院していると言えます。

医療従事者が気づかぬうちに、院内でウイルスを拡散することは避けねばなりません。日本においても、症状の有無に関わらず、定期的に検査を受ける体制も求められているのではないでしょうか。

気になるのは、新型コロナウイルスの院内感染の度重なる報道により、医療機関への受診を控える方が多いということです。病院に行くことで、新型コロナウイルスに感染してしまうのではないかという恐れに加え、外出の自粛、さらには、37.5度以上の熱が4日以上続くかどうか自宅で様子をみるという基準が設けられていたことも、受診を控えている要因として挙げられます。

病気の原因は新型コロナウイルスだけではありません。新型コロナウイルスだけを恐るあまり、受診が遅れたり、薬がなくなりそのまま内服をやめてしまったといった事態は避けて欲しいと思います。

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